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新型CBR1000RRインプレ!海外仕様と同スペック

新しい排気ガス規制の対応で今までは海外向けと日本向けでスペックが異なり、国内仕様は馬力が抑えられていました。しかし新しいホンダのCBR1000RRは国内仕様も海外仕様も同スペックです。一週間の通勤試乗でインプレッションします。

相京 雅行

執筆者:相京 雅行

バイクガイド

CBR1000RRの走行性能と乗り心地は?都内通勤でインプレ

CBR1000RRフロントビュー

CBR1000RRフロントビュー


国産バイクで最もスポーティーな走りを楽しむことができるのは、1000ccエンジンを搭載するスーパースポーツモデルです。しかしこのクラスのスーパースポーツモデルは、販売されていたとしても排気ガスの規制の問題などで馬力が抑えられているか、国内仕様モデルは存在せず逆輸入業者から購入するしかありませんでした。そんな、他のメーカーが逆輸入業者に任せている状態でも、ホンダは馬力を抑えた国内仕様モデルを販売し続けていました。
 
前回試乗した2014年式CBR1000RR

前回試乗した2014年式CBR1000RR


以前CBR1000RRに関しては2014年のモデルに試乗した経験があります。しかしこのモデルは国内仕様用に馬力が抑えられており123PS/9500rpmでした。海外モデルに関しては178PS/12000rpmとなっているのでその差55PS。この数字は決して小さなものではありません。ですが、試乗した際は圧倒的なパワーに驚きましたし、優れた直進性や超軽量ボディなどの恩計もあり、街中でも普通に走ることができる懐の深さにも驚かされました。

2017年は新しい排気ガスの規制によって設計の古いエンジンを搭載している車両は対策しきれず廃盤となってしまうバイクも存在するなど、バイク業界に大きな波紋を呼んでいます。しかし、悪いことばかりではありません。海外の規制に合わせるということは、今まで海外仕様だったモデルが日本でも正式に販売されるということです。

CBR1000RRは2017年にモデルチェンジしましたが、国内モデルと海外モデルでの馬力の差はなくなりました。今回のモデルチェンジで沢山の電子制御機能が追加され、更に操る楽しさが味わえるようになったといいます。今回も本来はスポーツ走行に特化したCBR1000RRを都内の通勤で試乗してインプレッションします。

<目次>  

新型CBR1000RRの装備をチェック

2017年モデルのCBR1000RR。型式2BL-SC77がモデルチェンジに伴った大きな変更点としては電子制御がさまざまな形で加わった点です。
 
スロットルバイワイヤ制御イメージ

スロットルバイワイヤ制御イメージ


まずはスロットルバイワイヤシステムが導入され、アクセルのスロットル開度が物理的なワイヤーでの制御ではなくセンサーによってデジタル化されています。操作性は一般的なワイヤーによる制御と変わらないので戸惑うことはありません。また、スロットルバイワイヤシステムが導入されたことでエンジンの出力特性を変更することができるパワーセレクターが使えるようになりました。
 
CBR1000RRパワーセレクターの出力特性イメージ

CBR1000RRパワーセレクターの出力特性イメージ


最近は徐々にパワーセレクターが搭載されるバイクも増えてきていますが、3段階調整可能な車種が大半です。しかしなんとCBR1000RRは5段階に調整可能。より細かくユーザーの好みやシチュエーションに合わせることが可能になりました。更に後輪のスリップや前輪の浮き上がりを緩和させるセレクタブルトルクコントロールはなんと9段階とオフにすることが選択可能。他の車種にも搭載されることがある同機構ですが、ここまで細かく調整ができるバイクは稀です。

今回はじめて体験したシステムとしてセレクタブルエンジンブレーキがあげられます。様々なバイクを試乗していますが、同機構が搭載されているバイクには試乗経験がありません。今回試乗するにあたり楽しみにしていた機構の一つです。

126cc以上の新型バイクには平成30年から義務化されるABSはもちろん装備されています。スーパースポーツモデル専用に設計されたCBR1000RRに搭載されているABSは従来型よりも3kgも軽量化されています。軽量化されているだけでなく、コーナリング中にブレーキをかけた際の車体バンク角に応じて制動力をABSがコントロールするなど、様々なセンサーが緻密にコントロールしライダーをサポートします。

