「テザリング」機能とは
外でノートパソコンを使ってビデオ会議に参加したい、あるいは旅行中にオンラインゲームをプレイするのにゲーム機でインターネット接続したい……など、いつもとは違った場所や環境でインターネットに接続したい場面に出くわすことは時々あるかと思います。ですが外出先に必ずしもWi-Fiスポットがあるとは限りません。そんな時に役立つのが、外出先でもモバイル回線を使ってインターネット接続できる「モバイルWi-Fiルーター」。ですが外出する機会が多くない人がモバイルWi-Fiルーターを契約するのは負担が大きいですし、持ち物が増えてしまうというデメリットもあります。
そこで活用したいのがスマートフォンの「テザリング」機能です。これはスマートフォンにWi-Fiなどを通じて他の機器を接続し、モバイル回線を使ってインターネットに接続するというもので、スマートフォンをモバイルWi-Fiルーターにするものと考えれば分かりやすいでしょう。
テザリングの接続方法は4種類
実はテザリングには4つの接続方法が用意されており、用途や場面に応じて使い分けることも可能です。1. Wi-Fiテザリング
最もスタンダードなのがスマートフォンと他の機器をWi-Fiで接続する「Wi-Fiテザリング」です。対応機器が多く、ケーブル不要で利用できることから使い勝手がよいのが最大のポイントで、同時に複数の機器を接続できる(同時接続台数はスマートフォンによって異なる)ことから、複数のゲーム機での同時対戦プレイなどに活用できるというメリットもありますが、バッテリー消費が大きくなりがちなのがデメリットです。
2. Bluetoothテザリング
同じく無線通信のBluetoothを使って接続するのが「Bluetoothテザリング」です。省電力性に優れたBluetoothを用いるためバッテリー消費が少ないのがメリットですが、その分Wi-Fiよりも通信速度が遅く、接続できる台数も基本的に1台のみというのが弱点です。
3. USBテザリング
テザリングには有線の接続方法も用意されており、スマートフォンと機器をUSBケーブルで接続してテザリングするのが「USBテザリング」になります。Wi-Fiテザリングよりも高速で安定した通信ができるのが最大のメリットで、接続する機器によってはスマートフォンに給電しながら通信することも可能です。
ただ一方で、接続にケーブルが必要なので煩わしさがあるのと、やはり1台しか接続できないというのがデメリットといえるでしょう。
4. イーサネットテザリング
これはAndroidの最新版「Android 11」で新たに追加されたもので、有線のLANケーブルスマートフォンと他の機器を接続するもの。USBテザリング同様通信速度や安定性の面でメリットがあるだけでなく、自宅やオフィスのLANで使用しているルーターに有線LANで接続することで、固定ブロードバンド回線の代替としてより多くの機器を機器をインターネット接続することも可能です。
ただ現在のところ、イーサネットテザリングはiOSでは利用できませんし、Androidの場合も利用するのにLANケーブルのほか、スマートフォンのUSB端子を有線LANの端子に変換する「イーサネットアダプタ」を用意する必要があります。そうしたことからこちらはネットワークに詳しい人が利用するものと考えておいた方がよいでしょう。
テザリングの設定方法
では具体的に、テザリングを利用するための操作について説明していきましょう。・iPhone(iOS 14.6)の場合
ホーム画面から「設定」を呼び出した後、「インターネット共有」を選びます。 続いて「ほかの人の接続を許可」を選ぶとテザリングができる状態となります。後はWi-FiやUSBなど好きな手段で他の機器と接続すればOKです。 なおWi-Fi接続する際に用いるSSID(アクセスポイント名)はiPhoneの名前になるので、変更したい場合は設定から「一般」→「情報」→「名前」と選んでiPhoneの名前を変更してください。パスワードは「ほかの人の接続を許可」の下にある、「"Wi-Fi"のパスワード」を選ぶことで変更可能です。
・Android(Android 11/Pixel 4a(5G))の場合
ドロワー(アプリ一覧画面)から「設定」を呼び出した後、「ネットワークとインターネット」を選びます。 続いて「アクセスポイントとテザリング」を選びます。 Wi-Fi以外の手段でテザリングする場合は、ケーブル接続など事前に準備をした上で、この画面からそれぞれのテザリング方法をオンにすれば利用可能になります。一方、Wi-Fiテザリングを利用する場合は「Wi-Fiアクセスポイント」を選びます。 ここで「アクセスポイント名」(SSID)と「アクセスポイントのパスワード」を設定し、一番上のスイッチを「オン」にすればWi-Fiテザリングができるようになります。
テザリングを利用する際の注意点
テザリングを利用する上ではいくつか注意が必要な点もあります。1. バッテリーの減りに注意
テザリングはスマートフォンの通信機能をフルに用いるので、その分バッテリーを多く消費してしまいます。気が付いたらバッテリーが切れてスマートフォンが使えなくなった……といったことのないよう、バッテリー残量に十分注意しながら使いましょう。
2. スマートフォンの通信量にも注意
テザリングはスマートフォンで契約している料金プランの通信量を消費して通信することから、テザリングで多くのデータ通信量を使ってしまうと、その分ギガ不足となってスマートフォンの利用を控えなければならなかったり、通信量を追加購入しなければならなかったりすることとなるので注意して下さい。
3. 「使い放題プラン」でも「テザリング使い放題」とは限らない
最近はスマートフォンでのデータ通信が使い放題になる料金プランも増えていますが、テザリングは使い放題にならないプランもあるので注意が必要です。具体的にはauとソフトバンクの使い放題プランがそれに該当し、auの「使い放題MAX 5G」などは月当たり30GB~80GB(プランによって異なる)、ソフトバンクの「メリハリ無制限」は月当たり30GBまでしか利用することができません。
一方でNTTドコモの「5Gギガホ プレミア」と、楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT VI」はテザリングも使い放題。なのでテザリングで使い放題を重視するなら、NTTドコモか楽天モバイルを選ぶのがよいでしょう。
3. 古いプランでは別途オプションの契約が必要
携帯大手のメインブランドでは以前、テザリングを利用するのに別途オプションを契約する必要があったことから、古い料金プラン契約者がテザリングを利用する場合は別途オプションの契約が必要になる場合があることにも注意すべきでしょう。新しい料金プランであればおおむねオプション料金が不要なことから、可能なようであれば新しいプランへ乗り換えた上で利用した方がベターです。
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