新型コロナウイルスの大流行に便乗するサイバー犯罪

ここ数年サイバー犯罪の検挙件数は右肩上がりで増えており、その中でネット詐欺も広まっています。新型コロナウイルスの影響で外出を自粛し、その分自宅でインターネットを利用する人が増えました。サイバー犯罪者は、そんな機会を見逃しません。

これから紹介する10の手口は、どれも新型コロナウイルスをネタにして横行する犯罪の数々です。今回はこのコロナ詐欺について、主な手口と対策を解説します。
 

コロナ詐欺の手口(1)ECショップをかたるフィッシング詐欺

緊急事態宣言が出た4月には、ECショップをかたる詐欺サイトが2019年4月と比べて、なんと5倍以上に激増しました。実在するサイトを装い偽のWebサイトに誘導するフィッシング詐欺の手口です。
2020年4月にECショップをかたるフィッシング詐欺サイトが激増しました。画面はインターネット詐欺リポートより

2020年4月にECショップをかたるフィッシング詐欺サイトが激増しました。画面はインターネット詐欺リポートより
 

コロナ詐欺の手口(2)マスクや消毒液の販売に便乗したネット詐欺

2020年前半は、マスクを格安で販売するとだまして、金銭を奪うネット詐欺が流行していました。今はマスクの流通が正常化したので、姿を消しています。同じように、消毒液などのウイルス対策用品のネット詐欺もありました。

筆者もAmazonでマスクを購入したところ、いつまで経っても届かないので購入履歴を確認したところ、見覚えのないタオルに差し替わっていたことがあります。もちろん、マスクどころかタオルも届きませんでした。
いつの間にかマスクがタオルに差し替わっていました

いつの間にかマスクがタオルに差し替わっていました


マスクの価格は1円などの激安ですが、送料を1万や2万円と高額に設定する手口も流行しました。ユーザーが合計金額を確認せずに購入するのを狙ったものです。しかも、返品&返金処理をしても、通常は送料は返ってこないので、1円しか返金されないということになります。現在は対策され、この手口は見られなくなっています。
 

コロナ詐欺の手口(3)個人情報リストをターゲットにしたフィッシング詐欺

金銭ではなく個人情報をターゲットにしたフィッシング詐欺もあります。例えば、マスクを無料で配布するという名目で、住所や氏名などを入力させるのです。もちろん、入力してもマスクは届きません。

盗まれた個人情報はリスト化され、ダークウェブなどで販売されます。すでにフィッシング詐欺に引っかかっている被害者のリストですから、これからネット詐欺を行うつもりのサイバー犯罪者にとってはお金を払っても欲しいリストとなります。
 

コロナ詐欺の手口(4)持続化給付金の申請手続きを狙ったネット詐欺

持続化給付金を受け付けている期間は、面倒な申請を代わりにするので手数料を取るというネット詐欺が登場しました。ちなみに、手数料を支払っても、申請はしてもらえません。
警察庁や総務省は給付金詐欺の情報を公開し、注意喚起しています

警察庁や総務省は給付金詐欺の情報を公開し、注意喚起しています
 

コロナ詐欺の手口(5)PCR検査や助成金を利用した詐欺

厚生労働省は、「費用を負担するので新型コロナウイルスの検査を受けるように言われ個人情報を聞かれた」や「50万円の助成金を受けられる」と電話が来る詐欺事例を公開しています。2020年上半期に警察が把握した電話でのコロナ詐欺は88件、被害金額は8395万円にも上っています。
 

コロナ詐欺の手口(6)LINEアンケートを真似た詐欺

LINEは国内8300万人のユーザーに対して、新型コロナウイルスに関するアンケートを取りました。このアンケートを真似たメッセージを送り、クレジットカード情報を入力させようとするのです。
 

コロナ詐欺の手口(7)投資家を狙った詐欺

新型コロナウイルスの影響で全世界的に経済がダメージを受けていますが、そのようなときは「金」に投資しよう、というメールもばらまかれました。実際、そんな傾向もあるのですが、詐欺師がばらまいているメールから購入しようものなら、よくて高額の手数料を取られ、通常はお金や個人情報を盗まれるだけでしょう。
 

コロナ詐欺の手口(8)新型コロナウイルスの感染マップアプリを騙ったマルウェア攻撃

新型コロナウイルスの感染マップアプリを騙ったマルウェアも登場しています。不正なアプリをユーザー自身にインストールさせようとするのです。ランサムウェアに感染するとPC内のすべてのファイルが暗号化され、復号化したいならお金を支払うように求められます。
新型コロナウイルス感染マップの提供を装った不正アプリです。画面はトレンドマイクロより

新型コロナウイルス感染マップの提供を装った不正アプリです。画面はトレンドマイクロより

 

コロナ詐欺の手口(9)「コロナ・マネーミュール」という名のネット詐欺

海外の事例になりますが、コロナ・マネーミュールというネット詐欺も発生しています。とても巧妙な手口で、ぱっと見被害者がいないように見えるのがポイントです。

ある日、慈善団体から新型コロナウイルス対策の仕事を手伝ってくれないか、と連絡が来ます。近くの薬局でマスクの価格を調べるといった簡単な作業すると報酬が振り込まれます。その際、例えば30万円が入金され、報酬の1万5000円を引いた分を、慈善団体のビットコインウォレットに送金するように指示されます。

お金は先払いですし、本当に1万5000円はもらえます。しかし、これはマネーロンダリングの手先にされているネット詐欺なのです。犯罪で得たお金を足が付かないようにビットコイン化する手口で、被害者はそのリスクを肩代わりすることになります。
警視庁もマネーミュールには手を出さないように啓発しています

警視庁もマネーミュールには手を出さないように啓発しています
 

コロナ詐欺の手口(10)治療薬を偽った詐欺

アメリカでは、新型コロナウイルスにかかりにくくなるとか、かかっても治ると謳った製品が多数販売されています。FDA(米国食品医薬品局)はメーカーや商品名を名指しして警告しているほどです。エッセンシャルオイルやハーブ製品、はちみつといった商品が多く、FDAによると製品の謳い文句通りに機能しない可能性が高いとのことです。
FDAは不正な製品リストを公開しています

FDAは不正な製品リストを公開しています
 

ネット詐欺に引っかからないための対策

これらのネット詐欺に引っかからないためには、事例を学ぶとともに正しいデジタルリテラシーを身につける必要があります。とは言え、対策は簡単です。まず、メールやメッセージで送られてきた怪しいURLは絶対に開かないことが重要です。もし、政府機関や企業のWebサイトを開きたいなら、自分で検索して本物のURLからアクセスしましょう

アプリをインストールする際は、アプリストアなど信用できるところを利用することもポイントです。野良アプリはそもそもマルウェアの可能性があるので注意してください。

ノーリスクで儲かるといった美味しい話などありません。その手の話が来た時点で、ネット詐欺を疑ってください。コロナ・マネーミュールのように看破しにくいこともあるのですが、事例を知っていれば相手にせずに済みます。

サイバー犯罪者は何百万何千万と餌をまき散らし、ごくごくわずかに引っかかる人たちを狙っています。デジタルリテラシーを身につけ、自衛してください。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
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