幸せにつながりやすい出費には「交際費」「教育費」「健康維持費」などがあります。時間の過ごし方に悩んでいる方は、こういったところから中心に、時間やお金をあてるとよいでしょう。
男女で違うお金の得意・不得意
パートナーがいる方は、男女間での「お金の価値観の違い」を知ることも大切です。カンザス州立大学の研究(1)によると、「離婚の前触れになる一番の要因は『金銭感覚の不一致』だ!」なんてことも分かっています。僕もこの論文を読んでからは、夫婦間で積極的にお金の話し合いをするようになりました。とはいえ、お金の価値観は人それぞれ。特に、男性と女性では、お金の価値観が全く違う上、得意・不得意にも違いがあることが分かっています。ですから、パートナーがいる方は、「2人で弱点を補い合う」のが大切です。そこで今回は、男女別でありがちなお金の失敗についてお話しします。
男性は「近視眼的な行動」に注意!
まずは、男性の「あるある」から紹介します。日本証券業協会の調査(2)によると、「男性は女性と比べて、近視眼的な行動を取りがちだ」という傾向が明らかになりました。「近視眼的な行動」とは何か?というと、「向こう見ず」といえば分かりやすいかもしれません。大局を見ることなく、目先のことにとらわれてしまうことを指します。
たとえば、男性は女性と比べて「貯金がニガテ」とか「衝動買いが多い」といったことが考えられます。近視眼的な行動が目立つ人は、「将来のために、今我慢しよう」ということが考えられないのです。
近視眼的な行動による悪影響は、投資でも見られています。経済学者のブラッド・バーバーとテランス・オーディーンらの研究(3)によると、「男性は女性と比べて自信過剰で、ひんぱんに取引を繰り返す」傾向が見られたのだとか。その結果として「男性は女性よりも運用成績が劣る」という結果が得られました。
つまり、「男の人は目先の利益にとらわれて、将来の利益を逃してしまう!」ということです。男の人は、お金を使うときには「ここでお金を使うことで、10年後、20年後の生活が豊かになるだろうか?」といったことを考え直してみるとよいでしょう。
逆に、女性は男性と比べて近視眼的な行動は取りにくい傾向が見られました。なので、男性が近視眼的な行動を取りそうになったときは、パートナーの女性にブレーキ役になってもらうのが重要だといえるでしょう。
女性は「損失回避的な行動」に注意!
弱点があるのは、男性だけではありません。女性には、女性特有の弱点があります。日本証券業協会の調査(2)によると、「女性は男性と比べて、損失回避的な行動を取りがちだ」という傾向が明らかになりました。ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンらの研究(4)によると、僕ら人間はもともと「損失を過大評価してしまう」生き物なのだとか。一説によれば、「損失は利益の2倍の痛みを感じる!」のだそう。
女性は男性よりも、この「損失回避」の傾向が強く見られます。よくいえば「リスクに敏感」「守りが上手」と表現することができますが、わるくいえば「チャンスを逃してしまう」「とるべきリスクを取れない」とも表現できます。
つまり、「女の人は損失を嫌い過ぎるあまり、チャンスを見過ごしてしまう!」ということです。女の人は、お金を使うことをためらったときに、「ここでお金を使わないことで、どんなチャンスを逃すだろうか?」といったことを考え直してみるとよいでしょう。
男性は女性と比べ、損失回避的な行動は取りにくい傾向が見られました。なので、女性が損失回避的な行動を取りそうになったときには、パートナーの男性にブレーキ役になってもらうのが重要だと言えるでしょう。
まとめ
今回は男女別に「ありがちな失敗」の話をしました。これとは別に、「年齢によって、近視眼的な行動のとりやすさが変わる!」なんてことも分かっていますので、こちらも併せてご参照ください。大切なのは「自分の強みを活かすこと」、そして「自分の弱みを消す方法を工夫して考えること」です。この記事をきっかけに「お金の得意・不得意」が分かった方は、悩んだときの対策を考えてみてはいかがでしょうか。
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【参考文献】
- 論文:Feffrey Dew, Sonya Britt, and Sandra Huston, 2012, “Examining the Relationship Between Financial Issues and Divorce”, Family Relations Interdisciplinary Journal of Applied Family Science, 61(4), pp. 615-628
- 調査:日本証券業協会, 2018, "個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書"
- 論文:Brad M. Barber and Terrance Odean, 2001, "Boys will be boys: Gender, overconfidence, and common stock investment", The Quarterly Journal of Economics, 116(1), pp. 261-292
- 論文:Daniel Kahneman and Amos Tversky, 1979, "Prospect Theory: An Analysis of Decision under Risk", Econometrica, 47(2), pp. 263-292