子ありと子なし、どっちがいい?
子供のあり・なし、どっちがいいのか? うっかり他者に問いかける言葉ではありません。モラハラ、マタハラに関わるナイフのような言葉。しかし、夫婦仲の行く末を考えるにあたっては、夫婦間でこのテーマを話し合うのは重要なことです。
フルタイム勤務の妻が増え、キャリア面、家庭の経済面でも子供を生むか否かは人生の岐路ともいえる大問題。また欲しくてもできにくい男女もいます。不妊の原因の半数は男性にあるという泌尿器科の報告もあり、大変センシティブな問題です。
それを踏まえた上で敢えて「子なし夫婦はラブラブ度が高いか否か問題」を深堀りしてみましょう。
「ラブ度レベル」は子なし>子あり?
世間一般的なイメージとしては、子なし夫婦は「ラブ度高レベル」ではないでしょうか。子あり夫婦ですと、子供が小さい頃は家族一緒に川の字で寝てセックスレス、物心つくと気づかれるのが怖くてセックスレス……と、子供がいるからこそ起こり得る寝室問題の底冷え化があります。子育ての価値観が合わずに揉めることもあります。老後は子供が面倒を見てくれるから安心……ではないことに気づいている方も、少なくないでしょう。
一方の子なし夫婦は、二人でデート的な外出ができるし、余暇やファッションにかける金銭的余裕もあります(育児・教育費を差し引く必要がないという意味で)。
■子供なし夫婦のメリット
・経済的余裕
出産から22歳までにかかるといわれる子育て関連費は1640万円です。お稽古などさせるともっともっと……
(AIU保険調べ)
・妻側のキャリアップがスムーズ
役職が上がる等の重要な時期に休まずともよい
・夫婦喧嘩が少ない
喧嘩の原因はダントツトップが家事分担の不均衡。少なくとも子育てに関する揉め事はない
・パパ・ママの役割を求められない
これまた喧嘩原因のひとつ「父親なんだからちゃんとして」「母親のくせにわからなかったのか」などの役割モラハラ会話がない
子どもの有無と離婚率の関係
メリットは多いように見えますが、こればかりは人によって考え方は様々です。私が所長をつとめる夫婦仲相談所で険悪な夫婦の相談を受けていると、「子はかすがい」という諺の凄みを感じます。「子供のために夫婦を続ける」「子供がわかってくれないと離婚はできない」などなど……。揉め事があったときに子なし夫婦は“かすがい”がないのでクールにライフ・シフトを考えるのか? 厚生労働省の調査では、2008年の子供の有無による離婚率は、
アリ 143,834件
ナシ 107,302件
子なし夫婦の離婚が多いという結果です。子なし夫婦が全体の何%かを考慮したとしても、離婚する夫婦が多いようです。カスガイ効果なのでしょうか。
子どもの有無より「夜の営み」の有無?
筆者はセックスレスの観点から夫婦仲を推察するスタイルなので、厚生労働省の調査よりもフィールドワークやインタビューを元に独自の論を唱えています。産後、夜の営みが苦痛になった妻と、ますますよくなった妻は半々の割合です。後者の場合、夫にその状況を告げて夫も理解すると、無敵のラブラブ度にバージョンアップされています。前者の場合は夫がそれに気づき、早めのケアとメンテナンスをした場合、やはり数年後ラブラブ度は高まります。
子なし夫婦の場合、パパ・ママの役割を求められない分(子供にかっこつけずともよい)、男と女のエロスが途切れることは少ないですし、家の中で、いつでもどこでも気にせず抱き合えます。
つまり子供の有無に関わらず、夫婦の向き合い方次第でラブラブ度は保つことができるということです。子供がいようがいまいが、夫を(妻を)異性として気遣う気持ちさえあれば万事丸く収まります。
※参考
厚生労働省 平成21年度「離婚に関する統計」より
国立社会保障・人口問題研究所「現代日本の結婚と出産―第15回出生動向基本調査」
国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査」結果の概要