平成28年の寄附金額は全国で2844億円!
ふるさと納税がテレビやネット等で頻繁に取り上げられるようになり、聞いたことがある人や経験したことがある人はかなり増えています。ふるさと納税による実際の寄附金額や寄附件数は、総務省ふるさと納税ポータルサイトで確認できます。「平成29年度ふるさと納税に関する現況調査について」から、過去9年間の「寄附金額」と「寄附件数」を表にしてみました。また、寄附金額と寄附件数の前年比および寄附1件あたりの寄附金額を計算し、合わせて載せておきました。ふるさと納税による寄附金額は、平成20年度の81億円から平成24年度には104億円へ、最初の4年間で23億円増えました。4年間で約1.3倍に増えれば十分な成長と言えそうですが、減った年が2年あるように、まだまだ不安定で発展途上な制度でした。
平成24年度からの4年間は、寄附金額が104億円から2844億円へ物凄い成長を遂げています。特にここ2年は寄附金の増加額が1000億円を超えており、寄附件数の増加も500万件を超えています。急増した理由としては、「ふるさと納税ワンストップ特例制度(従来税金の控除を受けるために必要だった確定申告が、給与所得者が5団体以内にふるさと納税するような場合に限り確定申告が不要になる制度)」の開始や税額控除できる枠の拡大、経験者の口コミ等が考えられます。
1件あたり寄附金額は、ふるさと納税する人が増えるにつれて小口化してきています。
寄附の受け入れが多いのは北海道・山形県・宮崎県
ふるさと納税は育ててくれたふるさとへ税制を通じて貢献できる制度ですが、生まれ育ったふるさとでなくても寄附することはできます。つまり、出身者の多い少ないはあまり関係なく、ふるさと納税で寄附する人の気持ちが寄附金額や件数に大きく影響します。平成28年度の寄附金額を都道府県別にわけ、どこが寄附金を多く受け入れているか確認してみました。都道府県ごとの寄附金額は、各都道府県への寄附とその県内の市町村等への寄附の合計です。「寄附金額の対全国比」は、全国で2844億円あった寄附金額に対するその都道府県の割合(シェア)で、「寄附金額/件」は、都道府県ごとの寄附1件あたりの寄附金額です。
ふるさと納税を最も受け入れているのは北海道で、北海道および北海道内の市町村を合わせて計271億円の寄附金を受け入れています。北海道のシェアは9.54%にもなり、日本全体の1割近い寄附金が北海道に集まっています。寄附件数も163万件で全国1位です。
2番目に寄附金額が多いのは山形県の225億円、3番目が宮崎県の206億円となっています。寄附件数は宮崎県が2番目で123万件、3番目が山形県で116万件となっています。宮崎県と山形県は人口が共に110万人程度であり、人口以上の寄附件数を受け入れていることになります。表に載せた寄附金額の多い10道県だけで日本全体の57.7%もの寄附金を受け入れています。特に九州は6県も入っており、ふるさと納税によって九州の市町村等はかなり恩恵を受けているようです。
山形県は寄附金の受入額が全国2位
寄附の受け入れが少ないのは富山県・徳島県・東京都
寄附金を多く受け入れている都道府県があれば、そうではない都道府県もあります。ふるさと納税による寄附金額の受け入れが少ない都道府県(都道府県およびその県内の市町村等)も表にしてみました。ふるさと納税による寄附金を最も受け入れていないのは富山県で、富山県および富山県内の市町村を合わせて計5億円しか受け入れていません。富山県のシェアは僅か0.19%で、北海道の50分の1程度です。2番目に少ないのは徳島県の6億円(シェア0.21%)、3番目は東京都の9億円(0.31%)となっています。寄附件数では東京都が最も少なくなっています。東京都や都内各区市町村は、制度の主旨から寄附金額や寄附件数が少ないのは仕方ないのかもしれません。富山県と徳島県は寄附金を受け入れる必要があまりないのか、現状はまだ様子見のようです。表の10都府県合計しても日本全体の僅か4.1%にしかならず、多く受け入れて都道府県とは大きな差があります。
富山県は寄附金の受入額が非常に少ない
育ててくれたふるさとへ貢献できる仕組みとして、ふるさと納税が末永く続いていくことを願いたいものです。
【関連サイト】
総務省ふるさと納税ポータルサイト