貯蓄/平均貯蓄額などの気になるデータ

一人暮らしの平均貯金額は942万円、貯金なしは46.4%

2017年11月10日に金融広報中央委員会が「家計の金融行動に関する世論調査」の2017年版を公表しました。単身世帯の金融資産保有額の平均額は942万円と前年と比較して120万円の増加、2人以上世帯より47万円も増やしているのです。また、金融資産を保有していない世帯も前年と比較して1.7ポイントの減少とやはり2人以上世帯と正反対です。その内容を詳しく見ていきましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

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一人暮らしの平均貯金額は増えたが中央値はわずか32万円

単身世帯が保有する家計の金融資額の平均値は942万円。前年と比較して120万円の増加となりました。最も多かった2009年の865万円を77万円も上回ったことから、過去最高の平均額となりました。

単身世帯が保有する家計の金融資額の平均値は942万円

単身世帯が保有する家計の金融資額の平均値は942万円



平均値は過去最高額を更新しましたが、中央値は前年と比較して12万円増加の32万円しかありません。中央値が最も高かった2009年や2012年の100万円と比較するとわずか3分の1しかありません。平均値と中央値には約30倍近い開きがあることから、持つ者と持たざる者の格差は、2人以上世帯よりも大きいようです。

単身世帯の方が、2人以上世帯よりも投資(資産運用)に積極的

保有している金融資産の内訳は、預貯金が47.6%、生命保険が6.6%と共に前年よりも低下させていますが、有価証券(債券、株式、投資信託)は34.5%と大幅に上昇しています。単身世帯の方が、2人以上世帯よりも投資(資産運用)に積極的であることがうかがえます。

金融資産を保有していない世帯は46.4%

一方、金融資産を保有していない世帯は46.4%と2人以上世帯よりも15ポイントも多いのですが、前年よりは1.7ポイント低下しています。また、銀行等の預貯金口座、または証券会社等の口座に残高がないと回答した世帯12.4%と、前年と比較して2ポイント低下しています。また、口座残高がないと回答した割合は、金融資産を保有していない世帯の26.7%ですから、保有していない割合自体は高いものの、その割合は減少傾向に向かってるようです。

年代別の金融資産を保有していない世帯では、20歳代、60歳代が上昇しているのに対して、その他の世代はすべて低下しています。ただ、昨年までが上昇傾向にあることから、低下は一過性なのかが気になるところです。

金融資産保有世帯の平均値は過去最高を更新

金融資額の平均値942万円は金融資産を保有していない世帯を含めた値ですが、金融世帯を保有している世帯だけの平均値は1771万円となり2人以上世帯を上回っています。

平均値は3年連続過去最高を更新と金融資産を保有している人は順調に保有額を増やしているようです。ちなみに増加額は181万円です。中央値は前年と変わらず600万円でしたが、昨年同様過去最高額と肩を並べています。また、NISAを保有している世帯における平均保有額は157万円と前年より33万円増加しました。

金融資産構成の前年比をみると、「現金や流動性の高い預貯金から、長期運用型リスク資産に振り向けた」とした割合は14.9%と前年よりも1.8ポイント上昇した。一方、「長期運用型やリスク資産から、現金や流動性の高い預貯金に振り向けた」割合は5.8%と前年よりも2.5ポイント低下しています。個人投資家は売り越しが続くと昨年あたりから言われていますが、単身世帯ではそんなことはないようです。

年間収入別、年齢別ともに金融資産が「増えた-減った」の割合は全て右肩上がりですが、その内訳が興味深いです。「定期的な収入が増加したから」、「定期的な収入から貯蓄する割合を引き上げたから」は共に前年と比較して10ポイント前後も大幅に低下しているのに対し、「株式、債券価格の上昇により、これらの評価額が増加したから」、「配当や金利収入があったから」は共に5ポイント以上上昇しています。中でも評価額の増加は14.5ポイントの増加と、2人以上世帯の倍近く増やしていることがわかります。

金融資産の保有目的等

金融資産の保有目的では、「老後の生活資金」が54.5%と最も高く、次いで「病気や不時の災害への備え」が44.1%と続いています。老後の生活資金を回答した割合は前年と比較して4.6ポイントの大幅低下となっていることは、金融資産額が大幅に増えたことが影響しているのかもしれません。

今後保有を希望する金融商品は、預貯金が44.6%と前年と比較して0.1ポイントの低下に対して、有価証券の保有を希望している世帯は23.8%と前年と比較してわずか0.1ポイント上昇にすぎません。有価証券の中では、株式が16.8%、株式投資信が7.4%と共に前年と比較してわずかに昇しているだけです。単身世帯は、既にかなり投資を行っているので、今更その割合を大幅に増やそうとは考えていないのかもしれません。あるいは投資を行っている割合が高いため、株価などが下がってくるのをじっと待っているのかもしれません。

また、元本割れを起こす可能性があるが、収益性が見込まれる金融商品の保有については、「そうした商品を保有しようとは全く思わない」が64.3%と最も高くなっていますが、2人以上世帯よりも15ポイント近く低くなっています。「そうした商品についても、一部は保有しようと思っている」は26.0%、「そうした商品についても、積極的に保有しようと思っている」は9.8%あります。政府が掲げる「貯蓄から投資(資産形成)へ」は単身世帯では、それなりに進んでいることがわかります。

単身世帯で1つ気になるのが、借入の目的で最も多いのが「日常の生活費」で29.2%もあることです。金融資産を保有してない世帯が借り入れを行っていると推測されますが、日常の生活費を借入で賄っているようであれば、なかなか貯蓄0円世帯から抜け出せないと考えられるからです。救いはその割合が10年前後ぶりに3割を下回ったことです。

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