子育て/子育てに役立つ最新心理学

グローバルに活躍できる子供の育て方

最近、「グローバル化」という言葉をよく聞くようになり、子ども向けの英語教育が盛んになってきています。子供たちが、将来、世界で活躍するために必要なグローバル教育について、筆者自身の海外在住経験と専門である子育て心理学の視点からお伝えしていきます。

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

「グローバル」には英語も大事、でもさらに大切なスキルとは?

グローバル教育、どんなスキルを身につけるべき?

グローバル教育、どんなスキルを身につけるべき?

最近、「グローバル化」という言葉をよく聞きます。これからの時代を生きる子供たちが、グローバルに活躍するために本当に必要な力とは?

筆者自身の海外在住経験と専門である子育て心理学の視点からお伝えしていきます。


英語という道具をいかに使いこなすか?

2015年に、株式会社リクルートライフスタイルが行った「子供の習い事」についてのアンケートによると、今後、習わせたい習い事ランキングで、「英語・英会話」が圧倒的な1位(50.7%)だったそうです(未就学児から小学校高学年までの子供をもつママ927名を対象とした調査)。

また、すでに習っている子の”英語をはじめた理由1位”は、

将来に有利なため(52.8%)

半数以上のご家庭が、「将来を見据えたら、英語をやっておくべき」とて考えていることが分かります。

このような調査結果を見ても、「グローバルな子を育てたい」と思ったら、「まずは英語を」と考える傾向が伺えます。筆者は、海外生活が20年近くと非常に長いのですが、日々、周りの子供たちの成長を見ていると、言語は早い時期にスタートするに限ると感じています。とくに「発音」に関しては、小さいお子さんほど、ネイティブの音が入りやすく、兄弟で同時にはじめても、下のお子さんの方が発音が滑らかな傾向があります。ですので、今の日本の「小さいうちから英語を」という傾向は、とてもいい流れだと感じています。

ただ、英語だけマスターすれば、それでグローバルかというと、そうではありません。英語は、グローバル社会で活躍するためのツールに過ぎず、その手持ちの道具をいかに使いこなすかが何より大事だからです。


グローバルに活躍するために本当に必要な力とは?

これまで、自分自身が学生として、そして今は、学童期の子を持つ親として、海外と関わってきた中で、日本人がグローバルに活躍するために、身につけておいた方がいい力は、
  • 外国人の前で圧倒されないこと
だと感じています。

一般的に、日本人は日本人しかいない中で育っているので、外国人に何か話しかけられると身構えてしまいがちです。いくら英語がペラペラでも、いくら英検の1級を持っていても、タジタジにひるんでしまっては、せっかくの実力を発揮することができません。英語の勉強と並行し、「たじろかない精神」も一緒に育てていきましょう。


幼少時から意識したいグローバル化対策1:場慣れ

いざというときにタジタジにならないために、もっとも必要なのは、やはり場数です。しかも大人になってからでは切り替えが難しいので、幼少期から場慣れを起こしておくと、とても楽になると思います。英語を習うときは、外国人の先生がいらっしゃればベストです。

小さい頃から、外国の人と触れ合っていることで習得できるのは語学だけではありません。その人が持っている文化的な習慣などにも自然と触れることになります。
  • 「あ、お家の中でくつをはいている」
  • 「ごはんは、おはしを使わないんだ」
  • 「ボディタッチが多いなぁ」
  • 「自分の意見をバンバン言って積極的」
こんなことを肌で感じることが、「あ、日本だけじゃないんだな」「世界には色々な考えがあるんだな」とその子の思考を寛大にさせ、結果的に、受け皿の大きいたじろかない子を育ててくれるのです。

日本は島国ということもあり、日本人が圧倒的です。当たり前のように感じるかもしれませんが、今、筆者が住んでいるオランダの首都・アムステルダムは、市民の50%以上が外国人で、オランダ人の方が少ないのです。

そんな「異文化が隣合わせ」の中に日常があるオランダ人は、世界最高水準の英語力と異文化への寛容性を持ち合わせています。だから、日本人である筆者が、街中で道を聞かれたり、話しかけられることもしばしば。非常にオープンでフレンドリーな国民性だと言われますが、それは、こんなマルチカルチャーが影響しているのでしょう。場数を踏むことで、異文化が「異」でなくなる、これからの日本人の子供たちに身につけてほしい資質です。


幼少時から意識したいグローバル化対策2:意見力

日本人は「意見下手」と言われます。控えめな国民性もあり、ガツガツと意見を言う風潮がありません。ただ、筆者は、日本人が意見を言わないのは、おとなしい国民性だけが理由ではないと感じています。

振り返れば、日本の教育は「意見をぶつけ合うこと」よりも、「正解を求めること」「正しく覚えること」に重きが置かれているのが分かります。たとえば、子供たちが受けるテストなどもそうです。四者択一や○×式では、「合っているか」「合っていないか」が重要です。それについての知識を暗記さえしていれば、それを自動的に当てはめて回答すればOKです。意見を持たなくても、済んでしまうのですね。

日本の国語では、「太郎くんがどう思いましたか?」と聞かれたら、文章内に書かれている「太郎君の気持ち」をそのまま書き抜きます。しかし、英語の教育では、「太郎君がそう思ったことについて、君はどう思うか?」を問われます。それには正解などありませんので、いくらでも意見が出てきます。子供たちは積極的に挙手をして、自分の意見を述べるのです。10年後、20年後、意見力に差がつくのは当然です。

意見には、「正解」「不正解」はありません。なぜなら、その人の所有物だからです。日本人はどうしても「正解」にこだわるので、「“最高の意見”が思いつかないのなら、何も言わない方がいい」という発想が出てきてしまいがちですが、「意見は異見」、他の子と違っていて、全然いいのです。これを頭に入れておかないと、いつか将来、海外とやりとりをするということになったとき、貝のように口をふさぐことになってしまいます。

ぜひご家庭で、お子さんが自分なりの見解を述べられる機会を増やしていってください。すでに意見を言うのが苦手な傾向があるお子さんには、「〇〇と~~だったら、どっちがいい?」のように振ってあげるのもいいと思います。

英語力があって、外国人の前でもたじろかない心がある子なら、将来、グローバルにやっていけます。英語のみならず、精神面も意識したグローバル教育、ぜひ取り入れてみてください。

*参照:『ケイコとマナブ』 2015年 子供の習い事ランキング
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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