子どもはなぜ親の言葉に「うるさいなぁ」と思うのか?
親がよかれと言った言葉に「うるさいなぁ」と感じる子どもの心理とは?
これも成長の証。思春期から青年期にかけて、「自分らしい生き方」を模索するためです(これを「アイデンティティの模索」といいます)。「自分らしい生き方」を築くうえで大切なのは、自分のアタマで物事を考え、進む道を選んでいくこと。そのため、親がよかれと思ってかけた言葉が、子どもにとっては「うるさいなぁ」と感じられてしまうことが多いのです。
今回は、思春期から青年期の子が「うるさいなぁ」と感じる“親のざんねんな言葉”を3つ分析し、対処法についてもお伝えしたいと思います。
1. 「タオル持った? 上着は?」……日常生活上の小さなチェック
そもそも、子ども自身が行う準備には“抜け”が多いもの。雨の日なのにタオルも持たない、肌寒い日に上着も持たない……。こんなことの連続だと、親は出先で困らないかと心配になってしまうものです。そのため「タオル持った? 上着は?」と細かくチェックし、言葉かけをするのが親の常。でもこれが、子どもの「うるさいなぁ」につながってしまうのです。そんな子どもも、出先では「言うとおりにしておけばよかった」と思うこともあるでしょう。でも、その時々で人の助けを借り、身近にあるもので代用するなどして、なんとか切り抜けていけることが多いもの。このときに感じる不便さやバツの悪さ――。これが「次からはちゃんと準備しなければ」という意識を育てます。
思春期、青年期にもなれば、重要な物(遠出の際のお金など)以外は、子どもが自分で必要性を感じて準備することを信じ、しばらく様子を見守っていきましょう。そのうえで、子ども一人ではどうにもならないと感じたときには、相談に乗ってあげるといいでしょう。
2. 「今、勉強しておかないと将来がないゾ」……子どもの未来をネガティブに語る
「高みを目指して、よりよい未来を築いてほしい」――これは親の素朴な願い。でも、そんな親自身が子どもの未来をネガティブな言葉を使って心配すると、子どもは「うるさいなぁ」と感じてしまうものです。たとえば、「若いうちにたくさん勉強しておくと、将来の職業の選択肢が増える」、これは多くの大人が実感している事実です。でも、同じ意味のことを「今、勉強しておかないと将来がないゾ」などとネガティブな言葉で心配すると、子どものやる気はそがれてしまいます。
目の前のことをやらせるなら、ネガティブな言葉で不安を煽ると効果は絶大かもしれません。でも、長期的な課題に取り組んでいるときに、ネガティブな言葉をかけると害にしかなりません。「やりたいことが決まっていないなら、今のうちにたくさん勉強しておくといい。職業の選択肢が増えるからね」。このように、ポジティブな言葉を選んでさりげなく伝えていくと、子どもはしだいに意欲的になるでしょう。
3. 「お前は○○ができない」……決めつけで“呪文”をかける
親は子どもの弱点や欠点をよく知っているもの。「数学が苦手」「運動神経が鈍い」「気が弱い」「物事をすぐに投げ出す」……こうしたことを親は誰よりもよく知っています。しかし、耳の痛い言葉を言われ続けるとその言葉が“呪文”になり、「うるさいなぁ」と感じながらも、言われた言葉を信じ込んでしまいます。子どもは自分の弱点や欠点を自覚していても、克服する方法がわからないのです。よって、子どもが自分で苦手を克服できるように、解決案をさりげなく伝えてみてください。
たとえば、数学が苦手だと悩む子には、「苦手と決めつけることはない。 “つまずきポイント”がわからないだけかもしれないよ。塾の先生には相談してる?」。このように、克服へのヒントをさりげなく伝える。すると、子どもは「弱点や欠点は工夫次第で克服できる」という意識をもつことができます。
自分と未来に希望を持てるかかわり方を“さりげなく”!
このように、子どもが親に「うるさいなぁ」と思うことには、いくつかの傾向があります。まずは、子どもとの会話の中で、上の3つに心当たりがないかを振り返ってみてください。そして、子どもが自分で考えて行動することを信じて見守り、子どもが自分の未来や能力に希望を持てるように接していきましょう(あくまでも、さりげなく!)。すると、子どもの「うるさいなぁ」という態度は減り、親の言葉に耳を傾けてくれるようになるでしょう。