プリウスとプリウスPHVの違いとは?
ハイブリッドのプリウスに続き、専用デザインが与えられた2代目プリウスPHVが登場した。プリウスとプリウスPHV(プラグインハイブリッド)最大の違いは、デザインや装備だけでない。PHV最大の特徴は充電できること。そのため、大きなリチウムイオンバッテリーが後席後方、荷室の下に搭載されている。
プリウスはグレードにより、ニッケル水素とリチウムイオン電池の2つを使い分けていて、ニッケル水素は28の電池が直列で並び、容量は6.5Ah。リチウムイオンは56の電池が直列で接続され、3.6Ahという容量を得ている。
一方のプリウスPHVはリチウムイオンのみで、95個の電池を直列で接続し、容量は25Ah、総電力量は8.8kWh。
先代である初代プリウスPHVは、すぐにエンジンが始動してしまいEV(モーター)走行できる距離や速度が限られていた。フル充電の状態でもタウンスピードではすぐにエンジンが始動し、プリウスからプラスアルファの予算を出すありがたみが少なかったわけだ。
よりEVに近づいたプリウスPHV
2代目となった新型プリウスPHVは、一言でいうと「よりEVに近づいた」ということだろう。そのため予算も開発時間もより掛けられているようにみえる。
EVモードでの走行距離は、初代プリウスPHV(26.4km)の2倍以上となる68.2km、EV最高速度も100km/hから135km/hまで引き上げられている。また、ハイブリッド燃費は37.2km/Lで、これはプリウスと同じ(燃費スペシャルグレードの「E」の40.8km/Lをのぞく)。ハイブリッド燃費は、素のプリウスと同値だが、エンジニアに伺うと効率はプリウスPHVの方がより良くなっているそうだ。
さて、プリウスPHVを街中で走らせるとどうだろうか。ごく普通に流れに乗り、首都高速に入ってもバッテリー容量がよほど減っていない限りエンジンはかからない。少し強めの加速をしてもなかなかエンジンは始動しないから、確かにこれなら「ほぼEV」としてまかなえるはずだ。
電動車両ならではの走りが魅力
モーターならではの加速のスムーズさ、そして伸びやかさも電動車両のそれだ。非常に静かで乗り心地も悪くない。重い物(バッテリー)をより積んでいる感じはプリウスよりも明らかに高いが、良くいえば、重厚感があって乗り心地の良さにつながっている。
逆にいえば、軽快感では素のプリウスには及ばない。ハンドリングをどうこういうクルマではないが、低重心のプリウスPHVに対して、フットワークが軽いプリウスという違いになっている。
3種類の充電に対応
そのほか、初代プリウスPHVとの違いでいえば、急速充電に対応したこと、停車中に駆動用バッテリーに供給する(センターコンソールにあるニッケル水素電池を介して)ソーラー充電システムの採用もトピックスだ。
急速充電は出先などで充電できて便利だが、電気代でいうと「割高」で、本来は自宅で夜間に充電(深夜電力契約が必須)して、電池が少なくなったらハイブリッド走行をするのがプリウスPHVの賢い使い方。そのため、トヨタと各電力会社が協業し、ポイントが貯まるなどのお得なプランも用意されている。
なお、急速充電を利用するよりも「バッテリーチャージモード」で発電しながら充電した方が、その時のガソリン代によるものの、お得な可能性もあるという。
ほかにも、プリウスは給電できないが、プリウスPHVならキャンプやアウトドアなどで「動くバッテリー」としても利用できる。エンジンをかけずに家電などを使う際には「EV給電モード」が控えているし、停電・災害時などは、最初はバッテリーのみで給電し、電池が少なくなったらエンジンが始動して給電を続ける「HV給電モード」も用意されている。
確かに安くはないプリウスPHVだが
上級グレードになると、クラウン級の価格になってしまうプリウスPHV。コストのみで考えるとプリウスで十分だし、5人乗りのプリウスに対してPHVは4人乗りのみという差もある(常に5人乗る人は少ないだろうが)。
しかし、プリウスPHVの「ほぼEV」に近い走り、万一の電池切れも心配不要、望めば急速充電も可能で、ソーラー充電システムという新しいモノ好きをくすぐるシステムや給電までも用意されている。初代プリウスPHVには多少興味があっても、結局食指が動かなかった人も新型プリウスPHVは、気になる存在になるのではないだろうか。