渓谷へ下りると少しひんやりする
夏の散歩の定番といえば等々力渓谷だ。23区唯一の渓谷で、ひんやりした空気を感じながら川沿いの道を歩くことができる。7月某日、うだるような暑さのなか、東急大井町線の等々力駅までやってきた。ここから、等々力渓谷までは歩いて数分だ。
等々力駅の南口を出て右へ行くと、大き目の道路に出るので、そこから左折。間もなく成城石井があるので、その先を右へ行けば、等々力渓谷に到着だ。渓谷の上にはゴルフ橋という橋が架かっている。下を流れるのは谷沢(やざわ)川だ。
ゴルフ橋の脇に階段があるので、そころから下に降りていくと、等々力渓谷の遊歩道が始まる。先ほど上を歩いたゴルフ橋を下から見ると、渓谷と上の世界とを隔てていることがよくわかる。
さて、歩き始めよう。たしかに、渓谷は少しひんやりする。それに加えて、谷沢川が傍を流れているので、より一層涼しく感じられる。ちなみに等々力渓谷は1974年(昭和49年)に風致公園として整備されたが、道はけっこうワイルドなので、動きにくい服装での来訪はおすすめしない。靴などはきちんとした運動シューズで訪れるほうがいいだろう。
等々力渓谷のランチは、環八通り沿いのお店でカツカレー!
今回の散歩は、All AboutプロデューサーのOくんも同行してくれていた。Oくんといえばカツカレーだ。そして、この等々力渓谷近辺でカツカレーがいいただけるおすすめの店としては、環八(環状八号線)沿いで営業している「お食事処 さと」がある。我々は渓谷の散歩を一旦休止し、環八へ上がることにした。渓谷をしばらく進むと、環八(環状八号線)の下を通っているところに辿り着くので、そこの脇にある階段から環八に上がることができるのだ。
「お食事処 さと」はランチの提供が11時から14時までなので、僕らは少し急いだ。環八を歩きながらOくんが「学生時代にこのあたりを自転車で走ってましたが、渓谷の存在は知りませんでしたね」と話す。そう、環八の上からでは、下にこんな渓谷が広がっているのはまったくわからないのだ。
そんな話をしながら、お店に到着した。
「お食事処 さと」は4人掛けのテーブルが2つとカウンター席が7席。お客さんがひっきりなしにやってくる。近隣のサラリーマンなど我々を含め、客のすべてが男性だ。
注文したカツカレーのカツは分厚く、食べ応えがあった。ほかのお客さんはメンチカツを注文している人が多かったが、定食類など、どれもおいしそうだ。
環八を挟んだお店の向かい側には、玉川野毛町公園がある。ここには野毛大塚古墳があるのだが、今回我々はそのまま渓谷へ戻った。
等々力渓谷で涼を感じる“水”
再び等々力渓谷へ。このスポットで涼を感じる要素のひとつは水だ。たとえば、下の写真のように川の上を歩くことができる。また、別の場所では川と平行にウォークボードが造られていたりする。 さらに龍の口から水が下の岩に落ちていく場所(不動の滝)なども涼を感じられるスポットだ。等々力渓谷へお越しの際は、ぜひ水との触れ合いを楽しんでほしい。ちなみに、不動の滝で龍の口から糸を引くように流れている水……これ、湧水なんだそうだ。周辺にはここの絵を描いている人たちもたくさんいて、癒される空間となっていた。
不動の瀧から坂をのぼると、等々力不動尊がある。ここは、商売繁盛とともに恋愛成就のご利益があるそうだ。そのためか若い女性の参拝も多い。
日本庭園でひと休み
等々力渓谷に来たら、ぜひ寄ってほしいのが日本庭園だ。渓谷から坂を上がっていった先に書院があり、休憩もできる。書院では、お茶や冷水が用意されていて、誰でも無料で利用できる。ただし、長時間の休憩や食事などはダメ。
せっかくなのでOくんと座敷にあがって冷水をいただいた。座敷から見る庭園には新緑が広がっている。これが秋を迎えると、紅葉になるのだ。「夏に最適」と最初に書いたけれど、じつは等々力渓谷はどの季節に来ても楽しめるというわけ。
さて、この日本庭園まで来たら、等々力渓谷もほぼ終わりだ。我々は渓谷まで降りて、いままで来た道を戻っていく。やがて、ゴルフ橋が見えてきた。
新緑に水と、涼の要素がいっぱいの等々力渓谷。では、実際どれくらい涼しいのか? 気になる人も少なくないだろう。そんなときは、等々力渓谷の出口(入り口)付近にある電光掲示板をチェックしてほしい。
この電光掲示板では、掲示板がある場所と渓谷のなかそれぞれ温度を確認することができる。ちなみにこの日は、下の写真にあるとおり、渓谷の外は32度で、渓谷の中は29度と、3度の差。しかし実際に渓谷へ行くと、3度差以上の涼しさを感じることができるだろう。
夏の散歩にはみなさんもぜひ等々力渓谷を訪れてはいかがだろうか。