亀山早苗の恋愛コラム

私のほうが「何もかも上」なのに…?完璧な相手と結婚した友人に嫉妬

同時期に婚活していた友人が急に結婚することになり、さらに相手が非の打ち所のない人物だったりしたら……心から笑って祝福できるかどうか、自信のない人も多いのではないだろうか。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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友人を祝福できない、心の狭い自分にイラつく

友人の結婚

同時期に婚活していた友人が急に結婚することになり、さらに、その相手が非の打ち所のない人物だったりしたら……心から笑って祝福できるかどうか。自信のない人も多いのではないだろうか。そのほうが本音であっても、自分の狭量さが苦しいという女性もいる。

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一緒に婚活していたのに

35歳を目前に控えて急に結婚したい欲求が高まったミツコさん(37歳)。学生時代の友人であるマナさんとふたりで婚活にいそしむことにした。

「私は新卒で入った会社にずっと勤めているのですが、マナは新卒で入った会社を2年で退職。それからはずっとアルバイトをしていました。婚活を始めたときはダブルワークになっていて、かなり無理していたみたい」

それでもふたりとも、「いい人がいなければ、ずっと独身でもいいよね」と言い合っていた。結婚はしたいけれど、無理したり我慢したりするのは嫌だったのだ。

「婚活パーティーにも何度か行きましたが、なかなかこれと思う人がいなくて。それでも私は、紹介所でマッチングしてくれた人と何度か会ったりはしていました。マナは『マッチングから漏れてばかり』と涙目になっていたんです」

ところが半年後、マナさんがいきなり「結婚することにした」と知らせてきた。婚活とは別の場所で知り合った人だという。

「どういう人なのと聞いても、あまりはっきり答えてくれない。とにかく1か月後に挙式だからってすごく忙しそうでした。取り残された気がしましたね」

1か月後、マナさんの結婚式に行ったミツコさんは驚きの連続だった。相手はいわゆる「青年実業家」で、マナさんより1つ年下。外見は爽やかなイケメンで、彼の関係者のスピーチを聞く限り、学歴も性格も申し分ない感じだった。

「マナは学生時代、成績もイマイチだったし、会社を2年で辞めたことからもわかるように仕事も人間関係も不器用なタイプ。見た目だって私よりいいわけじゃない。結婚式の間中、幸せそうに微笑むマナを見ながら、私のほうがあらゆる面で上なのにと思っていました。そしてそんなふうに思った自分を嫌な女だと嫌悪していたんです」

 

新築マンションに犬がいて……

それから数か月後、マナさんから連絡が来た。

「忙しくて連絡できなくてごめんねって。その後、都内一等地の新築マンションに越し、ワンコもいますって写真を送ってきたんですよ。すばらしく広いマンション、かわいい子犬、そしてマナは『人生って、こんなことがあるんだねー。一発逆転、人生捨てたもんじゃないと思ったよ』と余裕のコメント。専業主婦だから、エステばかり行ってたけど、今は料理教室に通っているって。なんだかねえ、ムカつきましたね。まじめに働いても、私なんて中古マンションを買おうかどうか迷っている状態。なのに何の取り柄もないマナが金持ちと結婚して楽しく暮らしている。不公平ですよね」

不公平で理不尽なのが人生でもある。遊びに来てと言われて、ミツコさんはマナさん宅へと出向いた。

「土曜日の午後に行ったんですが、ダンナさんは仕事だって。もしかしたら浮気でもしているんじゃないのと心の中で思いながら、家を見せてもらいました。ふたり暮らしなのに広い3LDK、リビングだけで20畳以上ある。広すぎて掃除が大変そうとつぶやいたら、週に3日、お手伝いさんが来てくれると。正直言って、どうしてマナがそんな金持ちと……としか思えませんでした」

夕方、マナさんの夫が帰宅した。結婚式で見たときより、ずっと柔和で温かい感じの男性だった。

「彼はとても私を歓迎してくれて、次々と料理を作ってくれました。マナよりずっと料理がうまいそうです。『趣味なんですよ。ストレス解消』と笑っているのもいい感じでしたね。食後、ダンナさんがコーヒーを入れてくれて、仕事帰りに買ってきたというケーキも出してくれて。話しているときにマナが席を外したので、『どうしてマナと結婚したんですか』と聞いたら、『人として優しかったから』と」

ふたりのなれそめは偶然の出会いだった。あるとき、仕事で外にいた彼は突然の豪雨に降りこめられて、とあるビルに飛び込んだ。そこで同じように佇んでいたのがマナさん。彼女は折りたたみの傘をもっていたのだが、とても折りたたみでは対処できない豪雨だったためビルに入ったのだ。

「小やみになったので、彼が出ていこうとしたら、『どこまで行かれます?』とマナが聞いてきたんだそうです。近くの駅までと行ったら、じゃあ、駅まで送りますよとマナが言ったんですって。そこから彼が名刺を渡して、マナが連絡して会うようになった。1か月もたたないうちに結婚したいと思ったと彼は言っていました」

そこでミツコさんは初めて気づいたのだという。マナさんは誰の悪口も言わないし、無条件に人を信じるタイプだと。新卒で入った会社をやめたのも、人間関係で疲れ切ったからだった。彼女は人のストレスを吸い込んでしまうような女性だった。

「すべてにおいておっとりしているのが彼女のよさだったと改めて思いました。そんな彼女の優しさを彼は感じ取ったんでしょう。私のほうが上なのにと思っていた自分が恥ずかしくなりました」

それにしても、とミツコさんは首を傾げる。あんなに何もかもトントン拍子にうまくいくなんて、と。

「今年の初め、マナはママになりました。30代後半にして何もかも手に入れた。それも祝福しなければいけないんだけど、いまだ独身の私から見ると、やっぱりあまりの不公平さに素直に喜べないんですよ……」

はあ、とミツコさんは大きなため息をついた。ため息をつきたいのは、ミツコさんだけではない。

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【マンガ/前編】私のほうが「何もかも上」なのに…?完璧な相手と結婚した友人に嫉妬
【マンガ/後編】私のほうが「何もかも上」なのに…?完璧な相手と結婚した友人に嫉妬
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