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希少な中排気量の4気筒バイクCB400SB
私はハーレーダビッドソンのXL1200RとスズキのアドレスV125を所有していますが、以前はCB400SF(型式NC31)を所有していました。しかし残念ながらこのバイクは現在私の手元にはありません。バイク便で使われていたCB400SFを譲り受けて乗っていましたが、手放す頃にはメーターは二周しており20万キロ以上を走っていたことになります。 2014年に最新型のCB400SFに試乗し、インプレッションを掲載しました。最新型の性能に感動しつつもけっして色あせないCB400SFの魅力を再確認できる体験でした。それから3年が経過し、その間に何台もの最新バイクに試乗してきましたが4気筒エンジンを搭載した400ccバイクはリリースされておらず現行のラインナップはスズキのGSR400ABSとホンダのCB400SB/SFのみとなっています。(GSR400ABSは生産終了が発表されています)
環境性能が重視される現在は排気量の小さいクラスは単気筒エンジン、もしくは2気筒エンジンを搭載するバイクのリリースが多いように思います。これからも400cc以下の排気量のクラスでは4気筒エンジンを搭載した新型がリリースされる可能性は低いでしょう。
今後CB400シリーズも環境規制に合わせてカタログ落ちする可能性もあります。もしもカタログ落ちするなら今のうちにもう一度乗ってみたい!と、久しぶりにCB400SFにハーフカウルを採用したCB400SB(スーパーボルドール)をお借りしたのでインプレッションをしていきます。
価格は400ccなのに100万円オーバー!でもその装備は半端じゃない!
環境の規制が厳しくなったことで追加の装備を余儀なくされ、バイクの価格は高騰しています。今回お借りしたCB400SB<ABS> E Packageはなんと100万9800円。400ccとしては強気の値段設計ですが、装備はかなり充実しています。ホンダは力を入れているフラッグシップバイクにはE Packageというオプションを用意しており、ETC車載器、グリップヒーター、メーター内には専用のインジケーターが用意されています。
E Packageに採用されているグリップヒーターはホンダのスポーツグリップヒーターという製品で価格は2万2680円。通常グリップヒーターは一般的なグリップよりも太くなりスイッチ類が増設される形となります。しかしホンダのスポーツグリップヒーターはグリップ根元に小さなスイッチがあり、グリップ径も太くならないので他のメーカーのバイクに乗っている人が使っている光景を目にすることもあります。
ETC車載器はシート下に収納されており、鍵がかかっているのでバイクを離れるときも安心できます。 灯火類はヘッドライトとテールライトにLEDを採用。ヘッドライトには輪郭をUの字で覆う導光帯も採用されていて高級感のある顔つきです。
サスペンションは前後共にプリロードの調整機能付。リアは一番柔らかい状態から1段硬いほうにセッティングがされておりフロントは無段階調整式です。 エンジンは水冷4気筒エンジンにHYPER VTEC REVO機構を搭載。同社ではCB400SF/SBとVFR800F/Xのみ採用されている機構で燃費と全域での加速フィーリングの向上に一役買っています。シートは最近のバイクに比べると広め。シート下に若干の収納スペースがあるのも昔は普通でしたが、最近のバイクでは見かけることが少なくなりました。 シート高は755mm。私はリアサスペンションのプリロードも一番柔らかくセッティングしたので若干足つき性が向上し両足がつく程度でした。身長165cmの筆者だと両足がつくバイクはあまりないですが、これだけ足つき性が良いと街中を走行している際の安心感が違います。
最近はフルカウルを採用しているバイクが多いので、CB400SBのようにハーフカウル採用車両は珍しくCB400SBのようなデザインの車両は他にありません。 そのハーフカウル内側の左右には小物入れがついており、左側は鍵がかかるようになっています。高速道路の通行券やグローブを一時的に入れておくのにも使えそうです。
以下はCB400SBを実際に通勤で使った印象です。
他のバイクから乗り換えるとわかる異次元のシルキーエンジン