快適性をあげる装備としてはスリッパー&アシストクラッチも搭載されています。クラッチレバーの操作荷重を17%低減すると共にギアダウン時に過度なエンジンブレーキによるリアタイヤのホッピングを緩和します。詳しく説明していけばキリがないほど、様々なシチュエーションでバイクがライダーの操作をサポートしてくれます。
 
CBR1000RRのライディングモード一覧

CBR1000RRのライディングモード一覧


なおこれらの設定は、プリセットされたモード1・2・3の三つのほか、任意設定で細かく調整可能な二つのユーザー設定を記憶しておくことが可能です。ちなみに、モード1は速く走るためのモード、モード2は楽しく走るためのモード、モード3は安心して走るためのモードとされています。
 

CBR1000RRとCBR1000RR SP/SP2の違いとは?

ベースのCBR1000RRも軽量に仕上がっていますが、SPは更に軽量化のためにリチウムイオンバッテリーやチタン製ガソリンタンクが採用されています。CBR1000RRにはSPとSP2というグレードが用意されておりSP2はレースで勝つ為の専用装備が加えられたモデルです、台数が限定されており既に完売してしまっています。
 
なんとチタン製ガソリンタンクを採用!

なんとチタン製ガソリンタンクを採用!


通常CBR1000RRにはユアサバッテリーのYTZ7Sという型番のバッテリーが採用されていますが、CBR1000RR SPにはエリーパワーという会社のHY93というバッテリーが搭載されており重さは1.1kg。YTZ7Sと比べるとおよそ半分の重さとなっています。更にチタン製ガソリンタンクはなんと市販車では世界初の採用。従来のタンクに比べて1.3kgの軽量化に成功しています。なお、CBR1000RR SPに関しては完全な一人乗り仕様となっており、二人乗りに必要なタンデムステップなども外されたレーシーな仕様となっています。

サスペンションは、ヤマハのMT-10などにも採用されているオーリンズの電子制御サスペンションが採用されています。クイックシフターもSPに関しては標準装備。シフトアップに関しては可能なクイックシフターを装備する車両は徐々に増えてきましたが、シフトダウンも可能な車両は稀といえます。

更にSP2に関してはSP以上に徹底した軽量化が行われています。エンジン内のパーツを更に軽量な専用パーツに変更し400g軽量化。更にホイールをイタリアのマルケジーニ社製を採用し前後合わせて384g軽量化しています。カラーリングもSP2専用カラーリングとなっています。
 
特別なカラーリングが施されたCBR1000RR SP2

特別なカラーリングが施されたCBR1000RR SP2

 

CBR1000RRのスペック・燃費は?価格はどうなった?

新型CBR1000RRのお値段は201万4200円(税込み)。ABS付の前モデルとの差は34万200円と決して小さくはありません。しかし前モデルに関しては電子制御でライダーをサポートする機能はABSのみでしたから、これだけの電子制御が加わっていることを考えれば価格差は決して高くはないように思います。

軽量化と装備が追加されたCBR1000RR SPは246万2400円(税込み)。更に軽量化を実施したSP2に関しては302万4000円(税込み)です。電子制御サスペンションやリチウムイオンバッテリー、クイックシフターが追加されたSPが高くなるのはわかり易いですが、784g軽量化するために56万円高くなるのは、私のような一般ライダーには理解するのが難しい部分もあります。

ですが、既に徹底的な軽量化が図られている車両を更に1g軽量化するためには大変な労力がかかり車両価格に跳ね返ってくるということでしょう。私の場合であればバイクを軽量化するのではなく、自分が痩せた方が効率的とも言えます。

旧型CBR1000RRには装備されていて新型には装備されていないのが燃料計。ですがディスプレイに走行で使用した燃料が表示されるモードがあり、これがバッチリ正確でした。
燃料計はありませんが、使用した燃料を表示するモードがありとても正確で驚きました

燃料計はありませんが、使用した燃料を表示するモードがありとても正確で驚きました


二度ほど給油しましたが誤差は200ml程度。街中を含めた通勤での燃費は約14.5km/L程度でした。燃料タンク容量は16Lですので連続航行距離は232kmとなりますが、ツーリングで高速道路などを使えばかなり伸びることは間違いありません。

