東海の観光・旅行

犬山市の桃太郎神社が桃太郎発祥の地である深い理由

子供から大人まで親しまれている民話「桃太郎」。その発祥の地が岡山県や山梨県だとの説は多々あります。愛知県犬山市もその発祥説の一つの地で、犬山市郊外にある「桃太郎神社」には桃太郎伝説を物語る多くの逸話が残っています。 見所やご利益、御朱印・お守りなど愛知県犬山市の桃太郎神社をご紹介します。

岩田 武

執筆者:岩田 武

東海ガイド

愛知県犬山市の桃太郎神社とは?

愛知県桃太郎神社にはシュールな像が沢山!

筆者撮影

愛知県北部の町、犬山市には桃太郎神社という神社があります。御鎮座は昭和5年。桃太郎神社の位置する木曽川沿岸には桃太郎誕生地の伝説があり、境内にはおばあさんが川で洗濯した岩が祀られています。

桃太郎といえば、民話桃太郎のモデルとなった神様、吉備津彦命(キビツヒコノミコト)が思い浮かぶかも知れませんが、犬山の桃太郎神社に祀られているのは大神実命(オオカムヅミノミコト)という桃の神様が祀られています。そう、桃から生まれた桃太郎の桃が御祭神様なのです。
 

桃太郎神社は桃の神様が祀られている!

桃太郎神社は桃が神様の神社。桃信仰なのです。

筆者撮影

桃太郎神社に祀られている神様は果実である桃です。神社の由来は古く、桃は古事記や日本書紀にも神様として登場するほど古来から信仰の厚い果実がこの桃太郎神社の御祭神さまなのです。
古事記には伊耶那岐神(イザナギノミコト)が黄泉の国から無事に逃げ帰った際、桃に「私を助けてくれた様に、これからも私の国の人々が苦しんだ時には助けてください」とお願いした事で、大神実命(オオカムヅミノミコト)と名前を賜ったとあります。

桃太郎神社のある犬山市栗栖という地域には「桃山」という山があり、犬山の市街から離れた場所にあるのですが、縄文時代の遺跡も発掘されていることから、大昔から人が住んでいた地域でした。この地の方達は桃山の桃を神様の桃として信仰していて、桃とその桃を育んでくれる山も神様として信仰していたのではないかと言われています。

昭和の時代になって栗栖地域が人里離れた静かな場所であることから、集落の入り口に今の桃太郎神社が建立され、今日まで犬山市民に親しまれています。
 

シュールなコンクリート像が参拝者を楽しませてくれるぞ

境内には浅野祥雲作のコンクリート像が沢山!

筆者撮影

桃太郎神社の境内各所には写真のようなシュールなコンクリート像が設置されています。このコンクリート像は中部地方を中心に活躍されていたコンクリート人形作家の浅野祥雲作。愛知県や岐阜県にその作品を見ることができます。
2012年に塗り直したコンクリート像は参拝者を楽しませてくれます

筆者撮影

ここ桃太郎神社では桃太郎の話の内容に沿ったコンクリート像が展示されていて、参拝者を楽しませてくれます。神主様にコンクリート像の由来をお尋ねしたところ、「本来ならば鳥居の中心は神様の通り道、しかし浅野祥雲のコンクリート像を鳥居の中心に置くことで、参拝してくださる皆様を笑顔にしてくれるのです」と楽しげに語ってくれました。
境内に流れる滝を利用したシュールなコンクリート像も!

筆者撮影

確かにシュールなコンクリート像が立ち並び、境内を散策しながら本殿へ参拝する頃には笑顔になっています。あまり写真で紹介してしまうと楽しさが半減してしまいそうなので、印象に残った数体のみ紹介しますね。

他にもいろいろと桃太郎の昔話の1シーンに出てくる立体像があるのでぜひ訪れて探してみてください。
 

桃型の鳥居や桃を形どった岩!? 桃太郎神社の見所はここだ!

桃の形の鳥居は日本でここ桃太郎神社だけ!

