M&Aで新たな収益基盤の確立進める業界3位の電気通信工事

ミライト・ホールディングス(1417)は国内第3位の電気通信工事会社。足元の受注動向や事業環境に吹くフォローの風、強い財務を考慮すると現在の株価は割安だと思います。株主優待は人気のクオカードです!

ミライト・ホールディングス(1417)は国内第3位の電気通信工事会社。足元の受注動向や事業環境に吹くフォローの風、強い財務を考慮すると現在の株価は割安だと思います。株主優待は人気のクオカードです!

ミライト・ホールディングス<1417>は国内第3位の電気通信工事会社で、M&Aなどを含めた収益基盤の強化に取り組んでいます。同社は、2010年に、大明(設立1944年)、東電通(同1946年)、コミューチュア(同1960年)の3社の経営統合によって誕生した共同持株会社です。その後も大明と東電通が合併したミライト(東京)を、コミューチュアが商号変更したミライトテクノロジーズ(大阪)を傘下に置く体制に事業を再編。2016年にはシンガポール本社を置き、海外事業も本格化させています。

経営統合以来、M&Aや設備投資を活用しながら、情報通信を核とした「総合エンジニアリング&サービス会社」として事業ポートフォリオの構造転換と経営基盤の強化を推し進めてきました。最近でもM&Aによってミャンマーにも進出いているほか、技術者派遣事業も獲得。現在では連結子会社53社で構成される事業体となっています。

国内通信工事売上に依存する事業構造から、それ以外の空調・下水道・新エネルギー、ICT、ソフトウェア、グローバルといった新分野による収益基盤を持つ事業構造への改革に取り組んでいます。

同社が展開する事業は、NTT事業、マルチキャリア事業、環境・社会ソリューション事業、ICT事業の4つです。

<1>NTT事業(事業別売上構成比2017/3期実績:34.7%)
NTT東日本及びNTT西日本の固定通信設備の建設・保守・運用等を行っています。中心となっているのが光ファイバー敷設関連工事です。
(後述しますが、)NTTが2014年に始めた光コラボレーションによって、多くの事業会社が光回線サービスを提供できることになったことが追い風となっています。

<2>マルチキャリア事業(事業別売上構成比2017/3期実績:27.2%)
移動体通信事業者の携帯電話基地局や屋内基地局といった通信設備に関するコンサルティングから設計、施工、調整、試験、保守に至るまでを請け負う他、NCC(New Common Carrier)向け固定通信設備、CATV工事等も手掛けます。(NCC:1985年の通信自由化により新規参入した第一種電気通信事業者の総称。KDDIやソフトバンク。)

同社が手掛けるのは主に、高速移動通信サービスや周波数再編に関連する基地局建設や関連設備の増強など、様々な通信インフラ設備の構築で、ドコモ、ソフトバンク、KDDIなど全通信事業者に対応しています。

<3>ICTソリューション事業(事業別売上構成比2017/3期実績:23.3%)
一般企業、官公庁、金融機関を主な顧客とし、情報通信システムの建設・保守・運用を手がけます。通信建設における宅内設備構築から派生した事業でしたが、今では、クラウドサービスなどストック型ビジネス基盤の要となっています。

<4>環境・社会イノベーション事業(事業別売上構成比2017/3期実績:14.8%)
通信設備の建設工程で培った電気・土木工事技術を活用して始めた事業。環境・エネルギー関連工事、社会インフラの構築、一般企業の空調設備や電気設備の建設・保守などを手がけています。再生可能エネルギーや電気自動車の充電器、東京五輪関連の道路整備や電線地中化など、インフラ需要に対応した事業展開となっています。

固定ブロードバンド市場の成長をよみがえらせたNTTのビジネスモデルとは?