CBR1000RRのスペックに関して特筆すべきは馬力と車体重量です。海外仕様と同じになったエンジンのスペックは192PS/13000rpmとなっており、前モデルの国内仕様は123PS/9500rpm。海外仕様は178PS/12000rpmですので、前モデルの海外仕様と比べても馬力は向上しています。更に車体重量に関しても、ABS付の前モデルが212kgのところ196kgまで落としていますから徹底した軽量化が図られています。

装備を一つひとつ丁寧に説明していくとキリが無いCBR1000RR。前モデルに比べて電子制御がかなり導入されている同車を実際に一週間試乗してみました。
 

CBR1000RRは足つきも厳しくサスペンションセッティングが望ましい

CBR1000RR サイドビュー

CBR1000RR サイドビュー


旧型CBR1000RRに試乗したのは3年前の2014年4月のこと。さすがに月日がたっているので前モデルの乗り心地を完全に覚えているわけではありませんが、新型CBR1000RRに乗ってはじめに感じたのが前後サスペンションの硬さです。凹凸の無いサーキットの路面であれば問題ありませんが、公道を走る際にサスペンションが硬いと、コツコツとした突き上げがあり乗り心地が悪く感じます。

シート高も全モデルと一緒の820mmですが、足つきが悪く感じたので、まずはサスペンションのセッティングを実行。少し調整しても違いがわかりにくいので、一気に一番柔らかいセッティングに変更しました。
 
CBR1000RRの前後サスペンションはフルアジャスタブル。工具を使えば調整が可能です

CBR1000RRの前後サスペンションはフルアジャスタブル。工具を使えば調整が可能です


CBR1000RRの前後サスペンションは初期のサスペンションの沈み込み量を調整するプリロード、伸び側・縮み側の減衰力の調整ができるフルアジャスタブルタイプを採用しています。前後共にプリロードがしっかりとかかっているので、プリロード調整をし、縮み側の減衰力の調整をする事でサスペンションが一気に柔らかくなります。

ただし、一番柔らかいセッティングにしても一般的なロードバイクに比べて動きは固め。このあたりはスポーツ走行をメインにしているので当たり前ですが一番柔らかいセッティングなら街中でも快適に走ることができました。

サスペンションが柔らかくなった事でライダーが跨った際のサスペンションの沈み込みも深くなり、足つき性も改善されました。身長165cmの私が跨ると足の裏が3/4ぐらいは設置します。伸び側の減衰力は今回は調整しませんでしたが、私のように町乗りやたまのツーリングがメインで使うならサスペンションのセッティングは一番柔らかくするのがお勧めです。
 

CBR1000RRのライディングモードは極端に変えた方が動きがわかりやすい

CBR1000RRの電子制御一覧

CBR1000RRの電子制御一覧


新型CBR1000RRの一番大きな変更点でありセールスポイントなのは、前述した電子制御が導入されたこと。パワーモードやトラクションコントロールなど細かくセッティングが可能ですが、私のような街乗りライダーは細かすぎて違いが解り辛いと感じる事もあります。例えばエンジンパワーのセッティングは1~5まで調整可能で1が最もスポーティー、5が最もマイルドになりますが、1と2ではあまり違いは感じません。ですが1と3だと結構違いを感じることができるのです。

エンジンブレーキの調整ができるバイクには初めて乗りました、1~3でセッティング可能で1が最もエンジンブレーキがかかり、3が最も効果が弱くなります。こちらも1と2では違いがわかりにくく、1と3だとハッキリと効果を体感しやすくなります。トルクコントロールに関しては転ばぬ先の杖。もしくはサーキットなどで無ければ効果を体感するのは難しいですが、リスクを回避する為の装備としては非常にありがたい装備です。
 

CBR1000RRのライディングモードは大幅変更で動きの違いを実感

前モデルと新型モデルを比べると足回りの標準セッティングは前モデルの方が街乗りでも耐えられる固さでした。ですが新型CBR1000RRは工場出荷時の標準セッティングだと街乗りやロングツーリングはしんどいと思います。ただセッティングできる幅があるので問題はありません。アクセルレスポンスもワイヤー制御pの前モデルと新型モデルであまり違いを感じることはないでしょう。
 
