ビットコインのハッシュレートの拡大に関して
2018年に入り、各国(主に米国と中国、韓国)の仮想通貨規制やICOの広告規制、多額のクラッキング被害などネガティブなニュースが噴出し、ビットコインを始めとする大多数の仮想通貨価格が下落しました。しかし、仮想通貨市場が冷え込む中、マイニングのハッシュレートは増加・上昇を見せています。マイニングとはビットコインのネットワークの維持に必要な要素であり、この点に関する限りでは、仮想通貨市場とは逆の現象が起きていました。
それは数字にも表れており、コインデスクが発表した2018年第一四半期のビットコインのハッシュレートは、前期比で47%の成長を遂げ、2018年5月現在もビットコインのハッシュレートは3,000万TH/ s(3000万テラハッシュ・1テラハッシュは1秒間に1兆回のハッシュ演算を行うこと)超を維持しており、世界で最も強力な計算システムの1つとなっています。
ハッシュレート(Hash Rate)とは仮想通貨のマイニングでの計算力のパワー・計算速度のことで、ビットコインの「プルーフオブワーク(Proof of Work)」で利用されるハッシュ計算を一秒間に何回繰り返すことができるかの指標です。
単位はキロハッシュ(KH/s 、千回/1秒間のハッシュ演算)、メガハッシュ(MH/s、百万回/1秒間のハッシュ演算)、ギガハッシュ(GH/s 、十億回/1秒間のハッシュ演算)、テラハッシュ(TH/s 、一兆回/1秒間のハッシュ演算)、ペタハッシュ(PH/s、千兆回/ 1秒間のハッシュ演算)で表されます。
ハッシュレートの上昇は通貨価格の上昇につながる傾向に
ハッシュレートの上昇、すなわちマイニング速度の上昇は、多くのマイナーの参加やマイナーの計算処理能力の向上を表しています。ハッシュレートが高く維持されていることは、通貨としての信頼性の向上を意味し、ひいては通貨価格の上昇につながる傾向にありました。ハッシュレートの低下はその逆で、マイナー参加が少なく、トランザクションの処理速度や通貨の信頼性が低下し、価格の下落につながるとされていました。しかし、2018年の第1四半期の結果を見る限りでは、こうした単純な相関関係とは限らないということが証明された形です。
その理由として、マイニング技術の革新が挙げられます。現在、仮想通貨そのものよりもブロックチェーン技術の優れた機能に注目が集まっており、各国のメーカーがマイニング用の半導体開発に力を入れています。それによりもたらされるマイニング技術の進化により、ハッシュレートは上昇を続けているのです。