2370円の青春18きっぷでどこまで行けるのか
「青春18きっぷ」は、全国JRの普通・快速列車の普通車自由席が1日中乗り放題。しかし乗り放題といっても、1日分=2,370円だけで一体どこまで行けるのであろうか? この切符の基本性能を探るべく、東京駅から西へ、上野駅から北へ、という二つのパターンを検証してみた。■検証ルール
※始発駅を当日の始発列車に乗って出発。
※次に乗り継げる一番早い列車に乗り継いで進む。
※1日分の有効期限が切れる駅、または乗り継げなくなる駅まで行く。
※旅行開始日は「2017年3月6日月曜日」とした。
※< >内は、列車番号・列車種別・列車の行先です。
※列車時刻等は、すべて「JR時刻表2017年3月号」による。
なお、2006年の記事と比較しつつ、2017年3月ダイヤ改正版とした。
検証1:東京駅から西へ
まずは東京駅から東海道を西へ向かってみる。もちろん「青春18きっぷ」の旅なので、新幹線は一切使わない。JRの普通列車と快速列車の普通車自由席だけを利用する。東京駅発は、東海道本線よりも地下の横須賀線の方が早いので、そちらを使った。
■スタート
東京(東京都)
4:55(地下の横須賀線ホーム)
↓459S<普通・久里浜行き>
5:04
品川(東京都)
5:10
↓725M<普通・小田原行き>
6:21
小田原(神奈川県)
6:22
↓723M<普通・熱海行き>
6:45
熱海(静岡県)
6:49
↓425M<普通・浜松行き>
9:19
浜松(静岡県)
9:23
↓923M<普通・豊橋行き>
9:56
豊橋(愛知県)
10:03
↓2515F<快速・大垣行き>
11:31
大垣(岐阜県)
11:42
↓223F<普通・米原行き>
12:17
米原(滋賀県)
12:20
↓3459M<新快速・姫路行き>
14:47
姫路(兵庫県)
15:03
↓975M<普通・播州赤穂行き>
15:22
相生(兵庫県)
15:25
↓1323M/1745M<普通・糸崎行き>
18:04
糸崎(広島県)
18:29
↓373M<普通・徳山行き>
21:57
徳山(山口県)
21:59
↓369M<普通・下関行き>
23:50
下関(山口県)
23:51
↓5239M<普通・小倉行き>
0:04
小倉(福岡県)
■ゴール
・総乗車距離 :1,107.7km
・かかった時間:19時間09分
・乗車列車数 :13列車(快速列車2、普通列車11)
なんと!普通・快速列車だけを乗り継いで、1日で九州まで行けるのだ。
2006年版では、東京発静岡行きがあったが、今は、そのような長距離列車はなくなった。乗り継ぐ列車の本数が増えた分、かかった時間も30分近く増えている。
東京発の東海道本線の始発は、2006年と同じ5時20分発だが行先は沼津行きと短縮された。もし、この列車を利用すると、乗り継ぎ列車の関係で関門海峡を越えることはできず、山口県の厚狭に23時58分着。ここまでになってしまうのだ。
「青春18きっぷ」1日分の効力は「0時を過ぎて最初に止まる駅まで」と決められている(詳しくは「「青春18きっぷ」超基本ルール10」の「基本ルール4」を参照)。このため、最後に下関駅から乗る列車が、0時を過ぎて最初に停まる小倉駅がゴールとなる。東京~小倉間の切符を普通に買ったら運賃は13,180円だが、「青春18きっぷ」ならもちろん2,370円と破格である。
もちろん、このプランを実際に実行するとなるとかなりの覚悟(?)が必要なので、あくまでも参考ということで……。
検証2:上野駅から北へ
さあ、今度は上野駅から一路北を目指して出発だ。同じく、「青春18きっぷ」だけを使う。2006年版では、東北本線を北上した。最初は同じルートを考えたけれど、2017年においても福島での乗り継ぎが悪く、秋田県の大館で終わってしまう。中途半端な感じは否めず、高崎線、上越線、新潟経由に替えてみた。その結果は以下の通りである。
■スタート
上野(東京都)
5:13
↓821M<普通・高崎行き>
6:55
高崎(群馬県)
7:12
↓723M<普通・水上行き>
8:17
水上(群馬県)
8:24
↓1729M<普通・長岡行き>
10:20
長岡(新潟県)
10:27
↓3373M<快速・新潟行き>
11:12
新津(新潟県)
11:43
↓1933M<普通・村上行き>
12:57
村上(新潟県)
13:31
↓827D<普通・酒田行き>
15:56
酒田(山形県)
16:30
↓553M<普通・秋田行き>
18:19
秋田(秋田県)
18:31
↓3627M<快速・大館行き>
20:02
大館(秋田県)
21:20
↓689M<普通・青森行き>
22:50
青森(青森県)
■ゴール
・総乗車距離 :789.3km
・かかった時間:17時間37分
・乗車列車数 :9列車(快速列車2、普通列車7)
・正規運賃 10800円
何とか青森まで行けることが分かったが、酒田から先はオールロングシートの通勤電車タイプの701系に乗らなければならず苦行と言って差し支えない。あくまで安さを取るか、快適さを考慮して特急列車を使うか(もちろん、その区間は特急券はもちろんのこと、運賃も別払いである)、それは人様々であろう。
以上は極端な究極の乗り方であるが、皆さんもぜひ、自分の家の最寄り駅からどこまで行けるか、時刻表を繰って調べてみてはいかがだろうか。今まで気付かなかった意外な発見があるかもしれない。
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