眠れない、目が覚める……コロナ禍で増えた不眠の悩み
自律神経の不調は生活のちょっとした工夫で改善することも……まずは朝日を浴びることから始めてみましょう
「在宅業務で勤務の切れ目がないためか、気持ちが休まらない状態が続いています。眠ろうとしても、目が冴えてしまい、困っています」
「眠りが浅く、寝付くのが明け方になるので、寝過ごしてしまうことが増えました。家での仕事になったので、何とかなるのですが……」
このようなお話をされる方の中には、ご本人、もしくは、ご家族の方の生活習慣が、自粛前と比べて、変化されていらっしゃる方がいらっしゃいました。朝の規則正しいリズムや、環境に伴いON-OFFが切り替わったことで、保たれていた自律神経に不調をきたしていることが考えられます。
自律神経の不調が原因で起こる症状……疲労・不眠・めまいなど
自律神経の不調が原因で起こりやすいのは、・慢性的な疲労
・不眠(入眠できない、中途覚醒など)
・めまい
・動悸
・イライラや、不安感などの情緒不安定
・頭痛
・のぼせ
などの症状です。
漢方医学で考える自律神経を整える食べ物・生活習慣
漢方では、自律神経は漢方医学で人間の内臓全体を言い表す「五臓六腑」の中の「肝」が司っていると考えます。漢方医学でいう「肝」は、西洋医学でいう肝臓と全く同じではありません。血液の貯蔵・解毒といった機能を持ち、目や筋肉、情緒のコントロール機能などまで多岐に渡ってコントロールをする臓腑とされています。
「肝」の気(エネルギー)は身体の上の方にのぼりやすいので、ストレス等によって刺激されると、目の充血や頭痛、のぼせ、イライラ、不眠、情緒不安定などの症状に繋がりやすくなります。また、「肝」はホルモンバランスとの関係も深いので、肝の働きが不調になると、月経の不調などを訴える方も多くなります。
そして、この「肝」の働きを整え、気(エネルギー)の流れをスムーズにするためには、食生活の中で、気の巡りを良くしてくれる香味野菜(セロリ・しそ・春菊・みょうがなど)や柑橘類を取り入れるのがおすすめです。
日々の生活習慣の中では、活動のオン・オフをはっきりさせ、生活リズムを整えることが大切です。簡単にできる効果的な方法は、まず目覚めたときに朝日を浴びることでしょう。天気が良い日は、朝起きて身支度を始める前にまず、カーテンを開けて、明るい朝日を浴びましょう。
また、精神的に疲れた時には、休息をとるだけでなく、ストレッチやウォーキングなど軽い運動をすることで、気の巡りが良くなり、疲労の回復に繋がることもあります。
努力不足ではない自律神経の不調。楽しみながら改善を
この1年は特に、働き方や生活スタイルが変わった方も多かったことと思います。今までは朝早く起きて出勤していたのに、在宅ワークになって「早起きができなくなった」「夜更かししてしまう……」という声を耳にします。生活リズムが一度崩れてしまうと、なかなか戻すのが難しいですよね。この体の変化は、自律神経の不調が原因となって出てくる症状ですので、「気持ち」や「努力」で何とかしようとするのは、逆効果になることもあります。不調が出ているのは、気持ちが弱い訳でも、努力が足りない訳でもなく、自律神経の仕業です。
ただ、自律神経は、少し意識することで整えられることもあります。日々の生活に取り入れられることがあれば、ぜひ楽しみながら取り組んでみてください。
また、症状が辛く、なかなか改善が見られない場合には、我慢することなく、心療内科などへの受診するようにしましょう。