TOKICOの4ポッドキャリパー

TOKICOの4ポッドキャリパー


ブレーキはTOKIKOの対向ピストン4ポッドキャリパーが装備されており、この手のスーパースポーツバイクには標準的なブレーキシステムです。サーキット走行では簡単に200km/hオーバーまで加速し、コーナーでは急減速を繰り返すことになるので、スーパースポーツバイクの中には、ブレーキをちょっとかけただけでガクンと強烈に効く車両もあります。しかし、CBR1000RRはブレーキレバーを握る際に繊細な操作は要求されず、効き始めは緩やかで握れば握るだけしっかりとブレーキが効く印象です。

コーナリングでは足回りが固めという事もありかなりクイックに旋回していく印象です。コーナーで車体を倒している最中でも安定感がある感じはライダーの操作をサポートする電子制御のなせるワザなのかもしれません。

フルパワー化されたので加速はとにかくスパルタンではあるのですが、最も高出力なモード1で運転していてもピーキーな感じはなく、アクセルを大きく開けない限りは普通に街中を運転できちゃいます。ただちょっとアクセルを多めに開けると怒涛のような加速をみせるようになり、正直私の目ではついていけません。逆に一番穏やかなモード5は多少ラフにアクセルを開けてもある程度想像の範疇の加速になるので安心感があります。

どのモードにしても加速中の安定感は特筆すべきもの。高速道路を100km/h巡航していても余裕があります。
 

スーパースポーツバイク・CBR1000RRに慣れ、街乗り・ツーリングを

CBR1000RRリアビュー

CBR1000RRリアビュー


いつもスーパースポーツバイクに乗っているわけではないので、私はこの手のバイクに乗ると1日目、2日目は腰も肩も痛くなります。しかし通勤3日目ぐらいになるとポジションにも慣れてきて気にならなくなってきます。ただ、1時間ぐらいの走行であれば気になりませんが、これが長距離ツーリングとなるとお尻は痛くなりそう。

クイックなハンドリングや圧倒的なパワー、優れた制動力に目が行きがちですが、1000ccクラスのスーパースポーツバイクは高速走行時の安定感も魅力の一つです。つまりお尻の痛さとポジションにさえなれてしまえば快適にロングツーリングに出かけることができてしまうのです。

ツーリングに行くとスーパースポーツバイクに乗っている人と話す機会もありますが、サーキット走行ではなく、ツーリングメインで使っている人の方が圧倒的に多いように感じます。さすがに街乗りメインで使うにはパワーがありすぎますし、ポジションもきついと思いますが、ツーリングメインであれば充分に活躍できそう。ただし山道のツーリングなどで事故を起こすスーパースポーツバイクは多いです。

これだけ電子制御でバイクがライディングをサポートしてくれるようになると、運転が上手くなったように感じて過信してしまうライダーも多いように思います。前回のインプレッションの際にも最後に伝えて締めくくりましたが、公道はサーキットではありません。自制心のある大人のみが乗ることを許されるバイクであることも伝えておきます。
 

CBR1000RRを少しカスタムするなら


装備面はかなり熟成されているCBR1000RR。マフラーやサスペンションなどは交換しなくても充分だと思いますが、走る性能に特化している車両なのでツーリングに使用するなら少し利便性をアップするパーツをつけても良いかも。スーパースポーツに乗る人なら高額なフルフェイスヘルメットを使う人もいるはず。ちょっと休憩の際などにひっかけておけるヘルメットロックはつけておくと便利です。
 
ツーリングに行くならスマホをマウントできるスペースは確保しておきたいところ。CBR1000RRはセパハンなのでハンドルに装着するスペースはありませんが、キジマのハンドルマウントステーを装着しておけばスマホをマウントするスペースを確保する事が可能です。
 
今回はなんとご紹介した商品全てがキジマ製。最近では比較的な高額な車両には装備される事が多いUSBチャージャー。軽量化に力を入れているCBR1000RRには装備されていません。ハンドルマウントステーと一緒に装備して置きたいものの一つです。

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