2010年/鎌滝えり・黒沢美怜
そのギャップに目をつけたのか、翌年の正月フジテレビ「その顔が見てみたいSP」で私の写真で彼女が紹介されたほどでした。その後、接点はなかったのですが5年後の2015年。
下着メーカー「トリンプ」のイメージガールに彼女の名前が! メイクが全く違ったので同一人物とは思えませんでしたが、過去に取材した娘が別の形で注目されるというのは嬉しいものです。
そこに興味を持ちつつ撮影に挑んだのですが、次々変化する多彩な表情とポーイング、そしてキャラクターに人気の秘密を見つけました。被写体として魅力ある人を撮っている時、いつの間にかシャッターを切るのではなく切らされている感覚になることがあります。彼女が正にそれ。その後、美怜ちゃんが写真を写りが重視されるレースクイーンになったのは当然の流れでした。
2011年/角田香澄・成島桃香
それがきっかけで『FNS27時間テレビ』の名物コーナー「さんま・中居の今夜も眠れない」でさんま師匠がその時気になっている娘をランキングで紹介する「ラブメイト10」の6位として選出されたこともあり。レースクイーンの娘があれほどの有名人の目にも止まる。不思議とこちらも誇らしい気持ちになりました。
彼女の魅力は、表情の引き出しが多いこととポーズバリエーションの多さ。サーキットでは限られた時間の中で撮影しなければならないので、ポーズは女の子任せになることが殆どです。
キャンペーンガールという役割上あまり冒険をしないのが通例ですが、彼女の場合はその枠にとらわれることなく、他の娘がやらないようなポーズを次々に繰り出してくれました。とても撮り甲斐のあるレースクイーンでした。
そして、2011年と言えば東日本大震災があった年。3月末に予定されていた「SUPER GT」開幕戦は見送られ、毎年5月のGW中に開催される第2戦が実質的に開幕戦となりました。ところが、レース当日は5月とは思えない寒波が訪れ台風並みの暴風雨。写真は富士スピードウェイ屋上で雨風をしのぎながら撮影した時のものです。そんな荒れた天候の中でも露出の多い衣装で笑顔を作る……。彼女たちにプロ根性に改めて脱帽しました。
2012年/佐崎愛里・立花サキ
彼女を初めて撮影したのは09年の東京オートサロン。このイベントは毎年1月に開催されることもあり、レースクイーンの青田買いにもなります。そこで彼女を見つけ、その後レースクイーンとして接するようになりましたが、今でも一ファンのままです。
ところが、翌年から変化が見られます。確率は低いのですが、時々奇跡の1枚が撮れるようになりました。それからというもの撮影するたびにスキルアップし人気も右肩上がり。
2012年には「第2回日本レースクイーン大賞2011」と「レースクイーン・オブ・ザ・イヤー 11-12」を立て続けに受賞。あれよあれよと言う間に頂点に上り詰めてしまいました。私の取材歴の中で彼女のような道筋を辿った娘は他にいません。
2013年/橋本雪乃・渕脇レイナ
2011年にサーキットデビューすると年々美しさが増していきます。写真はレースクイーン最後の年のものですが、まとめ上げた髪が顔の小ささを際立たせ、表情も柔らか。自分がやりたい髪型やメイクではなく、自分に似合うものを見つけたのでしょう。ファインダー越しにこういう変化を見つけるのも取材者としての醍醐味です。
それに裏打ちされた仕事ぶりは隙がなくパーフェクト。昨年の夏、一緒に韓国ロケに行きましたが、気遣いやユーモアが抜群。彼女がいると現場が明るくなる、そんな仕事ぶりでした。
キャリアを重ねてもベテラン感がないのもレイナちゃんの特徴。長年サーキットで活動しているとこなれた感じになって来るものですが、彼女は最初に出会った頃と全く印象が変わりません。これは凄いことだと思います。
2014年/あべみほ・浜田コウ
その美脚を活かしてフジテレビの『アウト×デラックス』でカウンターガール、翌年には「準日テレジェニック」に選ばれます。最近では新日本プロレスにディーヴァとして試合に出ることもあり。
そんな多岐に渡った活動をしてきた彼女ですが、今年「D1グランプリ」のイメージガールとしてモータースポーツ界に復帰。久しぶりに撮影して思いましたが、彼女にはやはりレースの世界にいて貰いたいです。
掲載写真は一度レースから離れて復帰した時のもの。デビュー当時に比べかなり大人びた印象になっていましたが、この時が一番好きですね。ただ、残念ながら2015年に芸能活動を辞めています。
2015年/早瀬あや・斉藤絢女
印象に残っているエピソードがあります。今年の東京オートサロンでのこと。荒井つかさちゃんとイメージガールを務めていた彼女。先に撮影が終わった彼女は控え室の隅のテーブルで休んでいました。すでに挨拶を交わしているのでそのままでも失礼はないのですが、私が撮影を終えて帰ろうとすると立ち上がり「ありがとうございました」と深々とお辞儀。
