「宇治」と「うさぎ」の深い縁とは?
京都市内の南に位置する宇治。宇治茶の産地としてよく知られる場所ですが、町なかを歩くと住所表記や学校、公共施設に「菟道」という名称を多く見かけます。これは「うじ」と読み、山城国・宇治の古代表記と伝えられています。
菟道と名付けられたのには諸説あり、応神天皇の皇子で仁徳天皇の弟の、菟道稚郎子命(うじのわきいらつこのみこと)の住まいがこの地にあったとか、菟道稚郎子命が宇治に来た際にうさぎが道案内をしたとか、うさぎが群れて通ったから、など由来はさまざま。いずれにしても、うさぎと縁が深い地なのです。菟道稚郎子命にゆかりの深い神社といえば、宇治神社と宇治上神社が挙げられます。これらは明治時代以前は二社一体ででしたが、やがて二社に分離し、今に至ります。
これら二社では、境内でうさぎモチーフに出合えるとあって、近年女性から注目の的。パワースポットとしても知られています。二社ともに宇治川の右岸で近接しているので、合わせて訪れたい社です。
境内がうさぎモチーフであふれる「宇治神社」
京阪宇治駅から宇治橋を渡らずに宇治川の川べりを歩き、まず訪れたのは「宇治神社」です。この辺りは応神天皇の離宮(桐原日桁宮)跡で、菟道稚郎子命の宮居跡と伝えられ、菟道稚郎子命の死後に神霊を祀ったのが始まりだそう。宇治神社の境内各所には「みかえり兎」と呼ばれる兎のモチーフを見ることができます。後ろを振り向くポースの由来は、御祭神・菟道稚郎子命が河内から宇治に来た際に道に迷われていたため、御祭神を振り返りながら道案内をしたという言い伝えによるもので、うさぎが神様のお使いとされています。
参道でまず出合えるのが手水舎。うさぎの口から水が流れ出し、手を清めることができます。
階段を上って朱塗りの鳥居をくぐり、さらに階段を上ると拝殿が見えてきます。正面の看板に「桐原殿」とありますが、桐原とは当地の地名。入母屋造の美しい建物に緑の木々が美しく映えていました。
その奥に国の重要文化財である本殿があります。鎌倉時代初期の三間社流れ造り桧皮葺きの社殿で、内部中央には菟道稚郎子命の木造神像(国重要文化財)が祀られています。 本殿の正面には、美しい白磁のみかえり兎が! うさぎさんにもよくお参りしました。
本殿右手には絵馬堂があり、ここにもうさぎが描かれた絵馬が奉納されています。絵柄はみかえり兎と鳥居で「みかえり神兎」と書かれています。
すぐ後ろの木々に囲まれた場所はパワースポットと呼ばれていて、ここにもみかえり兎の置物が。境内の中でも空気の流れの違いを感じる特別な場所なので、心と体に自然のパワーを取り入れたいものです。
お参りを済ませると、楽しみにしていた、みかえり兎のおみくじを受けました。白肌でとても可愛らしい素焼きのうさぎで、赤い紐を引っぱるとおみくじが出てきます。
赤い紐を引くと、なんと「大吉」! 久しぶりに引いたおみくじでしたが、ありがたいメッセージが綴られ、明日からまた頑張ろうと気力が湧いてきました。
社務所にはうさぎモチーフの絵馬やお守りも各種揃っていますので、うさぎ好きにはたまりません。
「宇治神社」
・住所:京都府宇治市宇治山田1
・TEL:0774-21-3041
・拝観時間:境内自由
・拝観料:無料
・交通:京阪宇治線宇治駅から徒歩5分、またはJR宇治線宇治駅から徒歩10分
世界文化遺産の「宇治上神社」にも、うさぎが!
「さわらびの道」をさらに進むと、うっそうとした木々に覆われる「宇治上神社」の鳥居が見えてきました。朱塗りの鳥居をくぐり、小さな門をくぐると、目の前に拝殿が堂々と佇みます。拝殿の建立は1215年頃と推定され、「拝殿として現存最古」といわれています。奥にある本殿の建立は1060年頃。「現存最古の神社建築」といわれ、両殿ともに国宝、及び、世界文化遺産に登録されています。
本殿は左殿、中殿、右殿の内殿三棟を横長の覆屋で覆った形で、それぞれに菟道稚郎子命、応神天皇、仁徳天皇の三祭神が祀られています。
いずれの社殿も境内がそれほど大きくないにもかかわらず、敷地いっぱいに建てられていて、その規模に驚かされます。
拝殿の右手には宇治七名水のひとつ、桐原水が湧く井戸があります。七名水のうち唯一現存するのがこちら。社殿の背後の大吉山から流れ出る水がここに湧き出していて、柄杓で手を清めることができます。
こちらの神社でも、うさぎを目にすることができます。売店で授与されるおみくじです。こちらのうさぎは少し上向きで、ピンク、ブルー、イエロー、白の四色が用意されています。カラフルで可愛いです。
また絵馬の代わりに、人の形をした「願い人形(ひとかた)」が数種類用意されていて、ここにもうさぎが描かれています。ここに願い事を書いて奉納すると、お焚き上げしてもらうことができます。
「宇治上神社」
・住所:京都府宇治市宇治山田59
・TEL:0774-21-4634
・拝観時間:9:00~16:30
・拝観料:無料
・交通:京阪宇治線宇治駅から徒歩10分、またはJR宇治線宇治駅から徒歩20分
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いかがでしたか? うさぎに縁のある宇治の神社で見つけた、うさぎモチーフやうさぎのおみくじ。可愛らしいのはもちろんのこと、地名の由来や、うさぎとの関わりを知ることができて、有意義な神社めぐりとなりました。自然や名水、歴史や建築が紡ぎ出すパワーも感じてくださいね。