大迫に代わる3人の特徴は?
10月10日と15日に、サッカー日本代表が2022カタールW杯アジア2次予選を戦う。森保一監督は久保建英ら23人のメンバーを発表したが、ストライカーの大迫勇也がケガで欠場する。絶対的エース不在のなかで、日本はどう戦う?ドイツ・ブンデスリーガのブレーメンに所属する大迫勇也は、森保一監督の構想で中核を担うひとりだ。9月のW杯アジア2次予選のミャンマー戦でも4-2-3-1の1トップで起用され、後半途中からはポジションを「3の中央」へ下げた。トップ下と呼ばれる役割でも、余裕さえ感じさせた。
ところが、ミャンマー戦後に負傷し、今回は招集が見送られた。代わってFWに登録されたのが、永井謙佑、浅野拓磨、鎌田大地の3人である。
エルサルバドル戦で2得点をマークした永井謙佑(写真:松岡健三郎/アフロ)
J1リーグで優勝争いを演じているFC東京所属の永井は、爆発的なスピードが特徴だ。この
30歳のFWは、6月のキリンチャレンジカップのエルサルバドル戦で2得点をマークし、9月のミャンマー戦にも途中出場した。今シーズンのJ1リーグでは、10月3日のメンバー発表時点で8得点をマークしている。15年以来のシーズン2ケタ得点も視野に入れる。
今シーズンからセルビアのパルチザン・ベオグラードでプレーする浅野拓磨も、相手DFラインの背後をスピード豊かに突いていく。
パルチザンへの移籍会見に臨む浅野拓磨(写真:アフロ)
現在24歳の彼は、日本代表ではヴァイッド・ハリルホジッチ元監督の指揮下で頭角を現わした。ロシアW杯出場を決めた17年8月のオーストラリア戦で先制点をあげるなどしたが、当時所属していたシュトゥットガルト(ドイツ)で出場機会を減らし、ロシアW杯のメンバーには選ばれなかった。
森保監督の就任後に再び代表に呼ばれたものの、今年1月のアジアカップはケガで不参加となった。その後は所属先のハノーファー(ドイツ)で出場機会を失っていたこともあり、代表から遠ざかっていた。セルビアの強豪で試合に絡んでいる今回は、巻き返しの好機である。
鎌田は昨シーズン在籍したシントトロイデン(ベルギー)で、ストライカーとしての才能を覚醒させた。攻撃的MFからFWへポジションを移し、シーズン12ゴールをマークしたのだ。
3月のキリンチャレンジカップに出場した鎌田大地(写真:西村尚己/アフロスポーツ)
今シーズンは所属元のフランクフルト(ドイツ)へ復帰した。ここまで十分なプレー時間を得ており、3月以来の代表復帰に驚きはない。ただ、ポジションはストライカーではなく、本来の攻撃的なMFである。
森保監督はシステム変更も考えている?
さて、森保監督は彼ら3人を使って、どのように攻撃を構築するのか。9月の2022カタールW杯アジア2次予選のミャンマー戦に臨んだ日本代表。背番号15の大迫勇也選手(後列左)が10月は不在となる(写真:新井賢一/アフロ)
大迫は相手ゴールにもっとも近い位置でボールを収め、攻撃の起点となるポストプレーに長けている。最前線から中盤へ下がり、相手守備網の間でボールを引き出すこともできる。彼がいることで攻撃にタメが生まれ、選手同士の距離感が良くなる。4-2-3-1の「3」でプレーする堂安律(PSV/オランダ)、南野拓実(ザルツブルク/オーストリア)、中島翔哉(ポルト/ポルトガル)、久保建英(マジョルカ/スペイン)らが持ち味を発揮できるのも、大迫の存在が下支えになっている。
今回対戦するモンゴルとタジキスタンは、自陣深くに構えて守備を固めてくるだろう。相手守備陣の背後に、スペースはほぼ見当たらない。永井と浅野の特徴は生きにくい相手だ。
ならば、鎌田を1トップに起用するのか。最前線でもプレーできないことはないが、最善の選択肢ではない。
彼ら3人の特徴については、森保監督ももちろん分かっている。そのうえで、大迫不在のチームに招集したのだ。システム、選手の組み合わせを含めて、アイディアを持っていると考えられる。
カタールW杯アジア予選を戦っていくなかでは、今回のように大迫を招集できないことも想定される。格下と見られるモンゴルとタジキスタン相手に永井、浅野、鎌田の3人のFWで臨むのは、その意味でも今後につながる機会だ。今後につながるではなく、つなげなければならないだろう。