公式戦にランキングは関係ない?
勝って当たり前と見なされる試合に勝つのは、実は簡単ではない。日本代表が国際試合を戦った9月上旬のタイミングは、全世界的にテストマッチや公式戦が行なわれた。
ヨーロッパでは来夏に開催されるユーロ(欧州選手権)の予選があり、18年W杯準優勝のクロアチアがアゼルバイジャンと1対1で引き分けた。クロアチアは5カ国が争うグループで首位を走っており、アゼルバイジャンはここまで4連敗で最下位に沈んでいた。
FIFAランキングはクロアチアが7位で、アゼルバイジャンは109位である。クロアチアにとってはアウェイゲームだったとはいえ、ちょっとした驚きをもたらす結果だった。
2022年W杯カタール大会アジア2次予選がスタートしたアジアでも、FIFAランキング上位国が格下相手に大勝を収めることができていない。ランキングがアジア最上位のイランは、139位の香港相手に2対0で勝利した。37位でアジア3位の韓国も、132位のトルクメニスタン戦は2対0に終わっている。
ミャンマー戦で、前半は悪くなかった日本
2022FIFAW杯カタール大会アジア2次予選の初戦、ミャンマーとの対戦に臨んだ日本代表(写真:新井賢一/アフロ)
9月10日にW杯アジア2次予選初戦でミャンマーと対戦した日本も、イランと韓国と同じスコアだった。
前半のうちにMF中島翔哉とMF南野拓実がゴールを奪い、2対0でハーフタイムを迎えたところまでは悪くなかった。後半も数多くの得点機を生み出した。しかし、追加点を奪うには至らなかった。
史上最年少でW杯予選に出場した久保建英も、決定的な仕事はできていない。出場時間は10分ほどだったので、ボールに関わる機会も少なかったが。
今回が3度目のW杯予選出場となるDF吉田麻也は、「W杯予選の初戦で勝点3を取るのが目標だったので、それは満足。でも、やっぱりまだまだ若いチームで、後半のパフォーマンスの質については、もっともっとできるなという感じ。2次予選を通して、もっともっと成長していかなきゃいけない」と振り返った。
直前のパラグアイ戦でも、前半を2対0で折り返しながら3点目を奪えなかった。「もっともっと」を2回繰り返したところに、31歳のキャプテンの現状認識がうかがえる。
チャンスを確実に生かしていれば、5点差以上はつけることができた。それは間違いない。
ただ、W杯予選で勝点を取り逃さなかったのは今後につながる。10月の予選第2戦では、ミャンマー戦より落ち着いたメンタルで臨めるはずだ。
世代交代を図りながらの勝利はもっと評価されるべき
昨夏のロシアW杯後に森保一監督が就任し、日本は緩やかに世代交代をはかってきた。吉田、DF長友佑都、DF酒井宏樹、MF柴崎岳、FW大迫勇也らのW杯経験者がチームを支えつつ、2016年リオ五輪メンバーで25歳の中島と24歳の南野、17年U-20W杯出場のMF堂安律、DF冨安健洋らがポジションをつかんでいる。
ミャンマー戦のバックアップメンバーには3度のW杯出場を誇るGK川島永嗣がいて、リオ五輪組のMF遠藤航やDF植田直通がいて、18歳の久保がいた。
FIFAランキング33位の日本が、139位のミャンマーから2点しか奪えなかったのは、物足りなさを誘うものだったかもしれない。
しかし、イランも韓国も大勝はできていない。勝って当たり前と見なされる試合に勝つのは、実は簡単ではないのである。ミャンマー相手に2点しか奪えなかったものの、失点につながりかねないピンチはほぼなかった。世代交代と戦力の融合を図りながらつかんだ勝利は、それだけに、評価されてもいいはずだ。