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国内向けにようやく発売されたニンジャ650(Ninja 650)
2017年5月15日からカワサキはニンジャ650を国内販売しています。しかし以前から海外向けにニンジャ650は販売されており、仕向け地や販売時期によってはER-6fやニンジャ650Rという名称で販売されていました。
ニンジャ650と国内で販売されていたニンジャ400はエンジン以外は共通の仕様となっており、事実上のスケールダウンモデルとして販売されてきました。しかし2017年の国内販売を機会にニンジャ650はモデルチェンジされ、専用設計となりニンジャ400はニンジャ250とエンジン以外が共通の設計となりました。
ニンジャシリーズといえば以前ニンジャ1000の試乗経験がありますが、ハイパワーながら扱いやすく感じました。また250フルカウルスポーツモデルブームを牽引したニンジャ250も非常に扱いやすく初心者でも安心して乗れる印象。
1980年代にカワサキがリリースしたGPZ900Rが北米向けに販売される際にニンジャといネームがはじめて使われたこともあり、バイク業界の諸先輩方にすればGPZ900Rこそニンジャだという方も少なくありません。私は試乗経験がありませんが、GPZ900Rは癖の強い乗り味が特徴らしく、現行のニンジャシリーズはニンジャっぽくない!というユーザーも存在します。
個人的に現行のニンジャシリーズは、排気量に関わらず初心者から上級者ライダーまで安心して楽しめる仕様となっている印象があります。今回試乗するミドルクラスのニンジャ650も期待通り乗りやすいバイクなのか?一週間都内の通勤で試乗してインプレッションします。
ニンジャ650の装備をチェック
最近では排気量の小さなクラスにも装備されることが増えているアシスト&スリッパークラッチはニンジャ650にも標準装備。大型バイクとは思えないクラッチの軽さです。このアシスト&スリッパークラッチとはクラッチレバーの操作を軽くしギアダウン時に急激にエンジンブレーキがかかりタイヤがロックするのを緩和する装置です。
ライダーをサポートする為の装備でいえばABSも標準装備。ニンジャ650試乗中に前を走行する車が強めにブレーキをかけるシチュエーションがあり、私も前後共に強めにブレーキをかけました。リアブレーキが軽くロックしそうになりABSが作動。しかしABS作動中も通常のブレーキと比べて違和感はなく安心感があります。
またニンジャ650にはETCが標準装備となっており、タンデムシート下に搭載されています。車種によってはETC車載機を収める場所が無くて困る事がありますが、初めから装備されているのでセットアップすればすぐに使用可能です。
ニンジャ650の足つき性とポジションは?
ニンジャ650のシート高は790mmと最近のフルカウルスポーツモデルとしては低め。更にサスペンションが比較的柔らかいのでライダーがシートに座ると自然に車高が下がるので数値よりもシート高は低く感じるはず。シート形状も端が絞り込まれているので足つき性は165cmの筆者が乗っても非常に良いと感じました。片足はべったり地面につきます。ハンドルは形状こそセパレートハンドルですが、フロントフォークからハンドルが出ているのではなくトップブリッジの上からステーを介して装着されており、ポジションはアップライトで余裕があります。以前のモデルはバーハンドルが採用されていました。セパレートハンドルは見た目がスポーティーで良いのですが、バーハンドルの方がスマートフォンなどを装着する際に便利なので、ここは仕様変更しないでほしかったポイントの一つです。
ニンジャ650を街中と高速道路で走ってみました
ニンジャ650に跨って最初に感じたのは車体のコンパクトさ。かつてニンジャ650はニンジャ400と共通のフレームを採用していましたが、400ccどころか250ccと言われても違和感のないコンパクトさです。車両重量は193kg。車体のコンパクトさに比例して車両重量も軽くなっています。400ccのバイクでも200kg以上ある車両もありますので、ニンジャ650がどれだけ軽いかわかるはずです。
軽量でコンパクトな車体ながら、650cc並列2気筒エンジンは68PS/8000rpmの出力を誇り非常にパワフル。特に日常的に使う低回転から中回転にかけてトルクがあるので街中でも扱いやすいフィーリングです。ニンジャ650のタイヤサイズはフロント、リア共にスポーツモデルとしては一般的な17インチタイヤを採用していますが、幅はフロント120mm、リア160mm。このクラスとしては幅が狭いタイヤをあえて採用しています。
同クラスのバイクでいえば、ヤマハのMT-07やスズキのGSX-S750などはリアタイヤに180mmのタイヤを採用しています。幅広のタイヤを装備すると後ろから見た際に迫力が出るほか絶対的なグリップ力が備わりますが、幅の狭いタイヤを採用することで重量が軽くなり動きが軽快に仕上がりました。
コーナリング時は前後共にサスペンションが良く動き、ハンドリングもスムーズ。アップライトなポジションということもありUターン時も不安はありません。ですが、スポーツバイクとしては若干柔らかい印象もあります。せめてリアサスペンションのプリロード調整ぐらいはできるようにしてほしかったところ。
高速走行時には100km/h走行時に5000rpmぐらいなので、不快な振動も無く快適に走行することが可能です。サスペンションは柔らかいものの、ダンパーが効いているので継ぎ目の段差を超えた際も突き上げはありません。
ニンジャ650は気軽に乗れる大型バイク
一般的な大型バイクに乗る際には気合と目的が必要になります。コンビニに行くのにわざわざ重い大型バイクを駐輪場から出したくないですし、重いので「これから乗るぞ!」という気合が必要です。しかしニンジャ650は車重が軽いので取り回しに苦労しませんし、ハンドルポジションもアップなので楽な姿勢がとれます。
低速からしっかりとトルクがありながらも過敏すぎないのでアクセルワークに気を使うことはないですし、かといってパワー不足を感じることは皆無で大型バイクならではのトルク感を感じることは充分にできます。リアキャリアとトップケースさえつけてしまえば、通勤・買い物・ツーリングなど用途を問わず使い勝手が良さそうです。
ニンジャ1000のようにもう少し排気量が上のクラスになると、ライダーをサポートする様々な電子制御などが装備されることが多いので、ニンジャ650のような排気量のクラスのバイクは装備が地味に見えますが、その分価格もお安く80万7840円となっています。
派手な装備こそありませんが、カウルの質感も高く大型バイクを所有する喜びは充分に味わうことができ、ニンジャブランドを裏切らない運転しやすく、どこにでもバイクで出かけたい!という方にはピッタリの一台です。
ニンジャ650をカスタムするなら
ニンジャ650の装備はシンプルで価格を抑えている印象。カワサキ純正オプションの中には純正採用して欲しかったと感じるものもいくつかあります。その一つがDCソケット。最近では原付二種クラスでも採用しているモデルが多いですし、何よりバイクに乗る際にスマホを使うユーザーも増えているので装着しておきたいところ。純正だけあってしっかりカウルに納まります。
ニンジャ650用の認証マフラーはJMCAのホームページで確認できる限りは4本です。ビートジャパンのマフラーはそのうちの一本。素材にチタンを採用する事で軽量に仕上がっており純正比で-3.5kg。音量やパワー特性の他に軽量化の恩恵も期待できるマフラーです。
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