筆者撮影

桃太郎神社には他の神社にはない魅力があります。例えば桃を形どった鳥居。これは本殿の入り口にある鳥居で、桃信仰を形どって作られた鳥居になります。
くぐると寿命が100年伸びる伝説も…

写真提供(一社)犬山観光協会

境内には長寿を願う百度くぐりの岩という桃を形どった岩があり、くぐると100年まで寿命が伸びると言われています。訪れた際にはぜひくぐって帰りたいところですね。
桃太郎神社一帯は国定公園に指定されています

筆者撮影

また、桃太郎神社に併設されている桃太郎公園は広い芝生の広場で、取材当日も平日ながら多くのキャンパーがテントを並べていました。この桃太郎公園はキャンパーの間では世界的に有名なキャンプ場で、利用料が手軽な上、サイトの区切りがなく、火も使えます。広い敷地でのびのびとテントを張ることができるため、今注目のキャンプ場なのです。

神社だけでなくちょっとしたピクニック道具を持って訪れて、のんびりとした休日を過ごすのもいいですね。
 

桃太郎神社のご利益は?

桃太郎神社で知られているご利益として、「子授かり」、「安産」、「子どもの発育」、「厄除け」、「長命」とあります。古事記の記載にあるように桃は厄除けとして、また桃太郎の逸話の様に子どもの守り神として親しまれています。

ここ桃太郎神社は地元犬山市でも有数の安産祈願を行う神社としても有名で、毎年5月5日のこどもの日は安産を願う妊婦さんや子どもの発育を願う家族で賑わいます。
 

宝物館には何がある?

訪れた際はぜひ訪ねたい宝物館

筆者撮影

宝物館の敷地内には桃太郎の童話にちなんだコンクリート像が並んでいます。(入場料は大人200円、子ども100円)浅野祥雲のコンクリート像をすべて見るのにはこの宝物殿への入場が必要で、取材日もこのシュールなコンクリート像を写真に収める写真愛好家の方がわざわざ関東方面から来ていました。

宝物館の中には鬼のミイラの写真や鬼のガイコツ、桃太郎が生まれたとされる桃の化石の写真が展示されています。これら写真は実際に桃太郎神社の宝物館で展示されていた物で、平成8年の火災で焼失してしまい、実物を失ってしまっています。大変貴重な物ばかりだっただけに悔やまれる出来事ですね。
 

桃の鳥居がかわいい! 桃太郎神社の御朱印やお守りは?

御朱印は一枚300円。御朱印帳を持参しよう!

筆者撮影

桃太郎神社の御朱印は300円で受け付けています。御朱印は御朱印帳に記載していただくか、もし忘れてしまっても大丈夫なようにいただけるようになっています。桃太郎神社に伺った際にはぜひ御朱印を頂きたいところ。桃の鳥居をあしらった御朱印がとても素敵です。

お守りは安産祈願のお守りを買われていく参拝者が多いようです。子育ての神様として祀られている大神実命さまのご利益がたっぷりと受けられそうですね。

また、桃の季節になれば美味しい桃の販売も近くのお土産屋さんで買うことができます。季節の地場野菜や果物を売ってたりもするので、参拝の際にはお土産店も覗いてみてください。
 

シュールな桃太郎神社は子どもと一緒に楽しめる神社だった!

本殿に参られたらぜひ隅々まで散策してほしい

筆者撮影

愛知県犬山市にある桃太郎神社。アクセスは名鉄犬山遊園駅から徒歩40分、または同駅から車で10分ほど。徒歩で40分と紹介すると大変に遠く感じますが、木曽川沿いを季節を感じながら歩くことができて、あっという間に着いてしまいます。桃太郎神社を目的に参拝される方の多くは名鉄犬山遊園駅から徒歩で参拝されています。

桃太郎神社の周辺は飛騨木曽川国定公園となっていて、日本八景のうちの一箇所としても登録されています。雄大な木曽川沿いを歩いて散策されるのも楽しいですよ。


<DATA>
■桃太郎神社
住所:愛知県犬山市栗栖大平853
TEL:0568-61-1586
営業時間:10:00~16:00
定休日:なし
アクセス:名鉄犬山遊園駅から徒歩40分、または同駅から車で10分ほど
駐車場:200台
地図:Google マップ

 
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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