“ロジハラおじさん&おばさん”になっていない?
正論を突き付けて相手を追いつめてしまう「ロジハラ(ロジカル・ハラスメント)」をする人が増えてきています。歳を重ねても精神的に成熟していない子供おばさん(子供おじさん)は、相手の気持ちをはかることもせずに正論ばかりを言って嫌われてしまうことも。
そんな“ロジハラおじさん&おばさん”にならないためにも気を付けたほうがいいことはなんでしょうか?
ロジカルな思考自体が悪いわけではない
「ロジカルにものを考えること」自体は、悪いことではありません。特にビジネスの場では、論理的思考を求められることも多いですしね。
でも、プライベートでもロジカルシンキングを貫こうとすると、人間関係はうまくいかなくなってしまうものです。
なぜ、“ロジハラおじさん&おばさん”は嫌われてしまうのかというと、「相手の気持ちを汲まないから」です。人間はロボットではないので、色々と複雑な感情を抱いているもの。例えば、好きな相手が自分のことを好きになってくれなかったときに、「両想いになれないなら、諦めよう」とキッパリ思いをなくせる人なんて、あまりいません。
片思いが切なくて、一日中泣き崩れたり、「それでも、どうにかして相手を振り向かせたい」と捨て身の行動をとってしまったりしてしまうのも、“人間らしさ”だと言えます。
もしそんな片思いに悩んでいる相手が相談をしてきたとき、ただただ冷静に「振り向いてくれない相手なんて思い続けるのは、無駄だからやめなよ」なんて正論を言ってしまったら、「この人は私の気持ちを分かってくれない! 話すんじゃなかった」と思われてしまうことも多いもの。
それよりは、「片思いは辛いよね。分かるよ」と共感する言葉を添えて、「相手が好きになってくれるかどうかは、相手次第だからどうすることもできないけど、自分が好きでいるのは自由。どうしたい?」など、相談者の気持ちに沿った回答をするだけでも、随分違うものです。
つまり、“ロジハラおじさん&おばさん”は、「人間は“感情のある生き物”だから、ロジック通りにはいかないこと」「相手が望んでいることは、正論を言われることではなく、自分の思いを受け止めてもらうこと、である場合もある」ということを理解したほうがいいのです。
それこそ、いくら正しいことを言ったところで、相手に嫌われてしまったり、傷つけてしまったりしたら、その対応は正しかったのかというと微妙ですよね。
誰もが、自分を否定されることは苦手!
さらに、「あなたは間違っている」と言われて、イラッとしない人はほとんどいません。正論で相手を追い詰めてしまう人は、相手を否定してしまうことが多いもの。多くの人が、「あなたはダメな人間だ」と責めるような相手とは一緒にいたくありません。たとえ自分のほうにミスや落ち度があったとしても、です。
だからこそ、相手のほうが100%悪いのだとしても、今後も付き合っていきたい相手なのであれば、「相手に“逃げ道”を与える」ことも大切です。
例えば、相手が遊びに行く約束をすっかり忘れてすっぽかした時に、ただただ「スケジュール帳にきちんと記録を残さないから、ダメなのよ。あなたは私の時間を無駄にした。どうしてくれるの?」なんて頭ごなしに怒ってしまったら、相手がいくら「自分が悪かった」と思っていたとしても、謝りたくなくなってしまいます。負けた気がしてしまうからです。
そんな不毛な喧嘩をしないためにも、もし相手が反省していると感じられるときは、「ごめん。私も前日に連絡しておけばよかったね」と言うだけで、相手の気持ちは救われるし、より謝りやすくなるもの。
しっかり者ほど陥りやすいパターンではありますが、いつも“自分が正しくて(勝って)、相手が間違っている(負ける)ような状態”が続くと、関係は壊れやすくなるのでご注意を!
それは、“ロジックの面での正しさ”に過ぎないことも
そもそも「自分のとっての正しさ」と「相手にとっての正しさ」は違うこともあるし、“絶対的な正しさ”というのは、存在しません。住んでいる国、地域、世代によっても変わってくるところはあります。
さらに、ロジカルな思想で相手を追いつめてしまう人は、「それは、単に”論理的な正しさ”に過ぎない」ということを理解することが大切。人間を相手にしているのであれば、「“心情的な側面”でも物事を見る必要がある」ものなんですよね。
人を否定する人は、「自分は正しい」と言いたい人
実は、人を否定してしまう人が気付いたほうがいいことがあります。それは、そういう人ほど、「相手を否定したい」という以上に「自分は正しいのだ」と言いたがっていることが多いということです。つまり、人を非難する人ほど、実は「自分を肯定できていない」可能性が高いのです。だから、まずは自分を認められるようになる必要があるのです。
それができるようになったら、そこまで「相手を否定しよう(自分の正しさを証明しよう)」という気がなくなるでしょう。
この世界では、学歴社会や格差社会で、劣等感を植え付けられてしまっている人が、少なからずいます。そういう人たちは、「人と比べて優越感を得る」ことで自分を癒そうとしたり、「自分はダメな人間だ」と思いたくないから、上から目線で人をジャッジしてしまったりしがち。
まずはきちんと心の奥にある「自分は劣っているかもしれない」という恐れを手放すことが大切です。あなたは、一生懸命生きているのだから、劣等感なんて抱く必要はありません。もっと頑張っている自分を認めてあげましょう。
自分のことも、人のことも認められる人になった時に、“ロジハラおじさん&おばさん”から卒業できることもあるもの。「自分も相手も否定されるような存在ではない。どちらも尊い存在なんだ」と思えたら、少なくとも相手をただただ理詰めで追い詰めることはしなくなるはずです。正しさよりも思いやりを大切にしたいものですね。