短期間に人気が出ると勘違いする娘もいるのですが、彼女はそうではありませんでした。何気ない気遣いが当たり前にできる。仕事の広がりはそんな彼女の性格によるところなのかもしれません。
斉藤絢女ちゃんは正にそのモデル体型。コンパニオン事務所ではなくモデル事務所に所属しているので当然なのかもしれませんが、初めて見た時は手足の長さと細さ、顔の小ささに感心したものでした。すでにレースからは退いていますが、また復帰して欲しい1人です。
2016年/荒井つかさ・忍野さら
コミュニケーション能力に長けているのも彼女の魅力。限られた時間内に取材を終えなければならないので、現場はどうしても事務的になりがち。そんな状況でもしっかりこちらをイジって来ます。ファンだったらイチコロでしょうね。
ところが翌年、髪をショートにした途端、見違えるほど綺麗に。すると、あっという間にグラビア誌を席巻。今ではGカップ女子大生グラドルとして活動しています。コスチュームだとプロポーションが分かりにくいですが、可愛らしい笑顔からクールな眼差しまで表情は多彩に変わります。水着姿にご興味がある方は是非検索を。
2017年/宮越愛惠・市原彩花
自覚したのは6月に開催されたエアーレースの時。2年前から何度か取材していたのですが、この時は動画を回したためか、スチール撮影では気がつかなかった可愛らしさや悪戯な笑顔にノックアウトされてしまいました。今年はそれ以降、撮影する機会に恵まれていませんが、そろそろ禁断症状が出そうです。
レースクイーン1年目だった昨年、大抵の娘は取材カメラの前で物怖じするものですが、彼女は「他の娘がやってないことがやりたいです」と自らポージングを提案。その積極性は取材する側にとってとても嬉しいものでした。
今年の春に再会した時も「ここの撮影が一番楽しかったです」と覚えていてくれ、昨年を上回る前向きな姿勢。向かってくる娘が年々少なくなってきているので、彼女の今後には期待したいです。
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長くなりましたが、以上が過去17年間で印象に残ったレースクイーン34名です。取材を始めた2001年当時はまだPCの普及率が低く、ネットに対しても偏見がある時代。取材を断られることも珍しくありませんでした。
状況が一変したのは翌年。レースクイーン本人たちがこのサイトを見てくれるようになり、新人の中には『All About』を見てレースクイーンのことを勉強してきたなんて娘も現れるようになったのです。いつの時代も若い子の方が流行に敏感なもの。レースクイーン先導でサイトを知って貰えるようになりました。
しかし、皮肉にもネットメディアの台頭が紙媒体を衰退させます。レースクイーンのもうひとつの活躍の場であったグラビア誌が続々と廃刊。何種類も出ていたレースクイーン専門誌も最終的に1誌のみになってしまいました。そこへ追い打ちをかけるかのようにリーマンショックです。企業の広告塔であるレースクイーンは景気の動向に思いっきり左右されます。
業界的にどん底だったのは2010年。毎年150名以上いた「SUPER GT」のレースクイーンがこの年100名を切りました。予算が削減された時、真っ先に減らされるのはレースクイーン。彼女たちは景気の写し鏡でもあるのです。
AKBグループ躍進や地下アイドルの浸透も、レースクイーン界にとって打撃だったといえます。冒頭でも述べましたが、第二次ブームの頃、雑誌やテレビに出ている女の子に会えて気軽に話ができるのはレースクイーンくらいしかいませんでした。ところが、AKBグループが握手会を始めたことでファンの多くをそちらに奪われます。
レースクイーンは撮影会という形を取っていたため、彼女たちに会うには高額なカメラとスキルを必要とします。それに対しアイドルは誰でも参加できる気軽さが魅力。この潮流はしばらく変わらないでしょう。
この流れが影響してか、レースクイーンのモチベーションも変わってきました。グラビア誌の勢いがあった頃は、みんなメディアに出たがり少しでも有名になりたいという野心を持っていました。
ところが今の女の子たちは「レースが好きだから」、「若い時にしかできない仕事だから」といった理由でこの世界に飛び込んできます。純粋な理由といえばそれまでですが、取材する側としては後の活躍が期待できない寂しさもあります。この溝をどうやったら埋められるのか?これが今の私の課題です。
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