マイニングとは、ビットコインの発行プロセスに必要な作業
ビットコインの基盤技術であるブロックチェーンは、約10分ごとに取引履歴データを「ブロック」という形で格納してチェーン上につなげていく仕組みです。このブロック同士をつなげるためのデータ処理作業(承認作業)のことをマイニングといい、マイナー(採掘者)という任意の参加者たちが行います。具体的には、ブロックをつなげるために必要な高度な計算作業がマイニングであり、これをマイナーが高性能なコンピューターと膨大な電気代を消費しながら競争し合って行います。また、こうした取引記録を難解な計算作業を行って承認するという仕組みをProof of Work(POW)と呼びます。ビットコインのネットワークが存続するには、こうした任意のマイナーの存在が必要不可欠であるといえます。また、マイニングに参加する任意のマイナーの参加数ができるだけ多く、それぞれの属性もバラバラであるほどビットコインのネットワークは安定し、強固になるということもできます。
マイニングに参加する理由とは
競争に勝って最速でひとつのブロックの処理を完了したマイナーには報酬として12.5ビットコインが付与されます(2017年9月現在)。この報酬(マイニングリワード)が、マイナーが電気代やマイニングのためのハードなどのコストをかけてマイニングをする理由です。金(ゴールド)を採掘するときも高性能な重機に投資したり、人件費をかけたりするなどコストをかけるのと似ています。また金には埋蔵量に限りがありますが、ビットコインにも発行上限が2100万BTCと限りがあります。こうした理由から、ビットコインのマイニングは金の採掘になぞらえることができます。マイナーは収益性が高い方に集まる
前述のとおり、マイナーは多大な電気料を消費して報酬として通貨を得ています。このため、もしも同じような計算作業を行うふたつの仮想通貨があれば、得られる収益が高い方にマイナーが集まるという事象が発生します。実際、8月にビットコインから分岐したビットコインキャッシュとビットコインの間でこのような事例が確認されています。8月のある期間、ビットコインキャッシュの価格が上昇し、またマイニングを行う際の計算の難しさ(難易度)が下げられた際に、ビットコインよりもマイニングで得られる収益の推定値が高くなったことが確認されました(コインダンス調べ)。ビットコインキャッシュとは、ビットコインからスピンアウトした通貨ですが構造はほとんど同じです。このため、これをきっかけにビットコインキャッシュのマイニングへの参加者が急増するという事態が起こりました。これは、ビットコインキャッシュが通貨としての安定性を高め、存在感を強めるきっかけとなったということもできます。
マイナーの多さや、その属性が分散されているということはその通貨のネットワークの安定性とつながります。他にも通貨発行の仕組みにマイニングが必要な仮想通貨の場合、その通貨の安定性を考える上でのひとつの参考とすることができます。