人間関係

妻にその一言は地雷かも!? 増え続けるモラハラ離婚予備軍チェックと対策

司法統計によれば、妻から旦那に離婚の申し立てを行う理由は、「精神的に虐待する」が平成26年から令和元年までTOP3に入り続けています。では、どのような言動が妻を精神的に追い詰めてしまうのか、その事例と言い換えを紹介します。

藤田 尚弓

執筆者:藤田 尚弓

話し方・伝え方ガイド

なにげない一言で、奥さんを傷つけていませんか?
旦那さんの一言で、知らず知らずのうちにストレスを溜めていませんか?

もし無意識に話している言葉が妻を傷つけているとしたら、精神的虐待やモラハラによる離婚という結果を招いてしまうかもしれません。近年、「精神的虐待」を理由とした離婚が増えていることから、どのような言葉が妻を傷つけるのか、また、どのように言い換えれば傷つけないのか。夫に傷ついていることを伝えたいときのポイントもご紹介します。

 

最新版離婚原因ランキング、夫から妻への精神的虐待は離婚理由の第3位

女性が離婚をしたくなる理由というと「夫の浮気」や「暴力」などを思い浮かべる人も多いかも知れません。平成19年の女性からの離婚申し立て動機を見ると、1位が「性格の不一致」、2位が「暴力を振るう」、3位が「異性関係」となっています。

しかし、離婚の理由は時代と共に変化しており、令和元年の離婚理由TOP3は「性格の不一致」「生活費を渡さない」「精神的に虐待する」に変わっています。
 
妻の離婚申立動機

 

性格の不一致や精神的虐待は、自分では「大丈夫だろう」と思っていても、相手の受け止め方によってはアウトのこともあります。皆さんは、家庭での言動に自信がありますか?

「浮気もしていないし、暴力も振るっていないから大丈夫だろう」という時代は終わりました。

もしかすると、あなたの何気ない一言が妻を傷つけているかも知れません。怒鳴ったりしなくても、「キレる」「無視する」「何度もしつこく伝える」といったことでも、最悪な場合モラハラと捉えられ、離婚という結果を招いてしまうこともありえます。

リモートワークが導入され、在宅で過ごす時間が増えた家庭もあると思います。これまでなら我慢できたことも、在宅時間が長くなることで辛くなってしまう人もいるかも知れません。この機会に男性は妻への話し方を、女性は日々の夫の言動を振り返ってみましょう。

 

精神的虐待・モラハラに発展する一言チェックと言い換え例

■容姿に関する批判

例:「ぶくぶく太ってみっともない」「老けて醜くなったな」など

自粛や在宅ワークが原因のコロナ太りをしている人も多いようです。「容姿を気にした方がいいというアドバイスのつもり」「容姿を気にしてほしいという希望を伝えるつもり」で、このようなことを言ってしまう人もいるかも知れませんが、罵っているように聞こえます。

【言い換え】
容姿に気をつかってほしい場合は、現状をけなすことがないように伝えます。

例:「もう少し痩せると健康美が手に入るんじゃない」「若々しくいてくれると嬉しいな」など


■能力を過度に低く評価
 
例:「そんな簡単なこともまともにできないのか」「なんでそんなにバカなんだ」など

部下を指導するような気分で、妻のやり方にひとこと言いたくなってしまう人もいるようです。会社ではパワハラにならないように気をつけていても、家庭だとぞんざいな言い方になりがちです。「感想を率直に言っただけ」「現状よりも頑張ってほしい希望を伝えるつもり」かも知れませんが、バカにしているように聞こえます。

【言い換え】
現状を直してほしい場合、ネガティブにならないように伝えます。改善方法を考えてもらうようにするのもよいでしょう。

例:「○○の部分をもう少し丁寧にやると間違いが減ると思うよ」「今も頑張ってると思うけど。改善するとしたらどんな方法があると思う?」など


■比較で不快にさせる
 
例:「俺のほうが稼いでるんだから」「俺は残業もしてるんだぞ」など

呑みに行く機会が減りストレスが溜っている人や、コロナ禍で会社が大変な状況の人もいると思います。「仕事でストレスが溜っている状況を察してほしい」「労ってほしい」「家のことはやってほしい」といった希望も、このような言い方では、見下しているように聞こえます。

【言い換え】
妻は夫を労るべきだと主張するのではなく、お願いする形で伝えます。

例:「今日は仕事で疲れているから、○○はお願いしてもいいかな」「残業で遅くなった日は××をしてもらえると助かるんだけど」など


■無視や舌打ちで不快にさせる
気に入らないことがあると無視や舌打ちで圧力をかけることも控えましょう。暴言は我慢しているつもりかも知れませんが、無視や舌打ちで妻が精神的に辛くなるのをわかってやっている場合、悪質な虐待になることもあります。

【言い換え】
不満がある場合には、相手を責めないように言語化して伝えましょう。

例:「今の対応はちょっと傷ついたな。次からは××してほしいんだけど」「ちょっと頭を冷やしてくるね」など


■妻の反論をはすべて否定

例:「言い訳するな」「屁理屈ばかり言うな」など

妻が反論すると、すべて否定するケースです。正しい主張も「言い訳」「屁理屈」と分類するようだと、精神的虐待の域に入ってしまいます。

【言い換え】
ケンカを避けたい場合でも、相手の意見は聞き、同意できなくても理解したことを伝えましょう。
 
例:「そんな風に思わせていたんだね」「キミの考え方がわかったよ」など

 

もしもパートナーから精神的虐待・モラハラを受けていると感じたら

 
モラハラだと感じたときの対処法

モラハラだと感じたときの対処法


モラハラを受けていると「自分が悪いから怒らせてしまう」「あんな態度にさせるのは自分にも非がある」といった、自分を責める思考に陥りがちです。

なかには「こんなに怒らせるお前が悪い」といった言葉を何度も使われたことで、洗脳のような状態になっている方もいます。相手の言うことが正しいように感じてしまう場合でも、自分の心が辛くて、その状態が長く続く場合には、信頼できる人に相談しましょう。

モラハラは他の人に理解されにくい特徴があります。単なる愚痴だと捉えられないようにするには、具体的な内容を伝えるのがよいでしょう。実際に言われた言葉、頻度、責められる時間、そのとき自分がどのように感じたか、辛いと感じるようになったのはいつ頃からかといったことを、メモしておくとよいでしょう。

夫に対して「どうせ直してもらえない」と諦めている人もいるかも知れませんが、黙って従うと、さらに辛くなり、夫の言葉がより厳しくなってしまうことも。自分がどう感じているのか、今後どうしてほしいのかを、伝えてみてください。このとき感情的にならないこと、相手を責めないことが大切です。「自分がどう感じているか+今後してほしいこと」の形で伝えましょう。1度でダメでも、暴言を吐かれた度に落ち着いて伝えてみてください。

例:「そういう言い方をされると、傷つきます。次からは、もう少し違った言い方で、どうしてほしいのかを教えてくれないかな」

これで怒り出してしまう人、その時だけ優しくして、また暴言を繰り返す人の場合、第三者を交えて話し合った方がよいでしょう。怖くて言い出せないという場合も、状況は深刻です。信頼できる人に相談しましょう。

 

まとめ

悪気のない一言でも、相手を傷つけることがある。そんなあたりまえのことも、家庭という場所だと、つい忘れてしまいやすいものです。外では気くばりができるのに、大切な人にはぞんざいな態度をとってしまうというのは、長期的にみるとリスクの高い行動です。最低限の節度は守れるよう気をつけ、良い関係を維持していきましょう。
 
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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