プラグインハイブリッド(PHV)で世界一売れている車「アウトランダーPHEV」
三菱自動車のラインナップの中で世界中から高い評価を受けているのがアウトランダーPHEVだったりする。実際、電気自動車として十分な航続距離を持つ実用的なPHV(プラグインハイブリッド車=50km程度の距離なら電気だけで走れ、それ以上の距離になったらエンジンで走る車両)としては、世界一売れているのだった。なんせ満充電しておけば電気だけで40km~50km走れ、夜間電力契約だと100円以下。この距離、ガソリン車ならリッターあたり15km/L走る燃費の良いSUVでも400円掛かる。しかも電気自動車モードの時は静かで快適。価格は補助金を使えばフル装備車で360万円程度(自動車税免税の地域も多い)。内容を考えればお買い得だ。
私も後期型のアウトランダーPHEVに乗っており、かつてないほど高い満足度を得られている。本来なら日本市場でもたくさん売れて当然だと思うけれど、いかんせん不正問題以降、三菱自動車のイメージが薄すぎる。良いクルマなのに売れない、という「もったいないスパイラル」に入り込んでしまってます。
2019年型アウトランダーPHEVの改良点を見ていこう
前置きが長くなった。三菱自動車としても「このあたりで本格的なテコ入れをしたい」ということなんだろう。 1回目のマイナーチェンジではエクステリアや車両の質感を向上させてきいたが、今回エンジンやモーター、バッテリーを含むパワーユニットまで大がかりなリニューアルをしてきた。依然として優れた環境&経済性能を持つSUVで世界唯一の存在になりそう。まずエンジン。これまで少しだけ燃費の良い2000ccの4気筒エンジンを搭載していた。絶対的な出力も静粛性も”ほぼ”問題無いと思えるが「もっと良くしたい」ということで、出力を10%アップした上、2400ccの燃費を重視したアトキンソンサイクルに換装。電池搭載量も15%増やしてきた。全て性能向上に直結するスペックである。
雪道を試乗。スポーティになったほか、電気走行時の航続距離も燃費も改善
雪道ながら試乗してみると、エンジンは一段と静かになっており、おそらく一般道なら掛かっていることもわからないと思えるレベル(現在販売されているモデルですら判別しにくい)。アクセルを開けた時の反応は10%以上鋭くなっているということで、只でさえストレスを感じない現行モデルより一段とスポーティになった。参考までに書いておくと、フル充電時の実用的な電気自動車航続距離は、現在のモデルで前出の通り40~50km(乗り方によって差が出る。私の場合、50kmくらい走る)。それが新型だと45~60kmくらいまで伸びるという。電気料金は100円から115円になる程度。エンジンで走る時の実用燃費も10%以上向上していると言うから文句なし。
乗り心地の質感も良くなったことが一番の驚き
パワーユニットもさることながら、個人的には乗り心地の質感が良くなっていることに驚いた。現行型アウトランダーPHEVの最大にして唯一の弱点は乗り心地の悪さ。私は辛抱出来ず、サスペンションを改良した。開発チームも認識しているようで、ボディの剛性感やダンパーそのものを大容量化して対策したという。結果、ガタガタの雪道で現行モデルと乗り比べると、ハッキリと改善されていた。詳細は一般道で試乗してから判断したいが、デビュー当初からの課題だった乗り心地の悪さを克服出来たら、一段と魅力的なクルマになると思う。ちなみに雪道でのハンドリングは、マイナーチェンジした1年後の小改良モデル(2017年2月)以降、大幅に改善されており今回も楽しめた。
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