ところが実際は、年齢に関係なく、浮気や不倫の問題はいつでも起こりうること。芸能界でも渡辺謙さんや斉藤由貴さんのスクープが話題になったように、たとえ50代の男女であっても、浮気や不倫はそれほど珍しい話ではありません。だからこそ、長年連れ添った夫婦が危機を迎え、「熟年離婚」という選択をするケースも少なくないのです。
今、ふたたび熟年離婚が増えている!
じつは、ひと昔前に話題になって一時は下火になっていたと思われていた熟年離婚ですが、データで見ると増えていることがわかります。たとえば、厚生労働省が発表している平成27年度のデータによれば、同居期間が20年以上の離婚件数は1985年には2万434組だったものの2015年には3万8641組。つまり、30年前に比べると熟年離婚は約2倍近く、増えていることがわかります。
熟年離婚が増えた理由はさまざま考えられますが、そのひとつには女性が社会で活躍する機会が増えたこともあります。かつて、女性は卒業後に社会で働いたとしても、結婚や出産をきっかけに家庭に入り、専業主婦として夫を支え、子どもができれば子育てに専念することが当たり前だった時代があります。
今は、結婚や出産をしても、その後ふたたび以前と同じように働き、キャリアを継続していくことも可能になりました。収入源は夫だけだった時代と比べ、自分の力で仕事と収入を定期的に得られるようになるわけです。すると、将来を考えたときにも、ひと昔前の女性より経済的な負担や不安は軽減され、結婚というシステムにこだわる必要性が感じられなくなるようになります。「結婚がイヤだったら、自分の力で生活していけばいい」という選択肢があれば、結婚生活の長さに関わらず、離婚という決断をくだすハードルがぐっと下がるのです。
熟年離婚の原因は夫と妻ではこんなに違う!
ところで、熟年離婚にいたった理由を聞いてみると、意外にも夫と妻ではその理由が異なることが多いことを知っていますか? 私のサロンに相談に訪れるご夫婦の相談事例を見ても、「この人とはもうやって行かれない」と決断する際の夫と妻では、離婚の原因がずいぶん違うことに驚かされます。そこで、私のサロンで独自に調査した熟年離婚の原因のランキングのTOP3をご紹介します。・第3位
妻「夫からの感謝の言葉がない」
夫「妻に自分の趣味を否定される」
「妻は、家事や子育てをきちんとやって当たり前」と思っている夫は、妻が不満をためていることに気づく必要があります。どんなに一生懸命に主婦業を頑張っても「いつもありがとう」「感謝しているよ」という言葉がなければ、「なんのためにやっているのだろう、私?」と、むなしく感じ、心が離れていく妻もいるからです。
一方、妻は夫の趣味について決して共感できない場合でも、「くだらない」「子どもっぽい」などと否定するのは控えましょう。自分のことを理解しようとしてくれない相手に対して、信頼感を失うことにもつながるからです。
・第2位
妻「夫からの心ない言葉」
夫「妻が自分の親の世話をしたがらない」
「誰のせいで生活できると思っているんだ?」に代表されるような、いわゆるモラハラ発言で妻を傷つける夫は、熟年離婚の危機を迎える可能性があります。妻は、夫からの心ない発言はいつまでも覚えているもの。心当たりがある男性は、あらためて心から謝罪することが大切です。
義両親のお世話をお願いしても拒否する、自分の親だけを大切にする、といった妻が、夫から三行半をつきつけられるケースもあります。そこには単純に「親の世話や介護」といった物理的な労働を嫌がるというだけでなく、背景にある人間関係の問題が存在するかもしれないので、まずは夫婦間でよく話し合う必要があるでしょう。
熟年離婚の原因のNo.1は?
・第1位妻「夫が家事を手伝わない」
夫「妻が年金生活に不満を言う」
自分の仕事のことだけで手一杯だった若い頃とは異なり、熟年夫婦になると時間の使い方も少しずつ変わっていくもの。にもかかわらず、相変わらず家のことは妻にまかせっぱなしで非協力的な夫に対して妻は、「もう我慢できない。これからは自由に生きていきたい!」と、夫の定年退職の時期をきっかけに夫婦生活からの卒業を考えることもあります。
これまで一生懸命に仕事を頑張って、「オレの稼ぎがあったからなに不自由なくやって来られた」という思いの強い夫は、支給される年金に関しても「自分のおかげでもらえるもの」だという思い込みがあります。なので、断りもなく妻が高級コスメを購入したり、女友達と海外旅行に出かけたりすると不機嫌になり、そのことを叱責したことで不満を言うようになった妻に対してストレスを募らせるようになるのです。
熟年離婚の原因のNo.1は「家事」と「年金」
熟年離婚を回避するには、将来の「お金」の問題をクリアにすることも重要です!
ひとつは「お金」について。昔は会社員の妻はもらえなかった年金が、2007年に「年金分割制度」が施行されたことにより、半分は妻のものとして認められるようになりました。「夫が仕事を頑張ってこられたのは、妻の努力があったからこそ」ということでしょう。
夫はお金を独り占めしようとせず、「これまでありがとう。半分はあなたのものだから」とねぎらう気持ちを示すことで妻は安心もでき、夫婦として絆を深めることもできるようになります。
ふたつめは「思いやり」です。これは、一朝一夕に身につくものではありません。とくに多くの場合、熟年離婚を考えるきっかけになるのは、子どもの独立や夫の定年退職、両親の介護など「環境が変化したとき」。そんなタイミングを待って、パートナーから離婚を切り出されないようにするためにも、夫婦は日頃から相手の心の動きに気を配れるよう、思いやりの気持ちを持って接することが大切です。
最後のポイントは「話し合い」です。「生活時間帯が合わないから」「とくに新しい話題もないから」などと、夫婦で話し合うことが少ない場合は要注意。もっと積極的に二人で話し合う時間を持つようにしましょう。小さな「ほころび」ができているのに我慢をしていると、やがて大きな傷となり、取り返しのつかない事態に発展することも多いのです。自分に話すことがなくても、相手の話を聞く時間を持つつもりでたくさんおしゃべりしてください。
ただでさえ離婚をすることにはエネルギーを費やすものですが、熟年離婚となるとさらにパワーが必要です。できれば円満に暮らし続けていかれるよう、今のうちからできることをしておくのが理想的と言えるでしょう。
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