なお、過去に「つみたてNISA対NISA、どちらの方がお得なのか?」という記事も執筆しました。こちらも人気の記事ですから、本記事と合わせて一読して頂けると嬉しいです。
つみたてNISAとNISAの違いは?
NISAは、「Nippon Individual Savings Account」の略で、日本語では「日本版:個人向け貯蓄口座」という名称です。難しいことはさておき、ざっくり「貯蓄にお得な節税制度!」と覚えておきましょう。NISAでは、年120万円の、5年間有効な非課税枠を使って、資産を運用できます。通常、株式投資などで得られた売買差益は、約20%の課税がなされます。たとえば、10万円の利益が出たら、2万円は税金で取られる計算です。
しかし、NISAを使うと、この課税がなくなります。10万円の利益を出したら、そのまま10万円を受け取ることができます。2万円の税金を取られることはありません。(=2万円を得する!)
一方、つみたてNISAは2018年から始まった新しい制度です。つみたてNISAもNISAと同じように、非課税枠を受け取ることができます。NISAと違うのは、枠の大きさと非課税期間です。
具体的な違いとしては、つみたてNISAでは、年40万円の、20年間有効な非課税枠を使って、資産を運用できます。また、その他の大きな違いとしては、NISAではほぼ自由に投資先を選べるのに対して、つみたてNISAでは選べる投資商品が限られていて、投資信託とETFしか選べないという点が挙げられます。
つみたてNISAとNISAの違いをまとめると、下記の3つに集約できます。
違いその1:非課税枠の大きさ
NISAの場合…年あたり120万円まで
つみたてNISAの場合…年あたり40万円まで
(NISAの方が非課税枠が大きい!)
違いその2:非課税期間の長さ
NISAの場合…最長5年間
つみたてNISAの場合…最長20年間
違いその3:選べる投資商品
NISAの場合…株や投資信託(ETF)をほぼ自由に選べる
つみたてNISAの場合…認められた投資信託(ETF)のみ
ズバリ:どちらが初心者向け?
つみたてNISAとNISAの違いがわかったところで、本題へ移りましょう。つみたてNISAとNISA、初心者向けなのは、どちらなのでしょうか?ズバリ答えを言うと、「初心者は『つみたてNISA』を選んでおいた方が無難!」だと思います。理由は2つあります。
1つ目の理由は、「少額からの運用に向いている」という点です。
つみたてNISAの非課税枠は、年間40万円までです。NISAの120万円の枠を使い切るのは大変なうえ、いきなり120万円を投資に回すのは怖いでしょう。非課税枠を使いきれないNISAよりも、非課税枠を使い切れそうな「つみたてNISA」を選んだ方が効率が良いです。だから、初めのうちは少額から始めるのが無難です。
2つ目の理由は、「地雷が少ない」という点です。
投資先をほぼ自由に選べるNISAと違って、つみたてNISAでは選べる投資先が限られています。しかも、つみたてNISAでは「ハズレくじ」となりそうな危険なものは、多くが対象外です。だから、つみたてNISAの方が、初心者が失敗しにくい仕組みができているのです
とはいえ、「地雷が1つもない」訳ではありません。つみたてNISAで有利な投資先を選ぶ方法については、過去の記事で取り上げたことがあります。本記事と合わせて、ご活用いただけると幸いです。
以上2つの点を投資することで、上手に節税をしながらお金を増やすことができると期待できます。最近の論文(1)を参考につみたてNISAの節税効果を検証してみたところ、「3万3000円の積み立てにあたり、約1万円の節税効果が得られる?」なんて試算結果も得られています。
これだけ節税効果が大きいのですから、使わないともったいないと思いますよ。
まとめ
ということで、「つみたてNISAとNISA、どちらの方が初心者向けか?」という質問の答えは、「つみたてNISA」でした。とはいえ、「しまった!NISAの方を申し込んでしまったよ!」という方もいるかもしれません。そんな方は、来年からはつみたてNISAに切り替えるとして、今年分を上手に使えるように、勉強をしてみてはいかがでしょうか。
過去に「NISAで最大限稼ぐには、小型株を選ぶべし!」なんて論文(2)を解説した記事も執筆しております。よろしければ、ご活用くださいな。
●参考文献
- 論文:山口勝業, 2016, "株式リスクプレミアムの時系列変動の推計 --日米市場での62年間の実証分析", 証券経済研究, 93, pp. 103-111
- 論文:Rolf W. Banz, 1981, "The relationship between return and market value of common stocks", Journal of Financial Economics, 9(1), pp. 3-18