世界中の女性を夢中にさせる「憧れシューズ」
「ほかの靴は履かない。見もしない」。ファッション誌の内幕を描いた映画『プラダを着た悪魔』で鬼編集長のモデルになったアナ・ウィンター氏(『VOGUE』アメリカ版の編集長)はこう言い切ります。世界最高のファッション通とも言えるアナをして、ここまで言わせるブランドが「Manolo Blahnik(マノロ ブラニク)」です。
どこがそんなに素晴らしいのでしょうか。今回は映画『マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年』を手がかりに究極の憧れブランドの魅力に迫っていきます。
フランスの宮廷生活を再現した映画『マリー・アントワネット』で、女優キルスティン・ダンストが演じたマリーが履いた靴はマノロ・ブラニク氏(以下、マノロ)が注文を受けてこしらえた品でした。
ソフィア・コッポラ監督は選んだ理由を「きっとマリー・アントワネットもマノロに頼むと思ったから」と説明しています。映画では衣装デザイン担当のミレーナ・カノネロ氏が手掛けた、ロココ時代からインスパイアされたドレスに現代的なマノロの靴を合わせることによって、レトロなのに新しいムードが生まれました。
1970年代にデビューしたマノロが文字通りに「脚光」を浴びたのは、英国のダイアナ元皇太子妃が履いてから。以来、世界中のセレブリティーが愛用。歌手のマドンナは「マノロの靴はセックスよりもいい」と、スリリングな発言で「マノロ愛」を表現しました。
さらに、「世界で最もファッショナブルなテレビドラマ」と呼ばれたアメリカの『セックス・アンド・ザ・シティ』では主人公のキャリー(サラ・ジェシカ・パーカー)が愛してやまない靴として登場。知名度が爆発的にアップしました。
ファッショニスタとしても有名な歌手のリアーナも「女性にとっては夢の靴だわ」と絶賛。今回の映画でも「マノロ愛」を語っています。
これほど大勢の目利きやファッションリーダーがマノロの仕上げる靴を愛する理由は、おしゃれ心を盛り上げてくれる、特別感の高いデザインだから。それは目先のトレンドに流されない、アート性や職人技に支えられています。
さらに、「世界で唯一の走れるハイヒール」と呼ばれる、抜群の履き心地と安定感。靴は体の一部のような存在だけに、頼もしいハイヒールに足を預けていると、気分まであがります。
エレガントでリュクス、そして履きやすいというマノロの靴は女性にとってまさに「魔法の靴」なのです。
職人たちとハンドメイドで制作することにこだわり続ける
スペインのバナナ農園で育ったマノロはチョコレートの包み紙でトカゲのために靴を作ることに熱中するような、自然を愛する少年時代を過ごしました。
その後、パリへ移住し、舞台関係の仕事に就きました。その頃に出会ったのが、当時の『VOGUE』アメリカ版編集長だったダイアナ・ヴリーランド。彼女にスケッチを認められ、靴職人への転身を勧められたことをきっかけに、マノロは本格的に靴作りを学びます。
72年にはロンドンのチェルシーに最初のショップをオープン。80年代にはアメリカへ本格進出しました。現在、74歳のマノロは「今でも工房で過ごす時間が人生の喜びだ」と語り、イタリア・ミラノの工房で職人たちとハンドメイドで制作することにこだわり続けています。
「靴のロールスロイス」とすら評されるマノロブラニクの靴は究極の格上げシューズ。華奢なヒールが繊細なバランスを印象づけます。カラフルなサテン生地にリボンやジュエルパーツを組み込むのもお得意です。
スペシャルなクリスマスコレクションが登場
「HANGISI(ハンギシ)」シリーズから、カラーベルベットとカラービジューのコンビネーションが華やかなクリスマス限定モデルが登場。
アイコン的存在の「HANGISI(ハンギシ)」はシルクのサテン生地にビジューをあしらったパンプス。足の甲に配したスクエア型のビジューが視線を引き込みます。フォルムがベーシックだから、服と合わせやすく、ジーンズとも好相性。ドレスアップのときだけでなく、あえてカジュアルな服装にマノロのシューズを合わせることで、ぐんとスペシャルな着こなしへと格上げできます。
今回の映画のために制作された、特別な靴「LAGARTA(ラガルタ)」が日本では1足だけ、「Manolo Blahnik GINZASIX店」で12月23日の映画公開と共に完全限定販売となる予定です。価格は111万円(税抜き)。実用ではない観賞用です。「LAGARTA」とは、スペイン語で「トカゲ」という意味です。マノロが幼い頃、トカゲに靴を作ってあげたというエピソードにちなんでいて、トカゲのモチーフが盛り込まれてます。
映画を見て感じるのは、靴作りに注ぎ込むマノロの情熱のすごさ。その情熱を感じて、女性たちが次々にマノロの熱狂的なファンになっていきます。映画では著名人をはじめとする、彼の幅広い交友関係にも驚かされます。
女性にとって靴は重要なツール。もちろん、コンフォートなフラットシューズも魅力的ですが、華麗なる職人気質がスクリーンから伝わってくる映画を見た後は、マノロのヒール靴を履いて颯爽と歩いてみたくなることでしょう。
『マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年』
監督・脚本:マイケル・ロバーツ
12月23日公開
東京:Bunkamura・新宿ピカデリー
関西:大阪ステーションシネマ・なんばパークスシネマ・神戸国際松竹・MOVIX京都
名古屋:ミッドランドシネマスクエア ほか
公式サイト http://manolo-tokage.com/
(C)HEELS ON FIRE LTD 2017
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