モナコイン攻撃に見る、PoW型コインの課題
5月に国産コインであるモナコインが攻撃されました。PoW(プルーフ・オブ・ワーク)というシステムを対象とした攻撃とみられています。そもそもPoWとはどういったものなのでしょうか?簡単な言葉に置き換えて説明しています。PoW(プルーフ・オブ・ワーク)の仕組みとは
2018年5月、国産のアルトコインであるモナコインに攻撃が仕掛けられ、海外の取引所で多額の被害が出ました。今回の攻撃の特徴は、PoW(プルーフ・オブ・ワーク)型のコインをターゲットにしているところにあり、モナコインの他にもPoWを採用しているVergeとBitcoin Goldにも被害が発生しました。
PoW(プルーフ・オブ・ワーク)とは、ブロックチェーン上で行われた取引について、マイナーと呼ばれる不特定多数の参加者がマイニングという計算作業を行い、より早く正値(ハッシュ値)を導き出した人に認証の権利(ブロック生成の権利)と報酬が与えられる、というシステムです。
ブロックチェーンに接続されたマイナーのコンピューターは「ノード」と呼ばれ、相互監視のもと、全ては多数決により決定されます。
そのため、万が一最初に正値を出したマイナーが誤ったブロック生成を行った場合、その記録は他のノードから承認されず、次番へと権利が移動します。このような常に正しいブロック生成と認証が行われる仕組みがPoWであり、改ざんがほぼ不可能と言われる所以です。
なぜモナコインやPoW型コインが攻撃されたのか
今回の被害はPoWを悪用した「51%攻撃」と呼ばれており、悪意ある集団がブロックチェーン取引の承認権を独占、正当な取引承認を否認し、自分たちに都合のよい不正取引を認証するというもの。全てを多数決で決定するPoWというシステムを逆手に取った方法といえます。また、ハッシュレート(採掘速度)が大きく関わっています。
ハッシュレートはその高低により、マイニングへの参加者数を推しはかることができます。今回狙われたモナコイン、Verge、Bitcoin Goldは、市場でのコイン価格が比較的高いがハッシュレートは低いというコインでした。ハッシュレートが低いということは、参加者が少ないということであり、そのため承認権の独占も容易だったのではないかと思われます。
PoW型コインの課題
専門家の指摘によると、ハッシュレートを売買できるウェブサイトが存在しており、今回の犯人はそこで攻撃に必要なモナコインのハッシュレートを調達したのではないかといわれています。モナコインはGPU(グラフィックス処理ユニット)によってマイニングを行うコインですが、GPUによるハッシュレートは自由に移動することができるため、攻撃に利用される可能性が高いのです。
今回の事件で見えてきたのは、ハッシュレートの低いPoW型コインの採掘方法の悪用です。市場価格とハッシュレートとのバランスを欠いたコインに対する攻撃をいかに防いでいくのかが、今後の大きな課題となっています。