一般的にエンジンの気筒数が増えると振動が少なくなり回転もスムーズに上がると言われていますが、CB400SBのエンジンの静粛性、スムーズな回転の上がり方、振動の少なさには驚かされました。サスペンションは前後共に若干柔らかめ。街乗りでは調度良い硬さだと思いますが、スポーツ走行をしようと思ったら若干プリロードをかけても良いかもしれません。出荷時の状態でフロント、リア共にプリロードがかかっている状態ですが、フロントはプリロードを掛けない状態だと柔らかすぎる印象でした。
CB400SB E Packageには前後ABSが標準装備。フロントブレーキはダブルディスクに4ポッドキャリパーという組み合わせ。車両重量は204kgと最近のストリートファイター系車両と比べると重めですが、それに見合ったブレーキシステムを採用しているので不安はありません。 ハーフカウルのウインドプロテクション効果も良い感じです。特に腿、お腹、胸、肩あたりの風はかなり緩和されるのでツーリングに頻繁に行くなら文句なしにCB400SBがオススメです。さらに意外と雨も防いでくれます。もちろん雨がガンガン降っている時には効果を感じませんが、小雨ぐらいだと太股やお腹辺りが濡れるのを防いでくれます。
ノンカウルのCB400SFに比べて3kgほど重いCB400SB。フロント周りにハーフカウルが装着されているとハンドリングにも影響が出るのでは?と思っていましたが、そんな心配は必要ありませんでした。特に私のような街乗りライダーは挙動の違いを感じることはないでしょう。
とにかく特筆すべきは今や希少な399cc直列4気筒エンジン。回転がスムーズすぎてまるでモーターのようです。回転が落ちてもガシャガシャとノッキングしにくく、比較的低速のコーナーでも他のバイクだと2速を選択するところを3速のままでもクリアできてしまいます。
4気筒エンジンは基本的には高回転重視なので低速はトルクが不足しがち。CB400SBも例外ではありませんが、低回転から中回転ぐらいの回転域ではパワーの盛り上がりがなくマイルドに走れるので街中では扱いやすく、高回転を使い始めると加速に抑揚があり楽しく走ることができます。
是非次世代に繋いで欲しい一台
伝統的なネイキッドスタイルにハーフカウルを組み合わせたCB400SB。デザインだけ見れば、最近のバイクに見られるソリッドなイメージはなく、むしろクラシックな印象を持ちます。1992年に登場したCB400SFは、発売から発売から25年以上がたちますが少しだけスマートになったぐらいで基本的なデザインコンセプトは崩れていません。大型自動二輪の免許が教習所で取れなかった時代は、普通自動二輪の免許で乗れる最大排気量の400ccクラスは大人気でした。しかし、規制が厳しくなったことや大型自動二輪免許の取得が容易になったことで、デビュー当時ライバルだった他のメーカーのネイキッドモデルは一足速くカタログ落ちしてしまいました。未だにホンダからはCB400シリーズの今後についてはアナウンスされていませんが、規制をクリアして今後も新車のCB400SF/SBが購入できるようにしてほしいものです。
■主要諸元
総排気量 | 399cm3 |
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全長×全幅×全高 | 2080mm×745mm×1160mm |
軸間距離 | 1285mm |
シート高/最低地上高 | 755mm/130mm |
車両重量 | 205kg |
エンジン形式 | NC42E・強制空冷・水冷4ストロークDOHC4バルブ4気筒 |
燃料消費率(km/L)(国土交通省届出値60km/h定地燃費値) | 31.0km/L 2名乗車時 |
燃料消費率(km/L)(WMTCモード値) | 21.2km/L 1名乗車時 |
最高出力 | 41kW(56PS)/1万1000rpm |
最大トルク | 39N・m(4.0kgf・m)/9500rpm |
燃料供給方式 | 電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉 |
燃料タンク容量 | 18L |
タイヤサイズ(前) | 120/60ZR17M/C(55W) |
タイヤサイズ(後) | 160/60ZR17M/C(69W) |
ブレーキ形式(前) | 油圧式ダブルディスク |
ブレーキ形式(後) | 油圧式ディスク |
出典 HONDA CB400 主要諸元 >http://www.honda.co.jp/CB400SF/spec/ | |
CB400SB関連リンク
■CB400SF試乗インプレッション■CB400SBのエンジン音、マフラー音はこちら
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