亀山早苗の恋愛コラム

コロナ禍で稼ぎが激減、酒量だけがどんどん増えていく夫

夫婦で飲みながら、新型コロナウイルスの影響で仕事が激減したと愚痴る妻。「あなたの稼ぎが少ない」と言われた夫は妻を平手打ち、妻は死亡。どうしても飲んで気持ちを紛らわしたくなるのだろうが、それが進むと取り返しのつかないことになる。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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夫の酒がどんどん増えていく

アル中夫

新型コロナウイルスの影響で仕事が激減したと愚痴る妻。「あなたの稼ぎが少ない」と言われた夫は妻を平手打ちし、妻は死亡。そんな事件が東京で起こった。夫婦は5時間ほど、ふたりで酒を飲んでいたという。

家にいる時間が長くなると、酒好きな人、飲める人はどうしても飲んで気持ちを紛らわしたくなるのだろう。だが、それが進むと取り返しのつかないことになる。
 

帰宅すると夫は夕食もとらずに……

ルミさん(44歳)は、15歳と13歳の娘をもつ母、そしてフルタイムで働く女性でもある。最近、契約で働いていたエンジニアの夫が先月下旬から自宅待機となってしまった。職場が労働人員を削減したからだ。

「正社員ではなく契約なので、何の保証もないんですよね。夫は腕はいいけどプライドが高くて、自分はどこに行っても仕事ができるというのが自慢。とはいえ働く先がなければどうしようもありません」

夫は50歳になる。これからの仕事がどうなるかわからない。

「とりあえずは私の給料でやっていくしかない。私の勤め先は派遣やパートを待機にしたので、社員の残業が増えてしまっている。休校中の娘たちが家事はほとんどやってくれています」

夫は最初のうちこそ、娘たちと協力して家事をやったり勉強を見てやったりしていたが、今月に入ってからは娘たちに任せきり。それどころか昼間から酒を飲んでいると娘たちが顔をしかめている。

「先日なんて、私が帰ってきたときは夫はすでに夢の中。聞けば夕飯もとらずに酒を飲んで寝てしまったようです」

1日で焼酎の瓶がからになっている。最近ではルミさんが出かけてしまうと朝から酒を買いにいき、大きなペットボトルの酒を数日であけていたようだ。夫の気持ちはわかるが、こんなときこそ家族がまとまっていかないといけないのにとルミさんは焦っていた。
 

在宅勤務になって

緊急事態宣言が出る前日、ルミさんの会社もシフトを組み、週に2度の出社ですむことに決まった。あとは家で仕事をすることになる。

「夫は寝室に籠もったまま。夕方、寝室を見てみると夫は飲んだくれて寝ていました。なんだか情けなくてブチ切れました。『あなただけが大変なわけじゃない。学校へ行けない子どもたちも家で仕事をする私も、世間の人たちもみんな大変なの。酒ばかり飲んで体を壊したら元も子もないでしょ』と怒鳴りつけました」

たとえば災害後なども似たようなことがある。酒浸りになってアルコール依存症へと傾いていく人は少なくないのだ。

「夫はもともとお酒には強くない体質。でも何かあると酒に逃げる傾向があるんですよね。以前、勤務先が倒産して失職したときもしばらく酒浸りだった。でもあのときより今回のほうがのべつまくなしに飲んでいる感じ。話し合おうとしたけど、まったく話になりませんでした」

ルミさんはすぐに近くのかかりつけ医に相談の電話を入れた。医師からは夫を連れてくるようにと言われたそうだ。

「でも夫は何の危機感ももってない。飲んで寝て、何も言わない。家族とコミュニケーションもとらない。精神的に弱っているのかもしれないけど、人ってこんなに急に弱るものなのかと少し驚いています」

娘たちが父親を嫌悪しているのが伝わってくるのも、ルミさんとしてはつらい。このままだと娘たちの心にも暗い影を落としかねない。

「なんかもう我が家は一気に坂道を転がり落ちている気がします。もちろんもっと大変な家庭もあると思うけど。せめて娘たちと3人、なんとかがんばっていこうねと話してはいるのですが」

家族から脱落していく夫。そんなふうに感じてしまうのがせつないと彼女は言う。脱落した家族を引き戻すことができるのも、また家族なのではないだろうか。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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