夫婦公認の婚外恋愛……恋愛・結婚・夫婦・不倫の形に新しい変化が
不倫の新しい形「公認不倫」
1つは、TVドラマでの性的マイノリティであるLGBTへの理解の広がりです。すでに恋愛は異性間に限ったものではなくなっています。
もう1つは恋愛とはあまり縁のなかったはずの「既婚者の恋愛」への認識の変化です。毎クールに必ずと言っていいほど不倫ドラマが登場し、「結婚」「夫婦」「不倫」のさまざまな新しいパターンを表現しています。
そこで今回はそんな、新しい男女の恋愛関係を見てみましょう。
公認不倫
パートナー公認の婚外恋愛活動
公認不倫を描いた漫画として有名なのが渡辺ペコさんの漫画『1122』。「第8回ananマンガ賞」準大賞も受賞しているので、ご存知の方も多いかもしれません。結婚7年目で、仲良しだけどセックスレスで子供なしの夫婦が始めた「婚外恋愛許可制(公認不倫)」制度。でもお互いの婚外恋愛は不倫相手を巻き込み、思ってもみなかった方向に……という物語です。
この夫婦の場合は妻側の理由によるセックスレスから公認不倫制度が始まっており、婚外恋愛は夫婦間で充足できない性欲を満たすための手段として採用されています。
しかし、セックスレスが理由でない場合も、同様な公認不倫は存在しています。たとえば、世間体、あるいは子供のため、あるいは経済的事情などで離婚はしていないけれど既に夫婦の実態はない「仮面夫婦」となっている2人が、お互いの婚外恋愛を許可しているという公認不倫の例もあります。
あるいは、夫婦のどちらかにパワーバランスが偏っており、力の強い方が婚外恋愛を堂々としていても、力の弱い方は何も言えず、それを認めざるを得ない、といった片方だけの公認不倫もあります。
ポリアモリー
みんなが知っててみんなが平等な複数人の恋愛はあり?
すべての人がすべての関係性を知り、合意の元で築かれた関係性になるため、隠し事も嘘も必要ありません。また全員が平等に愛を分け合うため、どちらが上か、どちらが大切か、という議論もないのです。
芸能人で言うと叶恭子さんはポリアモリーを標榜しています。彼女の場合は一夫多妻制とは逆で、結婚とは無縁の「彼女と複数のグッドルッキング・ガイ達の関係」ということになります。
一見すると大人のおしゃれな関係ですが、実際にはオープンにされているすべてのことを受け入れ、自分の中に湧いてくるであろう嫉妬や独占欲を自身で消化する必要があり、簡単には関係を作れないと思います。
セカンドパートナー
前述の「公認不倫」「ポリアモリー」がセックスを含む関係であるのに対し、セカンドパートナーはプラトニックであることが前提です。友達以上の精神的な深いつながりを持ちながらも、肉体関係はもたない。友達以上不倫未満がセカンドパートナーです。したがって、もし体の関係を持てば、それは「セカンドパートナー」ではなく「不倫」になってしまいます。「どこからを肉体関係って定義するの?」という質問に対しては、「キスまではいい」「いやいや手をつなぐまで」などさまざまな解釈があるようです。
また、「セカンドパートナーは相手のパートナーから慰謝料などを求められないの?」という質問に対しては「不貞行為」があったかどうか、がポイントになります。基本的に、裁判で「不貞行為」と認められるのは性交渉・性交渉類似行為ですので、たとえば「手をつなぐだけ」であれば、「セカンドパートナーの関係であって不倫関係ではない」と主張できると考えてよいでしょう。ただ、不貞かどうかを常に計算しながらお付き合いするのはストレスを感じる気もします。
婚外恋愛の実情は?
夫の婚外恋愛活動に嫉妬?
一見すると、「夫婦両方が納得してそれぞれ【婚外活動】をしているなら、それはそれでいいんじゃない?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、現実はそんなに単純ではありません。
先にご紹介した漫画『1122』でも、夫が婚外恋愛相手の女性に「公認不倫である」と伝えないままで関係をスタートしたため、相手の女性の気持ちが盛り上がってくるにつれて、2人の関係が次第にややこしいことになってくるというストーリーが展開されています。
人の気持ちは、時に自分が思っているよりデリケートで、変わりやすいものです。
私が実際に話を伺った公認不倫経験者によれば、「旦那と寝ている女がどんな女性だろう?私より美人なのかな?とか考えて、ライバル心というか、嫉妬の感情が湧いてくる」「旦那とあの女がベッドの上にいて、彼の指や舌で入念に攻められた女が、身をよじって喘ぐ様子をリアルに想像してしまうと、正直、心がざわつく」「嫉妬の気持ちはないけれど、ここまでして結婚を維持している自分の存在は何なのか、空しくなる」などの声がありました。
やはり、一度でも愛し合って、一生一緒にいようと思って結婚までした相手への想いは、そう簡単に割り切れないものもあるようです。
特に、セックスレスあるいは気持ちのすれ違いなど、現状の夫婦仲への不満や喪失感から公認不倫がスタートしている場合、気持ちのもやもやも大きくなります。目の前の夫婦の課題を置き去りにしたままで、婚外恋愛で気持ちを紛らわそうとしてみたところで、やはり限界があるのか現実でしょう。
どんな夫婦の形を選ぶにせよ、恋愛の形を作るにしろ、今の関係からの逃避ではなく、今の関係に一度向き合ったうえで新しい選択肢を選ぶことが、幸せに向かう第一歩だと思います。
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