2020年7月、九州全土を襲った豪雨被害

近年、毎年発生する豪雨被害

近年、毎年発生する豪雨被害

2020年7月3日、熊本を中心に始まった集中豪雨は、九州全土および西日本の広範囲に記録的な降雨量をもたらし、球磨川流域で氾濫が発生、多くの死者・行方不明者を発生させました。特に九州各地での降雨量の増大は、停滞していた梅雨前線沿いに「線状降水帯」と呼ばれる連続した積乱雲が発生したことによるものとされています。

この「線状降水帯」とは、近年頻繁に起きる大きな被害を起こしている気象現象であり、日本列島の南海上にある、水分量の高い大気が「前線」に向かって継続的に供給されることによって発生します。前線は、大陸側からの冷気に対して、南海上の暖かい大気がぶつかることによって、空気の対流を発生させます。入道雲などの積乱雲も、このようなメカニズムによって夕立ちなどの降雨を発生させます。

一般的に入道雲などは雨を降らせてしまうと消えてしまうのですが、九州豪雨の際は南海上からの大気が含む大量の水蒸気量が「線状降水帯」を形成、気象庁が各地点において設定している「50年に一度の確率で降る降水量」をことごとく更新しました。球磨川に関してはほぼ全流域でこの記録的な豪雨が観測されたために、かつてない規模での水量での氾濫、土砂崩れ、橋脚の流出などを発生させてしまったのです。
 

なぜ毎年のように豪雨が発生するのか

2018年の西日本豪雨は300人近い死者を発生させ、戦後最悪の豪雨被害となりましたが、2019年にも、「令和元年房総半島台風」「令和元年東日本台風」と名付けられた台風によって大きな被害を記録しています。
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2019年台風接近によって多摩川が増水、河川周辺に大きな被害が発生した。

台風の被害を受けるのは日本の地理的な位置が影響しているのですが、台風の規模、勢力が年々大きくなっている傾向が見られます。

台風は海水面からその運動エネルギーが供給されているため、海水温が下がれば勢力は次第に収束してきます。しかし近年、日本近海の海水面の温度は上昇しているため、勢力を保ったままで日本列島に上陸してしまう傾向にあります。

これらは「異常気象」ではなく、地球規模の「気候変動」であると考えてよいでしょう。これらの気候変動に対して、我々日本人はどのようにして対処したら良いのでしょうか。
 

情報収集と早期避難が被害を軽減する

幸いなことに、日本における気象観測技術は世界最高レベルにあり、気象衛星からの情報解析能力により、最大雨量の予測も非常に正確で、早期の気象予報が発せられています。気象庁も、大きな被害が出ると考えられる場合には、かなり早い段階で会見を行って注意喚起をするようになりました。

大切なことは、これらの状況を踏まえて、自分が住む地域、生活圏においてどんなリスクを抱えているのかを知ることです。河川の流域、急傾斜地に隣接した地域は言うまでもなく、都市部においてもハザードマップなどで浸水地域に含まれているかどうかなどを確認しておくことが必要です。

早期避難さえ行なわれれば、少なくとも人的な被害は発生することはないでしょう。スマートフォンアプリなどでの情報収集、気象警報の理解など、情報収集能力の高さがリスクを低減してくれます。また、根本的な地域の被害軽減は個人では難しく、地域を守るために自治体および国の治水に対する対策が求められています。

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