亀山早苗の恋愛コラム

夫の浮気相手から「会いたい」と言われ、応じた妻

夫の恋人からある日突然連絡があった場合、その女性に会う妻と会わない妻がいる。会った妻は何を考え、夫の恋人だと名乗る女性と面会したのだろうか。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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夫の恋人から連絡が来た……会った妻

夫の恋人に会った妻

もしも、夫の「恋人」から、ある日突然連絡があったら――その場合、その女性に会う妻と会わない妻がいる。「会う」ことを選択した妻は、何を考え、夫の恋人だと名乗る女性と面会したのだろうか。

 

SNSから連絡が……

「夫の恋人だと名乗る女性から突然、私のSNSを通して連絡が来たんです。『彼は離婚したがっているのに、どうして別れてくれないんですか。会ってお話できませんか』って。彼女のSNSを見ると、顔は出していないものの、確かに夫とおぼしき男との写真をあげている。さて、どうしようかと考えました」

そう言うのはリエさん(42歳)だ。結婚して13年、小学生の子がふたりいる。夫とは仲良くやってきたという自負があった。こんなオンナに家庭を壊されてたまるか、と瞬時に思った。半年前のことだった。

「だから仕事が終わってから、残業だと言ってひとりで会いにいきました。夫は定時で帰れるから夕飯を作っておくよと言っていましたが、誰のせいでこんな目にあってるのよ、と心の中で毒づきましたね」

待ち合わせの喫茶店に着くと、奥の席で若い女性が立ち上がった。ごく普通の会社員で派手でも地味でもなかった。

「年齢を聞いたら28歳ですって。一回り以上年上の夫のどこがいいのかと尋ねたら『やさしいから』と含み笑いをする。ムカッとしましたね。言いたくはないけど私があなたに慰謝料を請求することだってできるのよと言ったら、『慰謝料払ったら別れてくれるんですか』と。意外と一筋縄ではいかないなと思いました」

じゃあ訴えるわね、と言い置いてその日は帰った。

 

会いたかったわけではない

リエさんの場合、会いたくて会いに行ったわけではない。相手の女性から会って話したいと言われたので会ったまで。

「結局、夫に全部話して、自分で落とし前をつけてちょうだいと言いました。夫は1週間後、『ごめん。全部終わったから』と。私もそれ以上聞かずに『あ、そう』と言っただけ。今のところは離婚するのもめんどうだから見逃すけどねと嫌みたっぷりにつけ加えました。夫はビビっていましたね(笑)」

夫が浮気している相手に会うのは、もちろん楽しい経験ではなかった。それでも会わなければよかったとは思っていないとリエさんは言う。

「夫がこういう若い女性に興味があったのかとか、妙にストレートな物言いをする彼女と話してみて、恋ってこういうものだったなとか、いろいろ感じるところはありました。結婚して何十年も目移りしない確信は、私自身がもてないので夫が浮気したことをとやかく言うつもりはないんです。ただ、やるならわからないようにやれと思うし、妻が離婚したがっているなんて致命傷になるようなことを言うなとは思いました。しばらくしたら、夫とこのことについてちゃんと話してみたいと思っています」

リエさんは冷静にそう話すが、もちろん心の中が煮えくりかえった時期もあった。それは彼女自身が言うように、浮気そのものではなく、彼女を精神的に追い込んでしまった夫への不信感と怒りだ。

「逆に私がすごく年下の男性と浮気するなら、私は離婚するつもりはないと最初にはっきり相手に言いますね。結婚と恋愛は違う、あなたとは恋をしたいと告げるかもしれない。それでいやなら関係をもたない。夫には、そのくらいの毅然とした態度をとってほしかったなと思います」

彼女に会ったことで、夫の浮気を尻ぬぐいすることの一端を担ってしまったような後味の悪さもあるという。

会わなければよかったとは思わないが、会ってよかったとも思えない。妻と、夫の恋人というものは、そんな関係なのかもしれない。
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