亀山早苗の恋愛コラム

「新しい生活様式」を取り入れたら、恋愛、結婚はどうなるのか

新型コロナウイルスの終息が見えない中、専門家会議が今後の「新しい生活様式」を提言した。これを読んでいるとこれからの「密な関係」はどうやって進めればいいのだろうと考えさせられる。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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「新しい生活様式」、本当に取り入れられる?

新しい生活様式

新型コロナウイルスの終息が見えない中、専門家会議が今後の「新しい生活様式」を提言した。人と人との距離をできれば2メートル保ち、話すときは正面で相対することを避け、食事をするときはおしゃべりは控えめに、などなどを読んでいるとこれからの「密な関係」はどうやって進めればいいのだろうと考えさせられる。
 

デートはどうなる?

今後、在宅勤務が主だった人たちが出勤するようになると、オフィスではまた「密」が戻ってくる。以前とは違い、換気に気をつけてマスクをするとしても、できることはせいぜいその程度だろう。

出会った人とは名刺を交わすし、向かい合って商談も進めるはずだ。そうでなければ仕事は成立しない。何もかも在宅で、何もかもオンラインでというのは無理があると、多くの人たちはすでに感じているはずだ。いや、完璧なセキュリティが整っていれば、そして当事者にオンラインで仕事をするという革命的な意識改革ができれば、以前とは違う仕事の方法もあるのかもしれない。だが、人はやはり誰にも会わずに仕事を進めていくことに不安があるのではないだろうか。

仕事だってそうなのだから、プライベートではなおさらだろう。もっとも密な関係を作らなければ成立しない恋愛はどうなるのか。今現在、つきあっている人がいる場合でも、「最近、ほとんど会っていない」という声はよく聞く。

特にどちらかが在宅勤務でないカップルだと、新型コロナウイルスへの危機感がかなり違うケースも多い。カナさん(33歳)はこう言う。

「私が住んでいる地域は、近いうち規制が緩和されるという噂が出ています。つきあっていた彼とは2カ月会っていません。つきあって半年で盛り上がっていたときに、いきなり会えなくなって。彼は通常通り、出社しての勤務のようですが、私はずっと在宅勤務。家にいるとついニュースばかり追ってしまうんですよね。彼はほとんどニュースも見ていないから、『たまには会おうよ』と言うんですが、私、本音を言うと怖くて。たとえデートはできてもキスはできない。もちろんセックスも。そんなこと彼には言えないし……」

つきあって半年くらいだと、気持ちは盛り上がっていただろうが信頼関係という意味ではまだそれほど構築されていなかったのかもしれない。彼はお酒も好きで人好きで、今も営業している居酒屋などに行っているらしいから、彼女の危機感はさらに募っているようだ。

交際中のカップルでさえこれなのだから、これから出会う人とはどんな“恋愛の形”になるのだろう。オンラインで知り合ってオンラインでつきあって関係を深めていくカップルなども出てくるのだろうか。そのまま会わずに婚姻届を提出、会わないままに人工授精で子どもをもうける。などということもありうるのではと考えるのは飛躍しすぎか。
 

元の生活には戻れない?

現在のインフルエンザのように、ワクチンと特効薬ができれば新型コロナウイルスも怖くない、せいぜい1、2年の辛抱だろうと思っている人も少なくないだろう。それは理想論だが、このウイルスが容易に変異していくものだとしたら、私たちは今後も脅かされることになる。感染が拡大する時期になると今のように不自由な生活を強いられるかもしれない。いずれにしても、ウイルスとの共存を余儀なくされる。

そんな中、結婚生活も変わるのだろうか。今回の件で、離婚予備軍は確実に増えた。

「私もいつか夫とは離婚しようと決意を固めているところです。うちの夫は子ども部屋を勝手に自分の仕事部屋にして、昼間は占拠。追いやられた子どもはリビングで宿題をしてる。それほど重要な仕事をずっとしているんだとあるとき、ちょっと子ども部屋を覗いたら夫はゲームに熱中していたんですよ。もう腹が立って腹が立って。『たいして忙しくもないし重要な仕事もしてないんじゃないの?』と言ったら激怒されました。以来、うちは冷戦状態。子どもが高校を卒業したら離婚しようと思っています」

サヤコさん(40歳)はそう言った。それまであと8年。今の会社でもっとスキルを身につけて収入を増やしておくつもりだという。

一方で、もしかしたらいちばん変わらないのは“不倫”かもしれない。3月にはコロナ禍で不倫カップルが別れたという話をときどき耳にしたが、4月以降はむしろ「ずっと続けていく決意を新たにした」という声のほうが多いのだ。昼間のラブホテルが不倫カップルでにぎわっているという話も聞く。

在宅勤務になっているものの、週1回の出社を夫には週2回と偽って恋人に会っているユカさん(42歳)は、「彼との中が深まった」そう。

「怖い時代を生きているんだけど、怖いからこそ彼との関係が重要だとわかったし、彼も絶対にユカとは別れないと言ってくれて。お互いに家庭で息が詰まるので、週に1度は素の自分に戻れる時間を大事にしています」

つきあって1年になるが、以前は週に1度も会うことはかなわなかった。せいぜい月に2度くらい。今のほうが会いやすくなっているのだろう。

会う回数は減ったが、彼との連絡が密になったのは、アキさん(40歳)。20代のころの元カレと再会、よりが戻って2年半がたつ。

「私はパートが自宅待機になっています。夫は自営業なんですが、事務所へ行かずに自宅で仕事をしてる。長時間、家をあけるのはむずかしい状態なんです。彼もほぼ在宅勤務になっているようで、たまに出社する以外で外に出かけることを奥さんがひどく嫌がるんですって。だから『なかなか会えないけど、お互いに健康に気をつけて会える日を待とうね』と励まし合っています。以前は会う約束をするとき以外、あまり連絡を取り合わなかったんですが、今は1日に数回、メッセージのやりとりをしています。いろんな話もしていて、前よりお互いのことを理解できているような気がします」

家庭には義務や責任がつきまとう。だが不倫はそこから逸脱した関係。だからこそ、相手のことだけを思い、自分の気持ちをストレートに伝えることができる。善悪は別として、そういう関係はむしろこういう非常事態のほうが燃えるのかもしれない。実際に会えるようになったときに関係がどうなるのか見えてくるのだろう。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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