新型コロナによる景気後退、どこまで進む?
コロナによる景気後退、どこまで?
新型コロナの影響で、未曾有の景気後退に見舞われそうな日本経済。
2020年4~6月期が景気の底と予測されていますが、新型コロナの影響次第では、後ずれする可能性も否定できません。いち早く経済封鎖などを解除した諸外国では、再び感染者が増え始めているケースもあります。
有効なワクチン、治療薬が開発されるまで、感染者数の増減に応じて、経済封鎖や解除も繰り返されることでしょう。経済活動に制約がある以上、私たち勤労者の収入も、今後大幅に減少することは容易に想像がつきます。
どのくらい減少するのか明確にはお伝えできませんが、参考に、リーマンショック時を思い出してみます。
収入減は、リーマンショック時を上回るか
リーマンショックが起こったのは、2008年9月。当時の経済状況などは割愛しますが、足下と同じく「派遣社員の雇い止め」「新卒者の内定取消」などが社会問題化しました。正社員であっても、冬のボーナスが半減、支給ゼロという勤労者もいたものです。
国税庁が毎年公表している「民間給与実態統計調査」によれば、2008年の平均給与は430万円。前年の2007年が437万円ですから、大して減っていないと思われるかもしれませんが、本当に勤労者の懐に影響したのは、翌2009年です。同年の平均給与額は406万円、2008年と比較して24万円、減少率は5.58%でした。
新型コロナによる景気の悪化は、リーマンショックの比ではないと言われており、減少額・率ともにそれを上回るかもしれません。
先行きを見通せば、減った分が元に戻るのかも気になるところ。リーマンショック時は、収入が元に戻るまで9年、上回るまで10年間もの長き時間がかかりました。もちろん10年もかからなかった人も、もっとかかった人もいるでしょうが、あくまで「平均値」という観点からの期間になります。
ただ、新型コロナの影響次第では、リカバリーの時間は長くも短くもなる可能性がありそうです。
収入減の要因は「ボーナス」と「残業代」
新型コロナの影響で収入減は待ったなし、あるいは既に収入が減少している人もいるはずです。テレワークなどが推奨され、残業がなくなったことによるものです。記事を書いている時点の最新のデータは、2020年3月の速報値。厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によれば、同月の残業時間は10.1時間、対前年比で7.4%の減少です。同年2月の残業時間は10.4時間。3月は年度末で、例年忙しい月なのに、日数が少ない2月よりも残業時間が少ないのですから、家計の収入も減少していることが容易に想像されます。
追い打ちをかけるように、今夏のボーナスは大幅減が見込まれています。既に役員を中心にボーナスの返上を公表している企業もあり、ラーメンチェーンの「幸楽苑」は夏のボーナス支給なし、ANA(全日空)もボーナス半減が予定されています。
4月8日の「三菱UFJリサーチ&コンサルティング」の見通しによれば、事業所規模5人以上のボーナスは1人当たり35万2366円、対前年比で7.6%の減少と予想されています。
年収に占めるボーナスの割合が高いのは、従業員数が多い大企業。従業員数が5000人以上では約28%ですから、企業規模が大きい会社にお勤めの人ほど家計への打撃は大きくなると考えられます。
家計の見直しが急務になってきた
収入減は確実視されており、早急に家計の見直しを行う必要があります。急を要するのは、ボーナスで支払いを予定している費目。住宅ローンをボーナス併用払いにしている人は、割合を減らす、あるいは毎月返済だけにするなどの条件変更の相談を行いましょう。返済が滞る前に、相談に行くことが必要です。
年払いにしている生命保険や自動車保険、あるいは固定資産税などは、12等分して毎月の支出で計上するように。夏のボーナスに間に合わなければ、保険会社に支払いの猶予申請を行う、貯蓄を取り崩してカバーするなど、冬のボーナス前には間に合うようにすべきです。
最もやってはいけないのは、カードローンやキャッシングで当座をしのぐこと。新型コロナによる収入減は一過性ではなく、長期間続くと予測されるのですから……。
当然、毎月の収入も減少しているでしょうから、支出全般を見直し、節約モードのアクセルを踏み始めましょう。