この記事での主張は「他人に対して優しい人は貯金できない」いうことだったのですが、「自分に対する優しさ」については触れていませんでした。
実は、他人に対しては「厳しい人」の方が貯金上手なのですが、自分に対しては「優しい(甘い)人」の方が貯金上手な可能性が高いです。というのも、「自分に厳しい人は先延ばし癖がつきやすい」という厄介な特徴があるからです。
自分に厳しい人ほど、先延ばし癖が付きやすい
768名を調査したある調査結果(1)によると、「自分に厳しい人は先延ばし癖が付きやすい」ことが分かっています。自分に厳しい人ほど、先延ばししてしまう理由としては、「目標を達成できないことに対する恐怖心が強いからなのではないか」と考えられています。
たとえば、自分に厳しい人にありがちな思考回路としては、「今月も貯金目標が達成できなかった。自分はなんてダメな人間なんだ……」と、自己嫌悪に陥ってしまうパターンが考えられます。
自己嫌悪にはストレスがかかります。自己嫌悪に陥ると過去の失敗を引きずってしまい、「また貯金目標を達成できないんじゃないか?」といった恐怖心へとつながります。
結果として、「貯金目標を達成できないという恐怖感」を理由に、目標を追いかける足を止め、先延ばししてしまうのです。
自分に甘く! まずは「小さな習慣化」から
自分に厳しい人は、自分の失敗を許すことができません。だから、できるだけ思考を逆転させましょう。一番よいのは「失敗しても大丈夫!」と考えられるようになることなのですが、いきなりそうやって考えを改めるのは難しいでしょう。
そこでオススメなのが「小さな習慣を身に付ける」という方法です。「小さな習慣」とは、習慣化の研究家であるスティーブン・ガイズが提唱する習慣化術です(2)。
具体的には、「失敗しようのない目標を立てて、小さな習慣を身に付ける」というものです。「小さな習慣」は貯金に限らず、生活習慣の改善から筋力トレーニングまで、幅広く応用可能です。
貯金の場合、「月々3000円から貯金してみよう」など、FPの横山光昭さんが提唱(3)している作戦が有効です。失敗しようのないくらいハードルを下げ、「ちょっと自分に甘すぎるかな?」という目標を立てることで、まずは小さく成果を上げ、習慣づくりを優先するのです。
最初の一歩を踏み出そう!
自分に厳しい人ほど貯金習慣は、身に付きにくいといえます。ですが、貯金習慣を「先延ばしにする」か「今すぐ身に付ける」か。この違いは20年後、30年後の未来に大きくなって返ってきます。これまで貯金で挫折し、辛い経験をしたことがあるかもしれません。でも、自分をあまり責め過ぎないでください。自分を責めれば責めるほど、未来へ一歩踏み出す勇気がなくなってしまいます。
怖気づいて「貯金にチャレンジしない」ことは、「貯金に失敗する」こと以上に大きな罪です。だから、「ちょっと自分に甘すぎかも?」と思われるくらいでもよいので、まずは「貯金をしてみる」習慣を身に付けましょう。これが、自分に厳しいあなたへの、最高の処方箋となるでしょう。
【参考文献】
- 記事:Fuschia M. Sirois, 2014, "Procrastination and Stress: Exploring the Role of Self-compassion", Self and Identity, 13(2), pp. 128-145
- 書籍:スティーブン・ガイズ, 2017, 『小さな習慣( ダイヤモンド社)』
- 書籍:横山光昭, 2016, 『はじめての人のための3000円投資生活(アスコム)』