スシローグローバルの株主優待はお得なのか?

国内外でスシローブランドを展開する回転すしチェーンの業界トップ企業、スシローグローバルの株主優待がお得なのかを検証します

国内外でスシローブランドを展開する回転すしチェーンの業界トップ企業、スシローグローバルの株主優待がお得なのかを検証します

スシローグローバルは国内外でスシローブランドを展開する回転すしチェーンの業界トップ企業です。1975年の創業から二部上場を果たし、一部創業家の謀反、それに伴う外資系ファンドの傘下入りなど、紆余曲折を経て2017年3月に再上場を果たした同社。企業体質の強化と経営改革は継続しており、着実に店舗数を増やしています。2017/6月末時点の総店舗数は474店舗。将来的には800店舗体制を目指し、積極開店を進めています。

同社の株主優待は全国のスシロー店舗で利用できる優待割引券です。飲食の株主優待は人気がありますが、果たして再上場を果たした同社の株主優待はお得なのでしょうか? まずは同社のデータです。

【銘柄名】スシローグローバルホールディングス
【市場:コード】東証1部<3563>
【予想配当+予想優待額面利回り】:3.1%
【2017年9月15日株価】 3500円
【株主優待獲得最低投資額】 100株=35万0000円
【来期予想現金配当(1株あたり)】 93円
【株主優待権利確定月】 3月末、9月末
【優待内容】全国のスシロー店舗で利用できる優待割引券
100株以上で1500円分
※詳しくは同社のHPをご覧ください。

※今回は100株を購入したケースを想定しています。株主優待は1500円で評価し、利回り計算を行っています。

紆余曲折を経て業界トップへ

沿革を辿ると、同社のルーツは、1975年創業者の清水義雄氏が大阪阿倍野区に開業した立ち食い寿司店「鯛すし」にあります。現在の「あきんどスシロー」が誕生したのは2000年の事。その後、順調にチェーン展開をすすめ2003年には東証二部に上場を果たします。

ところが2007年3月。創業者兄弟の弟側の離反で、およそ27%に上る株式が、牛丼チェーン「すき屋」やすしチェーン「はま屋」を手がけるゼンショーに売却されたのでした。これで筆頭株主は創業家からゼンショーに異動する事態となりました。ノウハウの流出を懸念した同社は、この対抗措置として増資を実施し、ユニゾンキャピタルと水産大手の極洋がこれを引受け。その後MBO(経営陣いよる企業買収)を実施し、同社はユニゾン傘下に入り、2009年TOBにより上場廃止となりました。

それから同社は、ユニゾンキャピタルの協力の下、経営を強化し2012年9月期に売り上げ1113億円を達成し、業界トップの座を勝ち取ります。2016年9月期には売上高1477億円、営業利益75億円を記録し、10年間で売上、営業利益共にその規模はおよそ3倍にまで拡大したのです。

その後、企業価値の上がった同社株はユニゾンから英ペルミラアドバイザーズ傘下のコンシューマ エクイティ インベストメンツに転売され、さらに経営を強化。2017年3月には東証一部に再上場を果たしたのでした。

ちなみに、ペルミラ アドバイザーズは、「投資家から集めた資金を元に株式の過半数を取得→経営に参画→会社業務を健全な状態に建て直し→IPOを発行→利益確定」という運営をするプライベートエクイティファンドです。そのため、同社は何年も再上場を噂されていました。

強みは仕入れ力、店内調理、ITシステムの3つ

同社はペルミラの下で、さらに強い企業体質となることを目指し、経営を強化しています。強みとするのは、1、仕入れ力、2、店内調理、3、ITシステムの3つです。

まず、1仕入れですが、同社は、業界トップであることや取引先との強固な関係から、良いネタを安く仕入れることができます(再上場にあたり、親引け先として全農、サントリー酒類、極洋、マルハニチロ、日本ハムが引き受けています。どれも同社の取引先で、より密接な関係の上での食材調達を狙ったものと見られます)。

さらにそれぞれのネタの仕入れに詳しい人物を招き入れ、メニューのテコ入れを行うことで、客を飽きさせないメニュー作りをしています。

そして2の店内調理。同社では一時期食材を集中加工するセントラルキッチンを持っていたのですが、味を第一に考えた結果、店内調理に戻しました。「セントラルキッチンは手間や人件費が合理化されるという面ではいいが、冷凍回数が多くなると旨味が落ちる」との理由からでした。このように味にこだわる同社では、こういった経営方針もあって原価率を50%をメドとしています。外食業界の原価率が30%、回転ずし業界では40%という中で群を抜いています。「こんなに原価率が高かったら成り立たないんじゃないか」という見方もできますが、逆にこれが同社の強みの表れとなっているのだと思います。

最後に、3のITシステム。同社では、皿の裏にICチップを貼り、寿司皿消費量と種類、曜日や時間別の販売傾向などを全てデータ保存しています。つまり、顧客の喫食情報がビッグデータとなっているということです。

同社は、寿司業界で初めてクラウドシステムを取り入れた企業です。12年からアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)で管理し、どういった客がどんなものを食べたか、何時に何が売れたか、といったデータを一元管理しています。蓄積したデータは、廃棄率を低下させたり、効率のよい材料発注や販売戦略に活用されています。

身近なところでは、「スシローアプリ」。スマホ予約や各店舗の空き状況検索、お持ち帰り注文、フェアの情報やお知らせ、ポイントのチェックができるという内容で、再来店を促す役目を担っていると思われます。

店舗システム自動化で省人力化すすめ、800店舗体制目指す

業績を確認すると、2017年9月期第1-3四半期の業績の業績は客を飽きさせないような各種キャンペーンなどが奏功しており、着実に売上増となっています。上場関連費用の計上がありましたが、金利負担減により最終的には大幅増益となりました。

中期経営計画の初年度である17年9月期、これまでの業績は目標達成に向け、売上・利益ともに順調に推移しています。

同社は将来的に国内店舗を800店体制とすることを目標に掲げています。800店体制が実現すると、(1店舗当り売上3億3000万円として)年商は2600億円を超える規模となります。

ところで、同社が800店舗を達成するには、人材の確保が喫緊の課題となってくるでしょう。この点、同社は自動化によって、省力化を進めることで課題を解決しようとしています。例えば食後の皿を自動的に数えるシステムや無人レジ、食器洗浄機の更なる自動化などが導入されています。→現在、キッチンでは16、17人のスタッフが作業していますが、これを10人まで減らしていきたいと考えています。

同社店舗を良く利用する人にとってはお得


17/9期第3四半期末時点の財務内容は、自己資本比率23.8%、現金51億300万円で有利子負債498億6700万。流動比率は0.34倍と低水準ですが、寿司チェーンという業態から大量の仕入を行うことから、営業債務及びその他の債務の大きさが影響しているようです。

また、固定比率は380%を超えており、固定資産は自己資本では賄えない状況。長期借入金を足しいれた固定長期適合率で見ても116.8%と長期的な金利リスクも少なからず含んでいると見ることができます。

なお、のれん・無形資産が自己資本に対し3倍超えの規模となっています。もちろん、店舗拡大による成長に向けた投資を積極化させているわけですが、減損リスクの可能性はゼロではないので、注意が必要でしょう。

現金配当と株主優待を合わせた予想利回りは3.1%と、やや物足らない利回りとなっています。しかしながら、株価に上昇余地があるのだとすれば、株主優待の利回り自体は低いのですが、スシローをよく利用する人にとっては魅力的と考えることもできるのではないでしょうか?

参考:日本株通信

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