コールドウォレットとは?仮想通貨を安全に保存する方法
先日の史上最大規模のNEM流出では、仮想通貨取引所コインチェックの安全管理が不十分であったことが露呈しました。特に顧客から預かったNEMをコールドウォレットで保管していなかったとの報道で、仮想通貨のウォレットに注目が集まっています。仮想通貨を狙うハッカーからのセキュリティ対策として、普段使わない仮想通貨が一定量ある場合には、コールドウォレット上で管理することが推奨されます。ウォレットの管理
ウォレットの管理は、「受取用」の鍵となる公開鍵と、「送信用」の秘密鍵をペアにして行います。公開鍵は口座番号のようなもので、誰かに知られたとしてもあまり問題はありませんが、秘密鍵はパスワードや自宅の鍵のようなもので、決して第三者に知られてはいけないものです。コールドウォレットは、インターネットと完全に切り離した環境で秘密鍵と仮想通貨を保管するウォレットで(ただし、送金等で保管する仮想通貨を動かす場合は短い時間だがUSBによるインターネットへの接続が必要)、オフライン環境だとしても、スマートフォンやPCに秘密鍵を置いているウォレットはコールドウォレットとは呼びません。
ホットウォレットは、ハッキングのリスクが存在する
ホットウォレットはオンライン環境にあるため、ハッキングのリスクは存在します。もしも普段決済などに利用しない多額の仮想通貨を保有している場合は、コールドウォレット上で管理することが望ましいといえるでしょう。ただし、決済など仮想通貨の送受信を行いたい場合にはホットウォレット環境で行う必要があります。このため、用途を意識して保管方法を選択する必要があるといえます。一例としては、普段利用する分の仮想通貨はキャッシュをお財布に入れておく感覚でホットウォレットに入れて、すぐには利用しない仮想通貨を一定額持っている場合は銀行などに預金しておく感覚でコールドウォレットで管理するというように、ご自身の中で使い分けをいただけるとよいと思います。以下に、コールドウォレットの種類とその特徴や、対応している仮想通貨などを解説します。
コールドウォレットの種類
コールドウォレットに該当するものは以下の4つが挙げられます。・端末で保管するハードウェアウォレット(専用機器が販売)
・鉄やメタルプラスチックに保管する物理ウォレット(記録方法や持ち歩きに難あり)
・紙にメモしたり、印刷して保管するペーパーウォレット(保管場所と火事に注意)
・人間の脳に記憶するブレインウォレット(忘れたら終わり)
コールドウォレットは物理的な秘密鍵の管理が必要なため、実際の窃盗や紛失には十分な注意が必要です。
おすすめハードウェアウォレット
仮想通貨をコールドウォレットの状態で保管するのに番手軽な方法は、ハードウェアウォレットを利用することです。性能やアップデート情報などを確認し、自分に合った物を見つけてください。おすすめはこの3点です。Ledger(レジャー)
●ビットコイン以外にも、リップルなどの仮想通貨に対応リップル他、新しい仮想通貨にも対応しているハードウェアウォレット。トークンの保管も可能でマルウェアにも対応。
TREZOR(トレザー)
●ビットコイン、ライトコイン、イーサリアム等の仮想通貨に幅広く対応ビットコイン、ライトコイン、ダッシュ、イーサリアム、イーサリアムクラシック、ネム、ダッシュ、ドッジコイン、イーサリアムトークンが保管可能。
Keepkey(キープキー)
●ビットコインの他、NEMにも対応大き目の画面が使いやすく、NEMの保管ができるハードウェアウォレット
コールドウォレット(ペーパーウォレット)の簡単な作り方
ペーパーウォレットは、アドレスと秘密鍵を紙に印刷して保管する方法です。紛失・盗難には十分は注意が必要ですが、最も安全な保管方法のひとつです。ここでは、最もよく使われているbitaddress.orgでのペーパーウォレットの作成方法をご紹介します。bitaddress.orgは、PCのデスクトップ上でウォレットを作成し、自分で秘密鍵を保管するウォレットです。
- bitaddress.orgにアクセスします。日本語対応可能ですので、画面上部の言語表記の中から「日本語」をクリックします。
- 左下の(Zip)をクリックし、bitaddress.orgをパソコンにダウンロードします。
- ネットを切断しオフライン状態にしたら 2.でダウンロードしたフォルダを展開します。
- 画面の指示に従い、ビットコインアドレスを作成します。
- 公開鍵(SHARE)と秘密鍵(SECRET)が作成され、QRコードとともに画面上に表示されます。※この状態での印刷・保管も可能です。
- 上部の「ペーパーウォレット」を利用し表示されたペーパーウォレットを印刷し、保管します。
- 使用後はブラウザやPC、プリンタのキャッシュを削除しておくとより安全です。
このウェブサイトでは作成された秘密鍵の記録は残りません。印刷後の秘密鍵の管理は本人のみとなります。紛失・盗難にはくれぐれもご注意ください。
また、ペーパーウォレットは、インクの劣化や湿気等による文字のにじみ・消失といったリスクがありますので、ラミネート加工やコピーを用意するなど、保管方法の工夫も行うとよいでしょう。
ペーパーウォレットは利便性は高くありませんが、公開鍵があれば入金は何度でも行えますので、貯金箱のような使い方もできます。
また、秘密鍵を使う送金の場合は、セキュリティ上1回の使用に限りますので、少額の場合であれば、例えばペーパーウォレットにビットコイン1000円分のみを入れて相手にそのペーパーウォレットを渡す、など現金のような役割も果たすことができます。
取引所はあくまでも仮想通貨の売買を行う場所を提供しているに過ぎず、保管する場所ではありません。保有する仮想通貨は大事な資産です。取引所に置きっぱなしにせず、ハードウェアウォレットで自己管理することをおすすめします。