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軽井沢駅の旧駅舎がリニューアル!子ども用施設も充実

1997年の北陸新幹線軽井沢駅開業にともない取り壊され、その後、駅の西隣に再築、駅舎記念館として保存されてきた由緒ある建物が、2017年10月27日に、しなの鉄道軽井沢駅旧駅舎口として「現役復帰」した。内部は、きっぷ売り場や改札口のほか、カフェやラウンジも併設。また、ホームと直結する木造りの広場には、子供向けのガラス張り有料待合室ができるなど、面目を一新した楽しい駅構内となった

野田 隆

執筆者:野田 隆

鉄道ガイド

軽井沢駅旧駅舎 再築、記念館として保存、そして現役復帰へ

新たな施設ができた軽井沢駅

旧駅舎を活かし、新たな施設ができた軽井沢駅


1997年の北陸新幹線(当時は長野行き新幹線)軽井沢駅開業にともない取り壊され、その後、駅の西隣に明治43年の大改築往時の姿に再築、駅舎記念館として保存されてきた由緒ある建物が、2017年10月27日に、しなの鉄道軽井沢駅旧駅舎口として「現役復帰」した。

内部は、きっぷ売り場や改札口のほか、カフェやラウンジも併設。また、ホームと直結する木造りの広場には、子供向けのガラス張り有料待合室「森の小リスきっずくらぶ」ができるなど、面目を一新した楽しい駅構内となった。
軽井沢駅旧駅舎口開業記念入場券

しなの鉄道軽井沢駅旧駅舎口開業を記念して入場券も発売された


しなの鉄道軽井沢駅のリニューアルは、2017年がしなの鉄道発足20周年にあたる節目の年であることから進められてきた。現行の3階改札口だけでは、混雑時にさばききれないこと、軽井沢駅来訪者の流れが南口のプリンスショッピングプラザに偏り、しなの鉄道のある北口が閑散としているので、賑わいを取り戻すべく企画されたものである。新たな改札口は、旧駅舎口と呼ばれ、従来の3階改札口に加えて2ヶ所になることで、人の流れが分散される。

旧駅舎の駅機能

旧駅舎

旧駅舎は記念館から現役に復帰した


軽井沢の旧駅舎自体は、歴史的な風格のある建物なので、その雰囲気を壊すことなく、ほぼ原形のまま使用している。しなの鉄道軽井沢駅という表示も控えめだ。
旧駅舎入口

旧駅舎入口。控えめな軽井沢駅の表示


玄関から中へ入ると、左手奥にきっぷ売り場があり、改札口は自動改札ではない。券売機とは別に、きっぷ売り場では小諸までの各駅へ乗車できる硬券の乗車券を売っていて、鉄道ファンには喜ばれそうだ。
硬券乗車券

さっそく窓口で購入した硬券乗車券



鉄道展示室は、待合室とカフェに変身

旧駅舎内の待合室

旧駅舎内の待合室


玄関を入ると、右手には待合室がある。ここは、記念館時代には鉄道展示室があったところで、鉄道展示資料は、一部を除いて、旧軽井沢の「軽井沢観光会館」の2階展示スペースへ移設され、「軽井沢鉄道ミニ博物館」の愛称で公開している(入場無料)。

待合室の椅子やテーブルは、デザインを担当した水戸岡鋭治氏らしいもので、しなの鉄道の観光列車「ろくもん」やJR九州の観光列車の車内を彷彿とさせる。
旧駅舎内のカフェ

旧駅舎内のカフェ「茶菓 幾右衛門」


待合室の奥はカフェとなった。小布施の栗菓子の銘店「桜井甘精堂」が運営する茶菓「幾右衛門」で栗菓子やスイーツ、おやき、ドリンクなどが味わえる。室内のテーブルや椅子は水戸岡氏のデザインによるもので、待合室と一体となった感じである。
お土産コーナー

カフェの一角にあるお土産コーナー



貴賓室は「ろくもんラウンジ」に

ろくもんラウンジ

2階貴賓室は、ろくもんラウンジに変身


玄関を入って左脇の階段を2階へ上がると、「ろくもんラウンジ」がある。かつては皇族や要人も利用した貴賓室だったスペースで、当時の貴重な木材はそのままに、上質な雰囲気に合わせた水戸岡デザインの家具を配置して、観光列車「ろくもん」乗車前に乗客がドリンクを楽しみながらくつろげる場所とした(券種により利用できないことがある)。
ろくもんラウンジ

貴賓室の上質さを活かした「ろくもんラウンジ」


係員が常駐し、「ろくもん」の出発時間が近づくと、乗客をホームまで誘導する。豪華列車や観光列車の専用ラウンジ設置が各地で相次ぐ中、「ろくもん」もそれに倣ったものである。

親子で楽しむ「森の小リスキッズくらぶ」

森の小リスキッズくらぶ入口付近

森の小リスキッズくらぶ入口付近


改札口から駅構内に入ると、目の前にあるガラス張りの建物が「森の小リスキッズくらぶ」だ。子どもと大人が一緒に遊べる有料待合室(大人1人とこども1人セットで300円)で、ホームに発着する電車や待合室の隣に保存中の電気機関車EF63形を眺めながら室内で安心して過ごせる。
キッズくらぶ室内

遊具が一杯のキッズくらぶ室内


木のプール、積み木、絵本の詰まった本棚、電車の運転台を模した遊具などバラエティに富んだ室内は、時間の過ぎるのを忘れそうである。SLの形をしたミニトレインが建物の前に置いてあるが、2018年3月に「森の小リスキッズステーション」が隣接した敷地内にオープンすると周回した線路を走りはじめることになっている。
キッズくらぶ内には本棚もある

キッズくらぶ内には本棚もある


長野県根羽村産のヒノキをふんだんに使った板張りの通路は、段差なくホームへと続く。手前の1番線の線路が短くなり、線路を横断することなく旧駅舎から2番線乗り場へ行けるようになった。

オープニングセレモニーと今後の予定

テープカット

軽井沢町長、水戸岡鋭治氏も参加したテープカット


10月27日には、オープニングセレモニーが行われ、しなの鉄道玉木淳社長、藤巻進軽井沢町長、デザインを担当した水戸岡鋭治氏の挨拶のあと、テープカット、さらに「森の小リスキッズくらぶ」入口前でくす玉が開花、地元の保育園園児も参加し、賑やかに開業を祝った。
地元の園児も参加してくす玉が割られた

地元の園児も参加してくす玉が割られた

その後、観光列車「ろくもん」の出発を園児や来賓、報道陣ともども旗を振って見送り、セレモニーは終わった。そのあとの定期列車発着から「懐かしくて新しい軽井沢駅」が営業を開始。
「ろくもん」をお見送り

園児や来賓、関係者が「ろくもん」をお見送り

しなの鉄道軽井沢駅のリニューアルは、これで終わりではない。ミニトレインやレールバイク、三輪車広場など、小さなお子様連れのファミリーが楽しめる隣接エリアを整備、さらにJRの改札口脇にある3階改札口ゾーンには、ショッピングエリアを設置。これによって、2018年春、しなの鉄道軽井沢駅「駅ナカ」開発プロジェクトが完成するのである。

取材協力=しなの鉄道

懐かしくて新しい軽井沢駅(しなの鉄道の公式サイト) 



※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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