鉄道

首都圏でノスタルジックな旅が楽しめる! 実はすごいローカル鉄道旅3選

コロナ禍にあっては、本格的な鉄道旅行はままならない。遠くのローカル線に乗りに行くのも無理な状況だ。ならば、近くの穴場的な路線で静かにローカル線気分を味わうのはどうだろうか? 今回は首都圏でのどかな雰囲気を楽しめるおすすめの「ローカル線」を3つご紹介しよう。

野田 隆

執筆者:野田 隆

鉄道ガイド

コロナ禍にあっては、本格的な鉄道旅行はままならない。ましてや遠くのローカル線に乗りに行くのも無理な状況だ。ならば、近くの穴場的な路線で静かにローカル線気分を味わうのはどうだろうか? 今回は首都圏でのどかな雰囲気を楽しめる「ローカル線」をご紹介しよう。

<目次>
1. JR鶴見線(鶴見~浅野~武蔵白石~扇町、浅野~海芝浦、武蔵白石~大川)
2. 京急大師線(京急川崎~小島新田) 
3. 東急世田谷線(三軒茶屋~下高井戸)


 

1. JR鶴見線(鶴見~浅野~武蔵白石~扇町、浅野~海芝浦、武蔵白石~大川)

JR鶴見線を走る3両編成の205系電車

JR鶴見線を走る3両編成の205系電車

JR鶴見線は沿線の工場地帯の貨物輸送、通勤輸送のために敷かれた路線だ。もともとは鶴見臨港鉄道という私鉄だったので、独自の雰囲気を醸し出している。電車は朝夕のラッシュ時は頻繁に運行されているけれど、平日の昼間や土休日は本数が少なく利用者もまばらだ。それゆえ、のどかなローカル線的なムードがあり、知る人ぞ知る人気路線なのだ。以下、楽しめるポイントを列挙してみたい。

・JR駅の中にさらに改札口が
鶴見線の鶴見駅ホーム

鶴見線の鶴見駅ホーム

まずは、鶴見駅。JR京浜東北線から乗りかえようとすると同じJRなのに改札口がある。元々は私鉄だった名残と、鶴見線の駅はすべて無人駅なので、ここで切符のチェックをするためでもある。

構内はコの字型のホームから成り立つ小ぢんまりとしたターミナル駅になっていて、天井のドームがレトロ風で懐かしさを漂わせている。ラッシュ時以外は手前の3番線しか使わない。電車の発車まで時間があるのなら、ぐるりとまわって4番線ホームに行ってみたい。中ほどに「鶴見線80周年までの足跡」というパネル展示や在日朝鮮人の人たちが帰国したときに寄贈した時計のモニュメントがあるので見ておこう。

・廃墟のようなホーム跡
鶴見線の鶴見駅発車時刻は、閑散時は20分毎だが、行き先がまちまちなので、区間によって運転間隔が変わってくる。浅野駅までは20分間隔なので、一番安心して利用できる区間だ。発車すると、まずは、高架線を走るが、すぐに廃墟のようなホーム跡を通過する。本山(ほんざん)停留場跡で、本山とは近くにある曹洞宗大本山總持寺のこと。ここは、その最寄り駅だった。しかし、鶴見駅にあまりにも近いので、太平洋戦争中に廃止となっている。
国道駅の高架下は昭和の時代から時間が止まったような雰囲気だ

国道駅の高架下は昭和の時代から時間が止まったような雰囲気だ

電車は左にカーブし、東海道本線や京浜急行線を跨いで、最初の駅国道に到着する。固有名詞が駅名になっている珍しい例だ。鶴見線散策の最初の立ち寄りポイントなので途中下車してみよう。

国道駅は国道15号線(京浜国道)と交わる地点であることから命名された。階段しかないけれど高架下に降りてみると、タイムスリップしたような薄暗くてレトロな商店街がある。といっても、ほとんどのお店が閉まっていて侘しい。アーチ状の天井がモダンだった往時を偲ばせる。国道側の出入口の外壁に戦時中の機銃掃射の跡があって生々しい。

・工場地帯のオアシス的存在「トンボみち」公園
鶴見小野~弁天橋間にあるトンボみち

鶴見小野~弁天橋間にあるトンボみち

再び鶴見線に乗る。鶴見川を渡ると、鶴見小野駅と弁天橋駅の間に車両基地がある。線路と反対側には工場地帯には珍しい緑地帯が見えてくる。弁天橋駅に隣接した企業のJFEが管理している「トンボみち」という公園で、工場地帯のオアシス的存在となっている。出入口は鶴見小野駅の方が近い。

・海に面した​​​​​​​駅のホーム
海に面した海芝浦駅ホーム

海に面した海芝浦駅ホーム

弁天橋駅の次は浅野駅。鶴見線の本線と海芝浦支線がの分岐駅だ。分岐の真ん中にある扇形のホームはネコがたむろしていて癒される。海芝浦支線の列車本数は閑散時は1時間20分毎。終点の海芝浦駅は京浜運河に面していて、ホームでは釣りをしている人をよく見かける。改札口は東芝の工場に直結しているので関係者以外は出られない。

一般客は脇にある海芝公園を散策するしかない。ここからは遠くを走る首都高速道路の鶴見つばさ橋という斜張橋が見え、なかなかの絶景だ。とくに工場夜景は見ごたえがあり、隠れたデートスポットとして知られている。ただし、電車の本数が少ないので、あらかじめダイヤを調べてから行動したい。

浅野駅に戻って、本線を先へ進む。武蔵白石駅付近から分岐するのが大川支線。大川駅までの一駅しかない。しかも電車が走るのは朝と夕方だけ。土休日は、朝2往復と夕方1往復のみ。乗り鉄にとってはハードルの高い区間である。

本線の旅を続ける。浜川崎駅は、南武線浜川崎支線との乗換駅だが、一旦改札口を出て道路を渡って、さらに別の改札口を入る必要がある。同じJRなのに面倒なことだ。ここで折り返す電車が多く、その先、昭和駅と扇町駅へ向かう電車は2時間毎である。

・ネコの楽園​​​​​​​
扇町駅で出会ったネコ達

扇町駅で出会ったネコ達

扇町駅は浅野駅以上にネコの楽園で、見ているだけで楽しい。ただし、電車は3分で折り返すので、ネコに見とれていると乗り遅れて2時間待つことになる。電車の本数が増える平日の夕方に訪問するか、あるいは路線バスは30分に1本程度あるので、電車は諦めてバスで川崎駅前へ向かうか、どちらかだ。

鶴見線といっても支線があって線路が入り組んでいる上に、工場地帯がほとんどとはいうものの見どころは多数ある。ただし、首都圏にしては異常に電車の本数が少ないので、あらかじめ列車ダイヤを調べた上で、動き回ることがコツであろう。
 
■主なアクセス情報
JR鶴見駅まで、京浜東北線で東京駅から30分(400円)、横浜駅から11分(170円)
鶴見線、鶴見駅~扇町駅 17分(170円)、鶴見駅~海芝浦駅 11分(160円)
 
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