今回は最も患者数の多い心因性EDを取り上げ、私が名付けた症例も含め、それらの典型的な症状や特徴を解説します。
EDのほとんどは勃起が続かない中折れ
最も患者数の多い「心因性ED」には、さまざまな種類や特徴がある。経験不足が原因になることも
中折れは一度経験すると、再発の不安がつきまとい、中折れにさらに拍車をかける傾向があります。これに硬度不足が加わると、“硬くない上に続かない”という事態を招きます。
ただし、持続しなかったり、硬さが足りなかったりする不完全な状態ではあっても、まったく勃起しないというEDはそれほど多くありません。
結論を先に言えば、心因性で起こる中折れにはED治療薬が有効です。ED治療薬は勃起をつかさどる陰茎海綿体の血管に直接はたらきかけ、心配や不安に関係なく、勃起を促します。
それでは、心因性EDのさまざまな種類と原因や特徴をみていきましょう。思い当たるパターンがあれば、参考にしてください。
誰でも陥る、典型的なEDのパターン
コンドームEDコンドームをつけようとすると萎えるもの。かつて装着時に萎えた記憶に支配され、コンドームをつけるとうまくいかないと思い込んでしまう、一種の自己暗示にかかっている状態です。この状態から抜け出すにはED治療薬を服用し、自信をつけることがベストです。以下の症例の多くもED治療薬で改善されます。
ヤングED
20代前半に多く、初めての体験で失敗したことがトラウマとなり、次からも緊張してまったく勃たなくなるものです。焦れば焦るほど萎えてしまい、その場では情けないほど縮こまるのに、一人になると立派によみがえることもある、困った症状です。
人見知りED
その名の通り、初めての相手に限ってどうしても勃たない状態です。コンドームEDと同じように「初めてだとダメになる」という強い自己暗示がかかっているために起こります。
据え膳ED
前戯の時は問題なく勃っているのに、挿入しようとすると萎えるのが特徴です。目前においしそうな据え膳を用意されながら惜しくもダウンすることから名付けました。勃起の持続力が短いため、中折れが早く訪れるタイプです。萎える不安から逃れるため、前戯に時間をかけずすぐに挿入しようとするので相手に嫌がられることもあります。
人生の悲哀が浮き彫りになるパターン
一口に心因性EDといっても理由は多様。その人ならではの人生が反映される場合が多い
外では問題なく勃つのに妻にだけ勃たない症状です。なんとか勃たないと申し訳ないというプレッシャーがさらに状況を悪化させます。浮気などを一切していないのに奥さんに対してだけ勃起しなくなったという悩みを訴える患者さんも少なくありません。逆に、アウェー戦に期待したものの、あえなく惨敗してしまうのが「奥さまの呪い型ED」です。
単身赴任ED
40代後半から50代の方に多い症状で、実家に帰って久しぶりに挑もうとしたらまったく勃起しなくて慌てることで自覚します。その多くは長いブランクによるものですが、それがショックでさらに萎えるという悪循環に陥ります。単身赴任先で何かしているのでは?と疑われることでプレッシャーが高まり、EDに一層拍車がかかります。
定年ED
定年後の60代前半に多い症状です。仕事から離れ、時間とお金に余裕があってもやりがいがなくなって、一気にガックリくることから始まります。定年による環境変化で無気力になるために性欲も落ちてくるのが原因ではないかと考えられます。
ライフスタイルが関わるパターン
ぐうたらEDパートナーの口や手では問題なく勃起して射精もできるのに、膣だと途中で萎えてしまうタイプです。自分から腰を振るよりも、楽してサービスを受けるほうを好むことから起こります。「殿様型」ともいいます。
排卵日ED
なんとか妊娠を成功させたいという気持ちが高じてプレッシャーがかかることで起こります。カレンダーに排卵日の印がつけてあり、その日に頑張ろうとすると、その時に限って勃たなくなります。ちなみに、ED治療薬は胎児に影響しないので安心して使えます。
騎乗位ED
たまたま騎乗位で試みたときにうまくできなかったことが尾を引いてしまうケースです。コンドームEDや人見知りEDと同様、“騎乗位では萎える”という強い自己暗示をかけていることが原因です。無論、他の特定の体位でも起こります。ED治療薬は体位に関係なく勃起をサポートしますので、自己暗示の壁を突き破るのに役立つはずです。
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