10年で株価70倍!テンセント(00700)の凄さ
中国を代表するネット企業、テンセントとアリババが揃って時価総額40兆円を突破しました。テンセントの時価総額は日本円で44兆円となり、トヨタの2倍にもなります。40兆円と言えば、「FAAMG」と呼ばれる世界5大銘柄(フェイスブック、アップル、アマゾン、マイクロソフト、グーグル=アルファベット)に迫る規模であり、これらに中国の二強を加えて世界の「ビッグ7」と呼んでも良いかもしれません。10年前、世界のトップ10と言えば、50兆円超のエクソンモービルを筆頭にBP、シェルなど石油メジャーが多く含まれ、さらに国際コングロマリットのGE、そしてチャイナモバイル、AT&T、英ボーダフォンなどの通信各社、ウォルマートなどが入っていました。FAAMGでは唯一マイクロソフトがトップ10に入っていたくらいです。
この10年で時代は大きく変わり、スマートフォンの登場によってIT・ネット企業ばかりで上位を独占し、上の各社は外れてきています。この変貌を10年前正確に予想できた人は少なかったと思います。
毎月千万個以上のiPhoneを売るアップルが瞬く間に最大企業となりました。石油企業は大きく価値を落としました。やがてガソリン車が販売禁止となり、ガソリンスタンドもいずれ消えて行く運命にありそうです(原油の65%は輸送燃料需要)。リアル店舗の数で圧倒していたウォルマートや百貨店は、ネット通販のアマゾンやアリババ、JD.comらの快進撃で価値を減らし続けています。
そして時代はIoT、クラウド、AIへと、半導体の進化によってさらにIT・ネット企業の作る価値が増して行こうとしています。スマホの登場によってすでに多くの人はネットに頼っていますが、今後はより一層、日常生活に密接に関わってくるでしょう。テンセントは「微信(WeChat)」によって10億人近い人と繋がっており、ゲーム、映像、ニュース、SSNのほか、決済においてもこれらの人の日常と関わりを強めています。
成長の加速感は中期的なピークに!?
直近の決算を見ると、これまで主力であったゲーム収入の割合はむしろ低下し、広告、決済、クラウドが急成長しています。近いうちに決済とクラウドは「その他部門」でなく、単独部門として新たな柱となるでしょう。長期的な成長期待は大で、今稼いでいる利益額も非常に大きく伸びているのですが、それでもようやく純利益1兆円を超える時点の同社にすれば、44兆円を超える時価総額は、かなり成長力を織り込んだ株価と言えるでしょうか。アップルは随分と前から僅か3か月間でそれくらい稼いでいました。客観的に同社の株価を見れば、長期上昇トレンドの中でも、上昇期と停滞期が繰り返されています。まだ時価総額数兆円だった2009年に238%上昇することもできましたが、その後、2年間は停滞しました。10兆円超えとなった13年に99%上昇すると、翌年は14%高に留まりました。今年春に30兆円を超えた株価はすでに年初来72%の上昇と、規模からすればかなりの上昇率となっています。
規模が大きくなってから成長ペースが逓減し、ここ数年は四半期ごとに+7%前後の業績成長となってきたのですが、事業投資の成果が昨年後半より出始め、直近で12%程度の急成長率となってきております。株価もそれに応じて成長加速期に入っています。もう数四半期ハイペースが続くと思いますが、永続的にこのペースを続けることは難しく、一旦逓減していくことになると思います。成長が鈍るとすれば、次の新時代を見据えて再び多額の費用を掛けて事業投資を行う時で、利益が今ほど大きく伸びず、株価もどこかで再び停滞期に入るでしょう。もちろん、これは中期的な見方であり、長期のシナリオ(長期シナリオはあくまで強気)ではありません。
時価総額100兆円へ!引き続き長期的な成長が期待できる
テンセントの成長は留まるところを知らないかのようです。直近の決算ではゲーム以外の実りも明確に見えてきました。ゲーム、広告と続き、さらにクラウドと決済の次は、AIを使った事業を目指します。グーグルやフェイスブックが中国で規制されているなか、テンセントは中国のネットサービスで独占的な地位を固めています。テンセントの方も欧米に出て行くつもりはなく、中国での事業拡大に専念する様子です。中国当局としても多数のネット企業が乱立するよりも、アリババとテンセントの2社でネットの規制・統制を固めて行く方が良いでしょう。
前述のように中期的には過熱感も見えるところですが、長期的には時価総額44兆円は通過点にすぎず、テンセントは今後「FAAMG」と共に100兆円を目指すネット企業となって行くでしょう。
参考:中国株通信
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