2次予選突破は間違いなし
2022年のカタールW杯アジア2次予選の組み合わせが決まった。アジア2次予選は40チームを5チームずつ8つのグループに分け、ホーム&アウェイの総当たりリーグ戦で順位を争う。各グループの首位チームと2位チームのうち成績上位の4チームが、最終予選に進出する。
なお、2次予選は2023年のアジアカップ予選も兼ねており、W杯に開催国枠で出場するカタールも参加している。カタールがグループ1位になるか2位チームの成績上位4カ国に入った場合は、2位チームの成績上位5位までが最終予選へ進出する。
日本のグループFはキルギス、タジキスタン、ミャンマー、モンゴルの5チームで構成される。日本以外の4チームはW杯の出場経験がなく、24チームが出場した今冬のアジアカップに出場したのは日本とキルギスだけだ。さらにいえば、4年前の最終予選に進出したのは日本だけである。こうした事実から、日本の首位通過は濃厚と言える。
久保の招集は彼の登録次第?
注目は森保監督のチーム編成だ。先のコパ・アメリカでは東京五輪世代を中心としたチームで、グループリーグ突破(準々決勝進出)にあと一歩まで迫った。GK川島永嗣、DF植田直通、MF柴崎岳、FW岡崎慎司らの2018年ロシアW杯メンバーがチームの幹となりつつ、久保建英や三好康児らの東京五輪世代が躍動した。
森保一監督(写真:徳原隆元/アフロ)率いる日本代表は、2次予選でキルギス、タジキスタン、ミャンマー、モンゴルと戦う
2次予選は9月、10月、11月、来年3月と6月に2連戦のスケジュールが組まれている。各チームが戦うのは8試合なので、そのうち2試合は自由に対戦相手を選んでテストマッチを組める。日本は9月5日の開幕節と11月の第6節に、テストマッチを行う。
W杯予選はアジアだけでなく全世界で同時開催されるため、欧州各国のリーグ戦もJリーグもその間は中断される。ただ、2部や3部リーグは試合がある。スペインの超名門レアル・マドリードに移籍した久保が3部相当のセカンドチーム所属になると、リーグ戦期間中にチームを抜けなければならない。
すでに絶対的なレギュラーならともかく、加入1年目の久保はアピールをしていく立場だ。シーズン開幕直後の9月は、森保監督も招集を見送るかもしれない。
クラブでアピールすべき選手は多いが…
森保監督に招集されてきた選手では、GKシュミット・ダニエル、DF安西幸輝、MF安部裕葵もヨーロッパのクラブへ移籍した。すでにヨーロッパでプレーしていた選手のなかにも、新たなクラブでスタートを切る選手は少なくない。ベルギーのシントトロイデンからイタリアのボローニャへ移籍したDF冨安健洋、スペインのヘタフェから同2部のデポルティーボへ加入した柴崎らだ。カタールのアル・ドゥハイルを離れて名門ポルト(ポルトガル)の一員となった中島翔哉も、この1月まではポルトガルのクラブに在籍していた。
FC東京からスペインの超名門レアル・マドリードへ移籍した久保建英(写真:新井賢一/アフロ)
新たなクラブでスタートを切る彼らは、久保と同じように自分の力を示すべき時期にある。スケジュールだけを考えれば代表に合流できるが、W杯予選に出場すると長距離移動による疲労や時差を抱えてクラブに戻ることになる。これはもうヨーロッパでプレーする代表選手の宿命だが、それによってクラブでの立場が危うくなるのは、森保監督の本意ではない。
W杯2次予選を勝ち抜くことを最優先とするなら、森保監督にはかなり多くの選択肢がある。たとえば、冨安、柴崎、久保、中島の4人を欠くことになっても、スタメンだけでなく控え選手を選ぶことにも困らないだろう。国内でプレーする選手だけでチームを編成しても、2次予選の相手なら勝ち切ることはできるはずだ。
だからといって、試合ごとに選手を入れ替えるのは現実的でない。サッカーの各国代表は国際サッカー連盟(FIFA/フィファ)の定めるスケジュールで活動するが、今年9月から2021年6月までの2年弱は、基本的にW杯予選を消化していくことになる。
W杯予選は出場権をつかむための戦いであり、同時にチームを強化する機会でもあるのだ。選手を入れ替えてばかりいたら、チームの土台作りが遅れてしまう。連携も深まらない。核となる選手は、継続して招集していくべきなのだ。
日本代表というチームを成長させながら、選手たちが所属クラブで活躍できるような後方支援もしていく。森保監督のかじ取りは難しく、それだけに、誰をどのタイミングで選ぶのかが注目されるのだ。
西野朗前日本代表監督はタイを率いる
前日本代表監督の西野朗氏(写真:中西祐介/アフロスポーツ)が率いるタイなどにも注目だ
なお、前日本代表監督の西野朗氏がチームを率いることになったタイ、本田圭佑が実質的な監督を務めるカンボジアも、W杯2次予選に出場する。また、柏レイソル、アルビレックス新潟、ヴァンフォーレ甲府を指揮した吉田達磨氏も、シンガポールの監督を務めている。
日本の戦いぶりと合わせて、彼ら采配をふるう3チームにも注目だ。