更年期についての偏見、感じますか?
更年期といえば50代以降の女性特有の症状と思われていたのは昔の話。いまや40代であっても、男性であっても更年期症状が出ることがわかっています。症状の発出には個人差があり、症状がない人にはその辛さがわかってもらえないのが難しいところ。さらに「更年期=おばさん」というイメージが世の中に強く、なかなか自分で更年期であることを認めにくい点も、周囲にわかってもらえない原因になっています。
実際、30歳以上の女性を対象に行った更年期に関する調査(n=1138、2018年12月オレンジページ)でも、「更年期障害に対して世間には偏見や誤解があると思いますか?」という質問に41%が「はい」と答えています。周囲に黙って一人で悩みがちな更年期。たとえば、こんな事例もあるようです。
更年期のお悩み1. 50歳、集中力が低下してミスを連発……
真希絵さん(50歳・仮名)は大手メーカーの人事部に勤務。20代で職場結婚をした後も、産休育休を使いながら一人娘の子育てと仕事を両立し、自分のキャリアを積み重ねてきました。
「いまでこそ、出産でやめる社員はほとんどいませんが、私の頃は産休育休をフルに取って仕事を続ける女性はまだ少数でした。でも私は絶対に仕事を続けたいと思っていましたし、夫も理解がある人だったので、何とか両立ができたと思っています」
そんな頑張り屋の真希絵さんが最近悩んでいるのが様々な更年期症状。
「集中力が低下して、以前だったらありえないようなミスをすることが増えてきました。以前も小さなミスをすることはありましたが、それをチャンスに変えるぐらいの前向きな気持ちでいました。でも最近は気力が低下しているのか『もう無理だあ』と心が折れてしまいがち。自分の中でやる気がわいてこないことが多いのです」
更年期症状の中には、ホットフラッシュや冷え、関節痛など身体に現れるもののほかに、真希絵さんのようにメンタル面に現れるものもあります。
「実は最近、新しくお客様サービスセンターが立ち上がることになって、私に、そこの所長にならないかという打診があったんです。会社にとって重要な部署ですし、私の能力を買ってくださっての打診だと思います。とてもありがたいお話ですし、すごく悩んだのですが、今の私の状態では責任の重いポストに就くのは難しいと考えて辞退することにしました。残念ですが、気持ち的に前向きになれなかったんです」
真希絵さんのように更年期を理由に昇進を断る働く女性も少なくないそうです。メンタル面の不調は周囲の人からは見えにくいだけに、誰にも気づかれずに一人で悩む人もいます。
更年期のお悩み2. 46歳、体調不良は怠け者の言い訳と言われ……
「更年期の辛さは、やはり周囲から理解してもらいにくいことだと思います」と語ってくれたのは美樹さん(46歳・仮名)。美樹さんの場合、まだ閉経前ですが、昨年ぐらいから更年期っぽいと感じるようになりました。「特につらいのはめまいです。時によって症状に差があるのですが、ひどい時は朝、布団から起き上がれないほどです。無理に立とうとすると吐き気が襲ってきて起きられません。うちは、仕出しのお弁当をやっているので、朝が早いんです。めまいが治まるまで待ってからお店の方に行くと、姑に『あら、ゆっくり寝られてうらやましいわねぇ。私も更年期になりたいもんだわ』と嫌味を言われます」
美樹さんによれば、姑さんご自身は更年期がほとんどなかったと。もともと人一倍丈夫なタイプで、人間ドックでも悪いところが一つもないほど。自分が健康な方は、体調不良時の辛を分かってくれない。
お姑さんとの確執はよくある話です。
「『更年期なんて怠け者のいいわけよ。疲れたとかだるいとか、怠けたいだけなのよ』と言われると、余計に落ち込みます。幸い、うちの夫は理解してくれて、体を気遣ってくれます。だからくよくよしないでおこうと思っています。周囲の方は、目に見えないけど病気みたいな症状もあるってことをちゃんと理解してほしいです」
「更年期症状で……」というと、少し恥ずかしいような気がして、周囲に正直に言えないという方もいます。予防法も医学も進んできています。ホルモン補充療法やサプリメントなど情報を積極的に取り込みましょう。「運動をする気になれない」ほど滅入る時もありますが、短時間でもヨガやストレッチ、ウォーキングの習慣をつけると気分が変わります。ジムに行かずとも動画で正しい運動法を見ることができる時代。
時代の進化に合わせながら自分なりの更年期対策にチャレンジしてみましょう。適切な改善法、治療に早くたどり着くためにも、先ずは周囲に「話してみる」ことが一番大事です。
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