ハーレー伝統のチョッパースタイルを受け継ぐモデル
「ハーレーダビッドソンと言えば?」そう投げかけると、多くの人が両腕を高く持ち上げて「これでしょ?」と言うほど強く結びついている、「チョッパー」スタイル。今回試乗したストリートボブは、そんなチョッパーハーレーのDNAを受け継ぐ数少ないモデルです。
高く持ち上がったハンドルバー、無駄を削ぎ落とした流麗でクラシカルなボディライン、ビンテージ感を高める無数のスポークで支えられたホイール。そして1969年公開の映画「イージー・ライダー」にも登場したキャプテンアメリカ号を彷彿させるシルエットが魅力のハーレーです。
2005年に登場したストリートボブ。髪型の「ボブカット」にも表現される「コンパクトに短くする」という意味が与えられた名称のとおり、もっとも有名なハーレーダビッドソンのスタイル「チョッパー」にインスパイアされたモデルです。チョッパーの先輩格FXDWGワイドグライドよりも、ストリートシーンでのライドを想定したスタイリングになっています。ちなみにチョッパーとはチョップ、いわゆる「削ぎ落とす」の意味で、1970年代のアメリカで流行したソリッドなカスタムスタイルを言います。
2017年モデルからのバージョンアップにより、それまでダイナファミリーだったストリートボブには最新型エンジン「ミルウォーキーエイト」と「ソフテイルフレーム」が与えられ、ソフテイルファミリーへと移行しました。
車体左側のリアエンドを見比べれば一目瞭然。左右にサスペンションを備えるツインショック型フレームだった2016年以前と異なり、ソフテイル特有のトライアングルを描くリジッド型フレームへと骨格を変え、一層ビンテージモデル感を強めることとなったのです。
オートバイとして大幅にバージョンアップを果たしながら、ハーレーダビッドソンらしいクラシカルな佇まいはそのままに残すストリートボブ。どれぐらいパワーアップしたのか、今回はロングライドで試乗インプレッションをします。
ハイパワーエンジンに振り回されるな!?
2016年以前のストリートボブには排気量1,690ccの「ツインカム103」エンジンが搭載されていたのですが、2017年から搭載された「ミルウォーキーエイト」エンジンの排気量は1,745ccと、大幅にパワーアップしています。このエンジンが最初に搭載されたのは、車重が400kgを超える重量級モデル「ウルトラ」などのツーリングモデルからで、その重量を苦なく走らせるエンジンとして注目されました。
そのハイパワーエンジンが、100kg以上も軽いストリートボブに搭載されたわけですから、その分より走りが強力になろうというもの。297kgという車重から鈍重なイメージを持たれるかもしれませんが、走り出しがスピーディなところはスポーツバイクそのもの。それでいて1,700ccオーバーのパワーが備わっているので、チョッパースタイルのクルーザーだと侮って乗ると驚かされてしまうでしょう。
グッと沈み込んだシート位置に両腕を持ち上げる高いハンドル位置と、他メーカーではまずないライディングポジションはかなり特異と言えますが、コントロールを司るステップ位置はミッドコントロールとニュートラルなポジションを保っていますので、ステップワークに慣れてくればタイトなコーナリングでもしっかりクリアしてくれる性能を有しています。他メーカーバイクに乗った経験があるライダーには、ちょっと新鮮な驚きがある、そんなバイクですね。
高く持ち上がったエイプハンガー(ハンドルバー)を支えるライザーには、最新のデジタルメーターが埋め込まれている。そしてテールランプはウインカーと一体型となった斬新な仕様に。ビンテージ感を演出するサドルシートは、各人の体系などによって乗り心地が変わる模様。
身長174cmの私がまたがると、足つきは膝が曲がった上でのベタ足と不安はありません。ただ気になるのは、シート幅がやや広いこと。海外製バイクではあるあるですが、これにより太ももの内側が押し出され、ガニ股のようなポジションになってしまいます。両脚がまっすぐ下に降りている方が足つきが良いとされているので、身長が170cm未満のライダーにとってはやや安定感に欠けるかもしれません。それでも乗りたいという小柄なライダーには、股間部分を細く作っている国産のハーレー用シートを検討することをオススメします。
ストリートボブをカッコよくカスタムするには?
ハーレーダビッドソンの楽しみを最大化するのが「カスタム」。「オーナー自身が楽しく乗ることができる」ためにやるのが大前提のカスタムで、“完成度の高いスタイリング”を生み出すことを目的とするならば、カスタムのスタイル、方向性をまず決めたいですね。
ストリートボブをベースとするなら、鉄板のスタイルはチョッパースタイルを高めること。今でも十分チョッパースタイルを体現しているモデルですが、
- フロントホイールを大きなサイズにする(19インチ→21インチ)
- ステップ位置を、前方に突き出したフォワードコントロールにする
- マフラーを攻撃的なスタイルにしてみる
もうひとつ、今アメリカで流行している「クラブスタイル」を目指すのも面白いですね。クラブスタイルとは、いわゆる“ハイウェイを主戦場とする直線番長”を目指していて、
- 真一文字型のドラッグバー & 長いストレートライザー(ハンドルホルダー)
- フロントマスクの印象を変えるビキニカウル(ロケットカウル)
- ガンファイタータイプのシート
- レーシーなマシンへシフトするためのメガホンマフラー
- 前後サスペンションをよりハイエンドな仕様に
ライディングからカスタムまで幅広く楽しめるストリートボブ
スポーツバイクという面でも高い能力を持つストリートボブ。「ハーレーらしい変わったバイクに乗ってみたい」「今までとはちょっとタイプの違うバイクに乗ってみたい」、そんな人の思いに応えてくれることは間違いありません。最寄りのハーレーダビッドソン正規ディーラーや試乗会イベントなどで一度実車を見てみてください。
[HARLEY-DAVIDSON FXBB Street Bob SPECIFICATIONS]
全長/2320mm
ホイールベース/1630mm
シート高/680mm
車両重量/297kg
エンジン型式/ミルウォーキーエイト107
排気量/1745cc
フューエルタンク容量/13.2L
フロントタイヤ/100/90B19 57H BW
リアタイヤ/150/80B16 77H BW
【メーカー希望小売価格】(消費税込/2018年12月現在)
[ビビッドブラック]1,799,000円
[ウィキッドレッドデニム]1,841,000円
[インダストリアルグレーデニム]1,841,000円
[ビリヤードブルー]1,841,000円
[ラグドゴールドデニム]1,841,000円
[ウィキッドレッド / トゥイステッドチェリー]1,879,000円
【関連記事】