同社の顧客はNTTグループが主体となっていて売上の約35%を構成しています。NTT事業では、NTT東日本とNTT西日本の固定通信設備(固定ブロードバンド回線)の工事、つまり光回線の敷設が中心となっていますが、他の事業者による光回線サービスも関係してきます。

どういうことか?現在、ドコモやソフトバンクのほか、TSUTAYAなど通信事業者以外の業界でも「TSUTAYA光」などと称して固定ブロードバンド回線サービスが提供されていますよね。これは全て(※注)、NTTグループのフレッツ光と同じ回線が使われているのです。

(※KDDI(au)は、自社の回線網を使った光回線サービス「auひかり」を提供しており、光コラボレーションは利用していません)

異業種が固定ブロードバンド市場に参入することができるようになったのは、NTTが2014年に開始した光ファイバー回線のサービス卸である「光コラボレーション」が開始されたことが大きく関わっています。光コラボレーションの開始によって、様々な業界の様々な企業がNTT東日本・NTT西日本から光回線を借りて自社名義で光回線サービスを提供することができるようになりました。

光回線を自社で提供するためには、全国に光回線設備を敷設する必要があり、設備投資には莫大な金額が掛かります。それがNTTに借りるだけで光回線サービスを提供できるわけですから、NTTにとっても提供したい企業にとっても嬉しい話になります。また利用者にとっても、セット割を利用すれば割引を受けられるメリットがあります。つまり3方良しのビジネスモデルというわけです。

こうした特徴を持つ「光コラボレーション」モデルの登場は、停滞していた固定ブロードバンド市場を再活性化させることとなりました。

成熟期を迎えた固定ブロードバンド回線市場、光回線が成長を牽引~光コラボの普及拡大を追い風に設備投資需要を取り込め~

固定ブロードバンド回線は、世帯普及率が70%を超え飽和状態となって成長は停滞していました。固定ブロードバンド回線は、インターネット普及期の2000年代はADSLを中心に急速に増加し、2005年頃は年率成長20%という高成長を見せ、その後も光ファイバーがADSLに替わって成長を牽引していました。

ところが2012年頃から、新規加入者数の伸びが鈍化したことに加え、モバイルインターネットの発達などによって成長は鈍化。スマホが普及した上、LTEやWiMAXなど、それまでより格段に高速なモバイル通信サービスが登場し、ネット利用を特に固定回線でつなげるメリットは個人消費家にとってはそんなに大きくなくなっていきました。

光ファイバー普及率は50%を超えてきており、これからの新規加入者を呼び込むにも、モバイル通信と速度差が縮んでいることから、今さら「光ファイバー速いよ!」だけでは響きません。固定ブロードバンド市場は完全に成熟市場となっていたのです。

それを再活性したのが、様々な業界のサービスと組み合わせて提供する光コラボレーションモデル。ADSLからの移行やCATVの光回線化に加え、光コラボ効果によって新規加入は光回線市場の成長を促しています。MM総研によると、2017年9月末時点の光回線の契約数は2,991.4万件、2018年3月末に3,038万件(3.6%成長)となると予想されています。中長期では、2020年3月末に3,217万件、2022年3月末に3,363万件に増加するとされ、固定ブロードバンドに占める光回線の割合は8割を超える見通しとされています。

また、光コラボは2017年9月末1,014.5万件で、光回線市場全体に占める割合は33.9%、2018年3月末に1,129万件、光回線市場に占める割合は37.2%になり、2022年3月末には1,604万件、47.7%まで拡大すると予測しています。

NTTグループへの売上が大きくなっている事業構造に見えますが、蓋を開けると、NTTのサービスに紐づいた様々な業界の様々は企業から間接的な売り上げを得ていることが分かりました。

以上の構造から、NTTへの売上構成比が大きいことはそこまで気にしなくていいと思います。むしろNTTグループという安定した収益源を持っていることはプラスです。しかも通信設備の敷設は莫大な費用が掛かることから参入障壁は高く、市場はほぼ寡占状態です。ビジネスのリスクは低いと思います。

ちなみに、光回線を提供している主な事業者には、NTT東西のほか、KDDI、関西電力子会社のケイ・オプティコム、UCOMなどがありますが、NTTが市場シェアの7割を占めています。

データの大容量化・高速化を背景に開発が継続する通信技術~マルチキャリア事業に追い風~

また、ここ数年急成長しているモバイル通信の成長も同社のマルチキャリア事業の追い風となっています。

従来の携帯電話時代では、写真の送受信ができれば嬉しい、という時代でした。ところがスマートフォンの普及によって動画、さらにはリアルタイム動画、テレビやラジオ配信までやってしまう時代となりました。スマホが市場を席巻すると同時にデータトラフィック(送受信データ量)は激増し、トラフィックは携帯電話の10-20倍に膨らみました。高速で大容量のデータ通信をする必要が出てきたことで通信事業者各社はトラフィック対策に奔走し、LTEなど高速移動通信サービスの積極展開はその一環でした。

