【質問】
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株式市場を見渡すと、お祭りのように騒がれている会社があります。いわゆる、「テーマ株」という銘柄です。お祭り好きな私としては、テーマ株を買うと儲かりそうだと思い、ワクワクします。中原さんから見て、テーマ株を買うのは良い判断でしょうか?
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今回は、このご質問に回答していきましょう。
そもそも、テーマ株って何?
テーマ株とは、最近注目されている会社の株のことを指します。株式市場には「旬」のテーマがあり、テーマに関連する会社の株価が大きく上がったり下がったりします。たとえば、最近注目を集めているのは、デジタルトランスフォーメーション(DX)関連株や脱炭素関連株などです。さて、テーマ株の説明が終わったところで、中原の見解を述べます。端的に申し上げると、「テーマ株を買うのは愚策」というのが僕の考えです。これには2つの理由があります。
1. テーマ株は目立ち過ぎている
テーマ株をオススメできない1つ目の理由は、「テーマ株は目立ち過ぎている」という点です。株式投資の鉄則は、「あまり目立たない、誰も気づいていないような優れた会社の株を安く買うこと」です。しかし、テーマ株は目立ち過ぎているうえ、株価も割高水準のものが多いです。
経済学者らの研究(1)によれば、「目立った会社の株を買っても儲かりにくい」ことが判明しています。この現象は「Neglected-Firm Effect」と呼ばれています。
すでに目立っている会社は、株価が適正価格または割高になっていることが多いので、買ってもうまみがないのです。一方、現時点で目立っていない会社は、割安で放置されているものが多いうえ、これから目立ったときに、株価が上がりやすいと考えられます。
よって、株式投資の王道は「目立たない株を買うこと」であって、その対極にある「テーマ株」は実りの少ない邪道といえるでしょう。
2. テーマ株は値動きが激し過ぎる
テーマ株をオススメできない2つ目の理由は、「テーマ株は値動きが激し過ぎる」という点です。金融専門誌「ジャーナル・オブ・ファイナンス」に掲載された論文(2)によると、「株価の値動きが緩やかな会社は、値動きが激しい会社と比べて株価が上がりやすい!」という傾向が確認されました。
テーマ株は目立つがゆえ、短期的に株価が乱高下しやすい傾向があります。しかし、値動きが激しい割には、大した利益にはつながりません。ギャンブル要素が大きいので、手を出すのは賢明とは言えないでしょう。
ちなみに、僕が独自に、過去の株価データを調査してみたところ、「短期トレードでも長期投資でも、値動きが緩やかな銘柄を買った方が有利!」という傾向を確認しました。
だから、「短期トレードだから、テーマ株を買っても大丈夫!」と言い訳も通用しません。短期でも長期でも、株価が乱高下している株を買うのは、避けておいた方がよいでしょう。
まとめ
何かと目立つテーマ株。新聞や雑誌、ニュースでも取り沙汰されることもあり、「ちょっと買ってみたいな……」と思うこともあるでしょう。しかし、買うのはちょっと待ってください。少なくとも、テーマ株は万人向けの投資先ではありません。割高なものも多いうえ、赤字企業すらあります。
キラキラ光るテーマ株を買うより、目立たず、値動きも静かな、「知る人ぞ知る有望株」を探り当てる方が、よっぽど実りがあるのではないでしょうか。
【参考文献】
- 論文:Craig G. Beard and Richard W. Sias, 1997, "Is There a Neglected-Firm Effect?", Financial Analysts Journal, 53(5), pp. 19-23
- 論文:Andrew Ang, Robert J. Hodrick, Yuhang Xing, and Zioayan Zhang, 2006, "The Cross-Section of Volatility and Expected Returns", The Journal of Finance, 61(1), pp. 259-299
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