「中原さんは、普段はどういう株を買うのですか?」
この質問を受けた時、僕は決まった回答をしています:
「誰も知らない、目立たない会社の株を買っています」
こんな回答をすると、質問をしたリスナーは大いに驚きました。というのも、彼らは「知らない会社の株を買うのは不安」「有名な会社の株を買う方が安心」と考えていたようなのです。
しかし、「有名な会社の株を買う方が安心」という考え方は、経済学的に見ると間違っているかもしれません。
知名度の低い会社ほど株価が上がりやすい!
ジャーナル・オブ・ファイナンスに掲載された論文(1)によると、「知名度の低い会社の株は、知名度の高い会社の株と比べて株価が上がりやすい」ことが分かりました。この現象は、「無視された企業の効果(Neglected Firm Effect)」と呼ばれています。「知名度が低い会社」を見つける方法としては、「アナリストが調査対象にしていない会社」を探すとよいでしょう。
たとえば、トヨタ自動車など、日本を代表するような企業については、アナリストが企業を分析し、「アナリストレポート」というものが多く発行しています。
しかし、アナリストの予想は当てにならないという話もあります(2)。また、「アナリストレポートが多く発行されている会社ほど株価が上がりにくい」という傾向がありますので、投資先を選ぶなら、「アナリストに注目されておらず、アナリストレポートが少ない(または存在しない)」会社に注目するとよいでしょう。
まとめ
株式投資をするときには、大事なお金を投資先の会社に託すことになります。だから、「どうせ預けるなら、知っているところに託した方が安心だ」と考える方も多いようです。しかし、安心と思って「有名企業」にお金を託しても、期待どおりにお金を増やせる可能性は低そうです。投資先の「知名度」に惑わされることなく、上手にお金を増やしたいですね。
●参考文献
- 論文:Craig G. Beard and Richard W. Sias, 1997, "Is There a Neglected-Firm Effect?", Financial Analysts Journal, 53(5), pp. 19-23
- 書籍:David Dreman, 1998, "Contrarian Investment Strategies: The Next Feneration", Simon & Schuster