モバイル関連におけるLTE-Advanced向け設備投資の継続需要に加え、新周波数工事(700MHz、3.5GHz)の本格化、4Gの高度化という第5世代(5G)のための整備が進められており、工事を手掛ける同社には追い風が吹いています。5G投資はいよいよ2020年3期から本格化するとされており、同社にとって業績拡大のチャンスが訪れていると思います。

(LTE-Advanced:第4世代の移動通信規格で、世界規模で普及しているLTEをさらに高速化し、静止/低速移動時で最大1Gbps、高速移動時で最大100Mbpsを目指して開発中の通信技術です。)

通信設備工事を手掛けるNTT事業とマルチキャリア事業の売上を足すと売上の6割を超えており、同社の収益は通信業界における設備投資動向に左右されやすい構造となっています。そのため、同社は通信会社の設備投資に依存しない事業構造への転換に取り組んでいます。

M&Aを駆使し、子会社の数は53社まで拡大。今後、クラウドサービスなどストック収益ビジネスの育成にも注力しており、構造転換による利益率の改善にも期待したいところです。

18/3期通期:最高営業益更新の見通し~順調な増収に加え、工事平準化など利益率改善効く~

2018年3月期第1-3四半期の業績ですが、売上が20.4%増の2066億円、営業利益が592.0%増の87億円と好調でした。

NTT事業は想定を超える完工増によって増収となった一方、受注は前の反動減となった模様。移動体通信向けでは第4世代移動通信システム(4G)の高度化や新周波数帯工事の本格化を背景としたモバイル工事の増加、またICT事業ではLantrovision社の業績寄与に加え、700MHzTV受信障害対策(干渉波対策)工事の増加によって売上が大きく伸びました。

「光コラボレーション」の普及を背景とした光開通工事の増加に加え、電線地中化や太陽光発電設備の工事、土木工事などの増加も営業活動が奏功して受注が拡大しています。利益面では、売上増に加え、施工効率の向上が効いてきており、最高営業益更新の見通しとなっています。

事業環境に追い風。安心の財務基盤、豊富な受注をベースとした業績拡大が期待される。同社の株主優待は魅力的

光コラボレーションモデルの定着に伴う光開通工事の増加や、LTE-Advancedの継続、新周波数帯(700MHz、3.5GHz)工事の本格化に伴うモバイル工事の拡大、空調工事、700MHzTB受信障害対策工事などによる受注拡大が見込まれ、今期最高益業益を更新する見通しです。事業好調に加え、経営統合や工事の平準化などによるコスト削減効果が表れてきているようです。今後も拠点集約効果による利益増が期待できると思います。

18/3期第3四半期末(17/12月末)の財務内容は、自己資本比率が60.3%、有利子負債が165億6400万円。約280億円の現金等を考慮すると実質無借金経営です。

先行設備投資に積極的で、今後も事業領域拡大のための投資が継続する見通しですが、財務の健全性と、事業好調によるキャッシュフローの状況から見て不安感はありません。

同社の株主優待の内容ですが、人気のクオカード。1年以上継続の保有株主を対象に、100株以上の保有で1000円相当。1,000株以上の保有で2000円相当が贈呈されます(3年以上保有の場合、1,000株以上の保有では3,000円相当)。権利確定は3月末となります。同社は株主還元に前向きで、2017/3期においては配当と自社株買い合わせた総還元性向は76.6%(前年67.2%)でした。

予想現金配当と併せた配当利回りは2.4%となります(100株の場合、2018年2月21日終値:1670円で計算)。業績好調が見込めて割安感があり、株価調整時には狙ってみたい銘柄です。

参考:日本株通信

※記載されている情報は、正確かつ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性または完全性を保証したものではありません。予告無く変更される場合があります。また、資産運用、投資はリスクを伴います。投資に関する最終判断は、御自身の責任でお願い申し上げます。

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