急に口座が凍結し生活費が引き出せない?

 
相続でなく認知症でも預金口座は凍結

相続でなく認知症でも預金口座は凍結


Aさんの母親は高齢でAさんが毎日のように面倒を見ています。母親が生活費を銀行から引き出す際は必ず一緒に行き、トラブルの無いように注意していました。ある日いつものように銀行窓口で預金を引き出そうとしたところ、少し待たされた後、銀行員から「お母様は認知症かもしれないので口座を凍結します」と言われ、以降引き出しができなくなってしまいました。
 

銀行は何で認知症と判断したのか?

 
会話で認知症と判断されてしまうことも

会話で認知症と判断されてしまうことも


Aさんの母親は日を追うごとに少しずつ記憶力などの低下はあったものの、医者から認知症と診断が出ていたわけではありません。では何で銀行はAさんの母親を認知症と判断したのでしょうか? それは窓口での会話でした。少し会話がおぼつかなかったり、「分からない」を何回か言ってしまったため、銀行は『認知症の疑いがある。預金者の預金を詐欺などの不正利用から守るため凍結しよう』との判断に至ったようです。
 

口座凍結の理由は死亡だけではない

金融機関が口座名義人の死亡したことを知った場合、口座名義人の取引口座が凍結されてしまうことはよく知られています。ですが口座凍結となるケースは死亡だけではなく、口座名義人が認知症の場合も口座は凍結してしまいます。親の生活費、医療費や施設の費用などが払えなくなってしまうと困りますが、原則()として金融機関はたとえ口座名義人の家族であっても本人以外の依頼で出金などの取引を受け付けてくれません

一部の金融機関は家族による引き出しの例外対応あり。また2020年3月現在、全国銀行協会にて例外対応について指針を検討中。
 

親が認知症になる前の預金対策

将来に親が認知症になった場合でも預金の引き出しができるよう、事前にやっておける対策は以下の通りです。
  • 親が委託者、信頼できる家族が受託者となる家族信託を活用する。専門家に依頼した際の初期費用は高めになるが、認知症になる前も後も、受託者が預金取引を行うことができます。
  • 任意後見制度を利用する。認知症になった後は毎月の報酬などが生存中続き費用がかさむことも。使い道の制限、内容変更ができない、取消ができないなどのデメリットもあります。
  • 生計一の親族等に限られますが、代理人カードを銀行に発行してもらう。代理人が口座名義人に代わって取引を行うことができます。
  • あえて名義預金を作る。名義預金とは、お金は親のものであるが子などの名義の口座に預けることを指します。親の生活費や施設にかかる費用分をまとめて子が預かり、子の名義の口座に預け入れることで自由に取引ができます。注意点は、親からお金を預かった際にすぐに家族全員に言っておくことです。相続が発生した際に「生前に自分だけがもらっていた」などの誤解を与えもめる原因になってしまいます。また相続が発生した際の相続税の申告においても残金を財産として申告に漏れないようにしましょう。
 

親が認知症になった後の預金対策

上記のような対策が無く認知症になってしまうと、家族ができることは限られてしまいます。
  • 成年後見人制度を利用する。親のお金を引き出すにはこの方法しかありません。家庭裁判所へ申し立てや使い道の定期報告が必要です。後見人への報酬の支払いは生存中続き、途中で止めることはできません。
  • 家族に資金があれば親にかかった費用は家族が立て替えておく家族全員に知らせておきノートを付けておきましょう。相続が発生した際には遺産分割協議で清算してもらいましょう。なお相続税の申告においては民法の相互扶助により被相続人の債務とすることは難しいと考えられます。
 
高齢になってくると医療費や施設費用などが高額になり、預金が引き出せないと親だけでなく子の生活にも大きな影響があります。認知症になった後ではできることも少なく、元気なうちにできる対策をしておくことが重要です。なお生前の費用の工面のことより死亡後の遺産分割の際のトラブルの方が相談が多いのが事実です。後のトラブルにならないよう、親のお金の使い道に関しては家族間での情報共有を頻繁に行うようにしましょう。これが一番の対策です。

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